割引

 割引債とは、償還まで利息の支払いがない代わりに、額面から利息相当分を割引いた価格で発行され、償還時には額面金額が戻ってくる債券のことをいいます。そのため、利付債のように、利子所得は通常、発生しません。

 2016年1月1日以後に発行されている割引債(ゼロ・クーポン債等)は、特定公社債または一般公社債に区分され、その売却損益および償還差損益については税率20.315%の申告分離課税の対象となります。

 なお、2015年12月31日以前に発行された割引債(発行時に源泉徴収されたものに限ります)は、売却益は非課税、償還差益は発行時に課税(源泉分離課税)されているため償還時に課税されません。

 下記については、 2016年1月1日以後に発行されている割引債 について解説しています。

特定公社債に該当する割引債

 特定公社債に該当する割引債の売却益・償還差益はともに、 上場株式等の譲渡所得等として税率20.315%の申告分離課税の対象となります。よって、売却損・償還差損が生じた場合には、他の上場株式等グループ の配当等・利子等・売却益・償還差益と損益通算できます。

 損益通算の結果、控除しきれない損失の額については確定申告により翌年以後3年間繰越すことができます。

一般公社債に該当する割引債

 一般公社債に該当する割引債の売却益・償還差益はともに、 一般株式等の譲渡所得等として税率20.315%の申告分離課税の対象となります。ただし、一般公社債のうち同族会社が発行した社債の償還金でその同族会社の株主等が支払いを受けるものは、雑所得として総合課税の対象となります。

 売却損・償還差損が生じた場合には、他の 一般株式等グループ の売却益・償還差益(私募株式投資信託、私募公社債投資信託等の償還差益を除きます)と相殺できますが、一般株式等グループの配当等・利子等と損益通算することはできません。

 売却損・償還差損と売却益・償還差益を相殺した結果、相殺しきれない損失の額については、翌年以後に繰越すことはできません。

割引債に係る源泉徴収・ 確定申告の取扱い

債券の区分源泉徴収確定申告の取扱い
譲渡時償還時
特定公社債に
該当する割引債
特定口座
(源泉徴収あり)
実額の 譲渡益 × 20.315%実額の償還差益×20.315%申告不要・ 上場株式等の譲渡所得等として申告分離課税を選択可
特定口座
(源泉徴収なし)
なし なし 上場株式等の譲渡所得等として申告分離課税
一般口座 なし償還金額 ×みなし割引率(※)× 20.315% 上場株式等の譲渡所得等として申告分離課税
一般公社債に該当する割引債 なし 償還金額 ×みなし割引率(※)× 20.315%一般株式等の譲渡所得等として申告分離課税
同族株主等が支払いを受ける同族会社の割引債の償還差益 償還金額 ×みなし割引率(※)× 20.315%雑所得として総合課税

※ みなし割引率
・発行日から償還日までの期間が1年以内のもの(分離利子公社債を除く) ・・・ 0.2%
・発行日から償還日までの期間が1年超のもの、または分離利子公社債 ・・・ 25%

特定公社債である割引債の償還を一般口座で受けた場合

(事例)額面金額 1,000,000円
    発行価額 額面金額の70%
    発行日から償還日までの期間が1年超のもの

(1)償還時
●みなし償還差益 1,000,000円×25%=250,000円
● 償還時の源泉徴収税額 250,000円×20.315%=50,787円

(2)確定申告時
●実際の償還差益 1,000,000円-700,000円=300,000円
●本来納めるべき税額  300,000円×20.315%=60,945円
● 実際の納税額 60,945円 - 50,787円 =10,158円(確定申告により納める税額の100円未満の端数は切り捨てとなります)。

外貨建割引債の場合

 外貨建割引債の場合、その取得時と償還時における為替相場の変動状況によっては、実額(償還金額-取得価額)で計算した場合の為替差損益を含む譲渡所得等が赤字(譲渡損失)となるケースもあります。

 この場合でも、 外貨割引債の償還を一般口座で受けた場合、償還金額にみなし割引率を乗じて計算した金額に対し20.315%の源泉徴収がされてしまいます。

 ですから、損失となったが損失繰越をしなくてもよくて確定申告したくない人(例えば、高齢者で医療費の窓口負担割合が増えることを避けたい人等)は、償還時まで外貨建割引債を持たず、途中で譲渡すると良いでしょう。 途中で譲渡すれば、償還時と違って源泉徴収されません。