株式会社等の普通法人の利子・配当等に課される所得税(源泉徴収税)は、法人税額の算定時に所得税額控除の対象となり、法人税の前払いとして法人税額から控除されます(法法68①)。よって、利子・配当等に法人税、所得税の二重に課税されるということはないということとなります。

 一方、非営利型の法人の一般社団・財団法人で収益事業以外の事業から生ずるものに対する所得税額は、所得税額控除の対象となりません(法法68)。

源泉徴収税率

 上場株式等の配当については所得税等15.315%となり、個人と違って住民税5%がかかりません。未上場株式等の配当については所得税等20.42%となります。

 預貯金の利子、公社債の利子は所得税等15.315%となります。

会社における利子・配当等の仕訳・税務上の取扱い

 会社における利子・配当等の仕訳・税務上の取扱いは、以下のように2つの処理があります。なお、下記の仕訳例は、計算等を簡易にするため復興税はないもの(15%)とし、法人税の税率を23.2%とします。

(1)所得税額控除の方法

(利子受取時)
現金預金 850,000円  受取利息 1,000,000円
租税公課 150,000円

(法人税額の計算)
1,000,000円 × 23.2% = 232,000円
232,000円 - 150,000円(所得税額控除) = 82,000円

 この処理方法をとる場合は、所得税額150,000円を損金に算入しないように、別表4で加算します(法法40)。また、本業が赤字など所得税額が法人税額から控除しきれない場合は、還付処理となります。別表1に還付される口座情報を記載します。

(2)所得税額損金算入の方法

(利子受取時)
現金預金 850,000円  受取利息 1,000,000円
租税公課 150,000円

 OR

現金預金 850,000円  受取利息  850,000円

(法人税額の計算)
850,000円 × 23.2% = 197,200円

 この(2)の処理方法をとる場合は、一般的に、(1)の処理方法より法人税額が高くなります。ただし、小さい会社の場合、 利子・配当等(それに対する所得税額)の金額が少額であることが多く、法人税額に影響を与える金額が小さいため、計算等が簡易である(2)の処理方法をとることが多いです。

所得税額控除の計算

 利子であれば法人で源泉徴収された所得税全額が法人税額から控除されます。ただし、利益の配当、剰余金の分配等は元本を所有した期間に対応する部分の金額だけ所得税額控除の対象となります(法令140の2)。

 なお、元本の所有期間対応分の計算方法には、個別法と銘柄別簡易法の2つがありますが、継続適用は要件とされていません。

各種法人の対象課税所得と源泉徴収

法人の種類課税対象源泉徴収
普通法人全所得あり
協同組合等全所得あり
人格のない社団等収益事業あり
公益法人等非営利型の一般社団・財団法人
NPO法人
収益事業あり
上記以外の公益法人等収益事業なし
公共法人非課税なし

 普通法人には、株式会社、合同会社、一般社団法人・一般財団法人(非営利型法人以外)、医療法人(社会医療法人・特定医療法人を除く)等があります。

 上記以外の公益法人等には、公益社団・財団法人、宗教法人、学校法人、社会福祉法人等があります。

源泉徴収なしの場合の届け出

 宗教法人、学校法人等の場合、所得税が源泉徴収されないこととなっていますが、保有商品ごとに各種届出を証券会社・信託会社等を通じて提出する必要があります。

 公社債の利子の場合は「非課税申告書」、配当の場合は「配当金非課税請求書」を提出します。

非営利型の一般社団・財団法人の源泉徴収問題

 非営利型の一般社団・財団法人と、それ以外の公益法人等については、以下の同異があります。

 法人税法上は、どちらも公益法人等に区分(法人税法別表第二)され、収益事業にしか法人税が課されません。一方、所得税法上(所法11①)は、利子・配当等に対して源泉徴収されない法人(公共法人等「所得税法別表第一」)に 非営利型の一般社団・財団法人は含まれていません。

 そして、非営利型の一般社団・財団法人で収益事業以外の事業から生ずるものに対する所得税額は、所得税額控除の対象となりません(法法68)。 一般的に、利子・配当等について収益事業とされていないため、源泉徴収されたが控除できないという現状です。

令和2年3月12日裁決(熊裁(法)令元第3号)

(1)事案の概要

 本件は、一般財団法人のうちの非営利型法人である請求人Xが、利子及び配当等に課された所得税の額は法人税の額から控除できるとして更正の請求をしたのに対し、原処分庁が、当該所得税の額は収益事業以外の事業又はこれに属する資産から生ずるものに課されたものであり、法人税の額から控除することはできないとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたことから、Xがその全部の取消しを求めた事案である。

(2)裁決要旨(請求棄却)

① 所得税法5条3項及び7条1項4号の規定によれば、内国法人は、国内において利子及び配当等の支払を受けるときは、これらについて課された所得税を納める義務を負うこととなる。そして、同法212条3項の規定によれば、当該利子及び配当等の支払の際、当該利子及び配当等について所得税が徴収されることとなる。また、法人税法4条1項及び7条の規定によれば、内国法人である公益法人等については、収益事業を行う場合等に限り、法人税を納める義務があり、収益事業から生じた所得以外の所得については、各事業年度の所得に対する法人税が課されないこととなる。

② 所得税額控除の制度について定める法人税法68条1項は、内国法人が支払を受ける利子及び配当等に対し法人税が課された場合、当該利子及び配当等について徴収される所得税との関係で同一課税主体による二重課税が生ずることから、これを排除する趣旨で、当該利子及び配当等に係る所得税の額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する旨規定している。これに対し、同条2項では、公益法人等の収益事業から生ずる所得以外の所得については、法人税が課されないのであり、その課されない所得について所得税が課されても、これを収益事業に係る所得に対する法人税の額から控除する理由はないことから、同条1項の規定は適用しない旨規定している。

③ これらの規定に照らすと、公益法人等の各事業年度の所得に対する法人税の額から控除する所得税の額は、法人税が課される所得について徴収されたものに限られると解されるため、法人税が課されない利子及び配当等について所得税が徴収された場合には、当該所得税の額は法人税の額から控除することはできず、その徴収により課税関係が終了することとなると解される。

④ 本件についてみると、Xは、一般財団法人のうちの非営利型法人であることから、法人税法2条6号に規定する公益法人等に該当する。そして、本件利子及び配当等は、収益事業から生じた所得以外の所得であって、法人税が課されないものであるから、本件利子及び配当等について徴収された所得税の額は、法人税法68条2項の規定により、同条1項の規定を適用することはできない。

⑤ Xは、非営利型法人の非収益事業により生じた所得に対しては法人税を課すべきではないとした法人税法の趣旨は源泉徴収された所得税にも及ぶべきである旨主張する。しかしながら、法人税法68条1項及び2項の趣旨は、本件利子及び配当等のように法人税が課されない所得について所得税が徴収された場合には、同一課税主体による二重課税が生ずる余地はないから、同条2項の規定により同条1項の規定は適用されず、Xの主張は採用できない。