概要

 特定口座内保管上場株式等については、金融商品取引業者等が、居住者等に代わって一元的に取得費等を計算することが予定され、既に開設された特定口座に新たに受け入れることのできる上場株式等は、原則としてその特定口座において行われた下記のような取引により取得した上場株式等に限られています。

 なお、特定口座制度導入当初は、居住者等が特定口座外で保管している株式を特定口座へ受け入れることができるとする経過措置が定められていましたが、同経過措置は、平成21年5月31日をもって廃止されました(平成17年政令第103号附則11条1項、2項参照)。

特定口座に受け入れることができる上場株式等

特定口座に受け入れることができる上場株式等は、次のとおりです。

1 特定口座開設届出書の提出後に、金融商品取引業者等への買付けの委託(買付けの委託の媒介、取次ぎ又は代理を含む。)により取得をした上場株式等又は金融商品取引業者等から取得をした上場株式等で、その取得後直ちに当該口座に受け入れるもの(措法37の11の3③二イ)

2 他の金融商品取引業者等に開設されている居住者等の他の特定口座に係る特定口座内保管上場株式等の全部又は一部の移管がされる場合(当該特定口座内保管上場株式等の一部の移管がされる場合にあつては、当該移管がされる特定口座内保管上場株式等と同一銘柄の特定口座内保管上場株式等は全て当該移管がされる特定口座内保管上場株式等に含まれる場合に限る。)のその移管がされる上場株式等(措法37の11の3③二ロ)

3 特定口座を開設する金融商品取引業者等が行う有価証券の募集により取得した上場株式等又は有価証券の売出しに応じて取得した上場株式等(措令25の10の2⑭一)

4 特定信用取引等勘定において行つた信用取引により買い付けた上場株式等のうち、現引きしたもので、振替の方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭二)

5 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)により取得した上場株式等で、同一の金融商品取引業者等に開設された贈与者、被相続人又は包括遺贈者の特定口座、非課税口座、未成年者口座又は一般口座から受贈者、相続人又は包括受遺者の特定口座への移管により受け入れるもの(措令25の10の2⑭三)

6 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)により取得した上場株式等で、異なる金融商品取引業者等に開設された贈与者、被相続人又は包括遺贈者の特定口座又は一般口座から受贈者、相続人又は包括受遺者の特定口座への移管により受け入れるもの(措令25の10の2⑭四)

7 特定口座内保管上場株式等につき株式又は投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益権の分割又は併合により取得する上場株式等で、当該株式又は投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益権の分割又は併合に係る上場株式等の当該特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭五)

8 会社法185条に規定する株式無償割当てにより取得する上場株式等で、その割当ての時に、その特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭六)

9 会社法277条に規定する新株予約権無償割当て(投資信託及び投資法人に関する法律88条の13に規定する新投資口予約権無償割当てを含む。)により取得する上場株式等で、その割当ての時に、その特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭六)

10 特定口座内保管上場株式等につき発行法人の合併(当該法人の株主等に合併法人又は合併親法人の株式(出資を含む。)のみが交付される一定のものに限る。)により取得するその合併法人又は合併親法人の株式で、特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭七)

11 特定口座内保管上場株式等につき投資信託の受益者がその投資信託の併合(その投資信託の受益者にその併合に係る新たな投資信託の受益権のみが交付される一定のものに限る。)により取得する新たな投資信託の受益権で、特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭八)

12 特定口座内保管上場株式等につき発行法人の分割(株主等に分割承継法人又は分割承継親法人の株式(出資を含む。)のみが交付される一定のものに限る。)により取得するその分割承継法人又は分割承継親法人の株式で、特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭九)

13 特定口座内保管上場株式等につき発行法人の行った株式分配(株主等に完全子法人の株式(出資を含む。)のみが交付される一定のものに限る。)により取得するその完全子法人の株式で、特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭九の二)

14 特定口座内保管上場株式等につき所得税法57条の4第1項に規定する株式交換により取得する株式交換完全親法人の株式若しくは株式交換完全親法人の親法人の株式又は同条第2項に規定する株式移転により取得する株式移転完全親法人の株式で、これらの株式の当該特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭十)

