譲渡制限付株式とは、一定期間の譲渡制限が付与された株式で、役員又は従業員等の勤務状況等が一定の基準を達しない場合は、没収されるという条件が付されているものです。そのため、人材が社外に流出しない、業績向上のために働くような効果が生じます。

 譲渡制限付株式のうち、税法上の要件を満たしているものを特定譲渡制限付株式といいます。

所得税法上の取扱い

特定譲渡制限付株式の所得税法上の取扱いを具体例で説明します。

① 譲渡制限付株式付与時
 権利付与時には、付与された特定譲渡制限付株式は譲渡制限がかけられており、かつ、条件によっては没収される可能性もあることから、取締役等の取得者は利益が手に入っていない状態なので課税はされません。

② 譲渡制限解除時
 例えば株価が2,000円(上場会社の場合は、公表された最終価格)になった時に譲渡制限解除となった場合は、取締役等が得た経済的利益2,000円は、給与所得等として課税されます(所令84①)。

③株式売却時
 取締役等が譲渡制限解除後の株式を、株価が2,500円になった時に売却した場合、差額500円(2,500円‒2,000円)が株式の譲渡所得として課税されます。

特定譲渡制限付株式の要件

特定譲渡制限付株式は、次の①~③の要件を満たすことが必要です(所令84)。

① 役務の提供の対価として当該個人に生ずる債権の給付と引換えに当該個人に交付されるものであること。もしくは、実質的に当該役務の提供の対価と認められるものであること。

② 譲渡についての制限がされており、かつ、当該譲渡についての制限に係る期間(以下「譲渡制限期間」という。)が設けられていること。

③ 法人がその株式を無償取得(没収)することとなる事由(その株式の交付を受けた者が譲渡制限期間内の所定の期間勤務を継続しないこと、勤務実績が良好でないことその他の勤務の状況に基づく事由又は法人の業績があらかじめ定めた基準に達しないことその他の法人の業績その他の指標の状況に基づく事由に限る。)が定められていること。

譲渡制限解除時の所得区分

(1)発行法人と付与を受けた者との間に雇用契約があるような取締役や従業員の場合は、給与所得となります。ただし、主として職務の遂行に関連しない利益が提供されている場合には雑所得となります。また、退職に起因して権利行使が可能となっていると認められる場合には退職所得となります(所法28、36、所基通23~35共-5の2、23~35共-6)。

(2)仕入れ先やコンサルタントなど付与を受けた者の営む業務に関連して付与された場合は、事業所得または雑所得となります。

(3)上記(1)、(2)以外の場合は、原則として雑所得となります。

法人税法上の取り扱い

 所得税で退職所得に該当するリストリクテッドストックであっても、法人税法上の退職給与に該当しません。そのため、損金算入する場合には、「事前確定届出給与」に該当させることが必要となります。

法人税法基本通達9-2-27の2(退職給与に該当しない役員給与)

 役員の将来の所定の期間における役務提供の対価として譲渡制限付株式又は譲渡制限付新株予約権が交付される給与(法第34条第5項《役員給与の損金不算入》に規定する業績連動給与に該当するものを除く。)であって、その役務提供を受ける法人においてその期間の報酬費用として損金経理(退職給付引当金その他これに類するものの繰入れに係るものを除く。)が行われるようなものは、例えばその譲渡制限付株式に係る譲渡制限期間の満了日又はその譲渡制限付新株予約権を行使することができる期間の開始日がその役員の退任日であることによりその役員において所得税法第30条第1項《退職所得》に規定する退職手当等に該当するものであっても、法第34条第1項の退職給与で業績連動給与に該当しないものには該当しない。

源泉徴収

 給与所得となる場合、発行会社は源泉徴収を行い、翌月10日までに所轄税務署に納付しなければなりません。源泉徴収額が取締役や従業員の給与から天引きできる金額であれば良いのですが、源泉徴収額が支給給与を超えているような場合は、一旦、取締役や従業員から金額を預かるようなことをしているケースがあります。

特定口座への受け入れ

 譲渡制限が解除されたときに、その株式を管理している証券会社等の特定口座に預け入れることは可能です。