株主優待

株主優待を受け取った場合

 株主優待を受け取った場合は、原則として雑所得に該当します(所基通24-2、35-1(7))。

所得税基本通達24-2(配当等に含まれないもの)

 法人が株主等に対してその株主等である地位に基づいて供与した経済的な利益であっても、法人の利益の有無にかかわらず供与することとしている次に掲げるようなもの(これらのものに代えて他の物品又は金銭の交付を受けることができることとなっている場合における当該物品又は金銭を含む。)は、法人が剰余金又は利益の処分として取り扱わない限り、配当等(法第24条第1項に規定する配当等をいう。以下同じ。)には含まれないものとする。
(1) 旅客運送業を営む法人が自己の交通機関を利用させるために交付する株主優待乗車券等
(2) 映画、演劇等の興行業を営む法人が自己の興行場等において上映する映画の鑑賞等をさせるために交付する株主優待入場券等
(3) ホテル、旅館業等を営む法人が自己の施設を利用させるために交付する株主優待施設利用券等
(4) 法人が自己の製品等の値引販売を行うことにより供与する利益
(5) 法人が創業記念、増資記念等に際して交付する記念品
(注) 上記に掲げる配当等に含まれない経済的な利益で個人である株主等が受けるものは、法第35条第1項《雑所得》に規定する雑所得に該当し、配当控除の対象とはならない。

株主優待を売却した場合

 株主優待を受け取ったが、全部が全部、自分にとって有益なものでなく売却することもあるでしょう。この場合は、生活に通常必要でない資産の売却となるため、売却損となった場合、他の各種所得の金額と損益通算できません(売却益の場合は、総合課税の譲渡所得)。

 となると、次のようなことが考えられるということになります。株主優待券を100万円分を受け取ったが、自分にとって必要ないからと、チケットショップ等で80万円で売却したとします。この場合、雑所得は100万円となりますが、売却損20万円は損益通算できません。

株主優待の適正な金額(時価)

 複数の方からの相談があったため、それぞれの方の所轄税務署(数か所)に確認したことが以前あります。最大のポイントは、受け取った株主優待の適正な金額(時価)はいくらなのかということです。

 例えば、商品券の場合は、額面金額と考えるのかということです。もっとも、自分にとって価値がないから0円というわけには当然なりません。ただし、額面金額100万円が100万円の価値があるのかといったら、そういうわけでないと思います(もっとも、チケットショップ等で売れた金額が適正な金額とも言い切れませんが)。

 税務署の見解も一概には「額面=価値」とはいえないでした。なお、ここについては裁判例もなく、実務的にもまともに申告している人もおそらく少数であり、これが正しいといえるものはない状態といえます。もっとも、額面金額を時価として申告すれば、税務署が否認をしてくることはないでしょうが。

 とりあえず、以下のように算定していれば、否認はされないかと思われます。

優待の種類金額の計算基準(目安)
QUOカード・商品券面額(額面通り)
カタログギフト・自社製品発送元が公表している相当額、または市場価格
優待乗車券・施設割引券使用することで得られた利益(通常料金との差額)

20万円以下規定

 給与所得以外の所得金額が年間20万円以下なら確定申告をしなくてもよいという規定があるため、サラリーマンの多くの方は、少額の株主優待であれば確定申告は不要となります。

 ただし、所得税の「20万円以下の申告不要制度」は住民税には適用されません。

 したがって、所得税の確定申告をしない場合でも、理論上は市区町村へ「住民税の申告」のみを行う必要があります。

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大阪国税局個人課税審理専門官 平成19年1月26日質疑事例0122 1 各種所得の区分と計算 事例1-22 株主優待券(全線パス券 )の課税関係

質疑内容

 消費税の課税事業者であるAは、X鉄道会社(以下「X社」という。)の株主の地位に基づき、X社から配当金とは別にX社の全線パス券を受け取った。
 この場合の所得税及び消費税の課税関係はどうなるか
 また、当該全線パス券を事業用に使用した場合の消費税の課税関係はどうなるか。

回答内容

(要旨)
 所得税においては、全線パス券を受け取った年分の雑所得(全線パス券を受け取った時の時価)となる。
 消費税においては、課税関係は生じない。

(理由)
1 所得税の課税関係
 金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入とする場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額をその年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は収入金額に算入すべき金額とするとされている(所法36)。 
 そして、金銭以外の物又は権利その他経済的な利益には、物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益が含まれることとされている〔所基通36-15(1)〕。
 また、旅客運送業を営む法人が自己の交通機関を利用させるために交付する株主優待乗車券は、法人が利益処分として経理していない限り、配当所得に含まれず〔所基通24-2(1)〕、雑所得に該当することとなる〔所基通35-1(8)〕。 
 したがって、当該全線パス券を受け取った場合の所得税法上の取扱いは、受け取った時の時価で評価された価額を受け取った年分の雑所得として計上することとなる。 

2 消費税の課税関係
 課税の対象とされる資産の譲渡等は、事業者が事業として対価を得て行われる資産の譲渡等のことであり、課税仕入れとは、事業者が事業として他の者から資産の譲り受け等を受けるものである。
 事例の場合、全線パス券は、株主の地位に基づいて無償で受け取ったものであるから、課税売上げに該当せず、また、当該全線パス券を事業用に使用しているが、対価を支払って取得したものでない(無償で取得)から課税仕入れにも該当しない。
 したがって、消費税の課税関係は生じないことになる。 

法令等
 所法35、36
 所基通24-2(1)、35-1(8)、36-15(1)
 消法2、4