15 特定口座内保管上場株式等である新株予約権又は新株予約権付社債(以下「旧新株予約権等」という。)につきその旧新株予約権等を有する者がその旧新株予約権等を発行した法人を所得税法施行令116条に規定する被合併法人、分割法人、株式交換完全子法人又は株式移転完全子法人とする同条に規定する合併等(その合併等によりその旧新株予約権等に代えてその合併等に係る合併法人等の新株予約権のみが交付されるものに限る。)により取得する合併法人等新株予約権等で、特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭十の二)

16 特定口座内保管上場株式等につき所得税法57条の4第3項1号に規定する取得請求権付株式の請求権の行使により取得する上場株式等で、特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭十一)で、課税繰延べの要件を満たすもの

17 特定口座内保管上場株式等につき所得税法57条の4第3項2号に規定する取得条項付株式の取得事由の発生、同項3号に規定する全部取得条項付種類株式の取得決議により取得する上場株式等で、特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭十一)で、課税繰延べの要件を満たすもの

18 特定口座内保管上場株式等につき所得税法57条の4第3項5号に規定する取得条項付新株予約権の取得事由の発生、行使又は同項6号に規定する取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債の取得事由の発生により取得する上場株式等で、特定口座への受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭十一、十二ホ)で、課税繰延べの要件を満たすもの

19 次に掲げる行使又は取得事由の発生(以下「行使等」という。)により取得する上場株式等で、行使等により取得する上場株式等の全てを、その行使等の時に、特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭十二イ~ニ)
イ 特定口座内保管上場株式等に付された新株予約権の行使
ロ 特定口座内保管上場株式等に与えられた株式の割当てを受ける権利又は新株予約権(新投資口予約権を含む。ハにおいて同じ。)の行使(ニに掲げるものを除く。)
ハ 新株予約権のうち、特定口座内保管上場株式等であるもの、特定口座が開設されている金融商品取引業者等と同一の金融商品取引業者等に開設された非課税口座に係る非課税口座内上場株式等であるもの又は未成年者口座に係る未成年者口座内上場株式等であるものの行使
ニ 所得税法施行令84条3第1号又は第2号に係る権利(同項の規定の適用があるものに限る。)の行使

20 特定口座を開設する金融商品取引業者等の行う有価証券の募集により、又は当該金融商品取引業者等から取得をした上場株式等償還特約付社債(いわゆるEB債)でその取得の日の翌日から引き続きその金融商品取引業者等に開設されている口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、又は保管の委託がされているものの償還により取得する上場株式等で、その受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭十三)

21 特定口座を開設する金融商品取引業者等に開設されている口座において行つた金融商品取引法28条8項3号ハに掲げる取引(いわゆる有価証券オプション取引)による権利の行使又は義務の履行により取得する上場株式等で、その受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭十四)

22 特定口座を開設する金融商品取引業者等の営業所に開設されている出国口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、又は保管されている上場株式等(出国口座への受入れ又は出国口座からの払出しがあつた場合には、受入れ又は払出しがあつた上場株式等と同一銘柄の上場株式等を除く。)で、「出国口座内保管上場株式等移管依頼書」を提出をしたことにより、その出国口座から帰国後に再び開設する特定口座への移管により、その全てを受け入れるもの(措令25の10の2⑭十五)

23 特定口座内保管上場株式等をその特定口座を開設している金融商品取引業者に貸し付けた場合における当該貸付契約(当該貸し付けた特定口座内保管上場株式等が当該特定口座から当該金融商品取引業者の口座に振り替えられ、かつ、当該貸付期間の終了後直ちに返還される当該貸し付けた特定口座内保管上場株式等と同一銘柄の上場株式等の全てが当該金融商品取引業者の口座から当該特定口座に振り替えられることを約するものをいう。)に基づき返還される上場株式等で、その受入れを、振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により行うもの(措令25の10の2⑭十六)

24 上場株式等以外の株式等で、その株式等の上場等の日の前日において有するその株式等と同一銘柄の株式等の全てを、その上場等の日に特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭十七)
※ 上場等の日(金融商品取引法2条16項に規定する金融商品取引所に上場された日その他の政令で定める日をいう。)

25 上場株式等以外の株式等を発行した法人の一定の合併によりその株主等が取得する合併法人の株式又は合併親法人株式で、その取得する株式の全てを、その合併の日に特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭十八)

26 上場株式等以外の株式等を発行した法人の一定の分割によりその株主等が取得する分割承継法人の株式又は分割承継親法人株式で、その取得する株式の全てを、その分割の日に特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭十九)

27 上場株式等以外の株式等を発行した法人の一定の株式分配によりその株主等が取得する完全子法人の株式で、その取得する株式の全てを、その株式分配の日に特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭十九の二)

28 上場株式等以外の株式等を発行した法人の所得税法57条の4第1項に規定する株式交換によりその株主等が取得する株式交換完全親法人の株式若しくはその親法人の株式又は同条2項に規定する株式移転によりその株主等が取得する株式移転完全親法人の株式で、その取得する株式の全てを、その株式交換又は株式移転の日に特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭二十)

29 上場株式等以外の株式等につき所得税法57条の4第3項1号に規定する取得請求権付株式の請求権の行使、同項2号に規定する取得条項付株式の取得事由の発生又は同項3号に規定する全部取得条項付種類株式の取得決議により取得する上場株式等で、その取得する上場株式等の全てを、当該上場株式等の取得の日に特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭二十の二)

30 保険会社の相互会社から株式会社への組織変更により当該保険会社から割当てを受ける株式で、その割当てを受ける株式の全てを、その株式の上場等の日に特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭二十一)

31 保険会社の相互会社から株式会社への組織変更により当該保険会社から割当てを受けた一定の株式で、当該割当株式の全てを当該特別口座から特定口座への移管(その割当ての日から10年以内に行うものに限る。)により受け入れるもの(措令25の10の2⑭二十二)

32 持株会契約等に基づき取得した上場株式等で、その持株会契約等に基づき開設された持株会等口座から特定口座への受入れを振替の方法により行うもの(措令25の10の2⑭二十三)

33 株式付与信託契約(いわゆるESOP信託契約)に基づき取得した上場株式等で、特定口座への受入れを、その株式付与信託契約に基づき開設された受託者の口座から振替の方法により行うもの(措令25の10の2⑭二十四)

34 特定口座を開設する金融商品取引業者等に開設されている特定口座以外の口座(非課税口座及び未成年者口座を除く。)において取得の日から引き続きその口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、又は保管の委託がされている特定譲渡制限付株式等で、その特定譲渡制限付株式等の譲渡についての制限が解除された時にその全てについて、その特定口座以外の口座から特定口座への振替の方法により行うもの(措令25の10の2⑭二十五)

35 上場株式等の発行法人等に対して役務の提供をした者がその役務の提供の対価としてその発行法人等から取得する上場株式等で次に掲げる要件に該当するものの全てを、その取得の時に、その者の特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録をし、又は保管の委託をする方法により受け入れるもの(措令25の10の2⑭二十六)
イ 当該上場株式等が当該役務の提供の対価としてその者に生ずる債権の給付と引換えにその者に交付されるものであること。
ロ イに掲げるもののほか、当該上場株式等が実質的に当該役務の提供の対価と認められるものであること。

36 非課税口座内上場株式等で、その非課税口座からその非課税口座が開設されている金融商品取引業者等に開設されている特定口座への移管により受け入れるもの(一定の要件を満たすものに限る。)(措令25の10の2⑭二十七)

37 未成年者口座内上場株式等で、その未成年者口座からその未成年者口座が開設されている金融商品取引業者等に開設されている特定口座への移管により受け入れるもの(一定の要件を満たすものに限る。)(措令25の10の2⑭二十八)

38 非課税口座開設届出書(その非課税口座開設届出書が提出をすることができないものに該当する場合のものに限る。)の提出をして開設された非課税口座に該当しないものとされる同項の口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録又保管の委託がされている上場株式等で、その口座からその口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所に開設されている特定口座への振替の方法により上場株式等の全てを受け入れるもの(措令25の10の2⑭二十九)

39 課税未成年者口座を構成する特定口座に係る特定口座内保管上場株式等で、措置法37条の14の2第5項2号ト又は6号ホ若しくはヘの規定によりその特定口座が廃止される日にその特定口座からその特定口座が開設されている金融商品取引業者等に開設されているその特定口座以外の特定口座への振替の方法によりその特定口座内保管上場株式等の全てを受け入れるもの(措令25の10の2⑭三十)