外国親会社から日本子会社の従業員等に付与されたストック・オプションについて、税制適格とした誤りやすい事例

(誤りやすい事例)
 外国親会社から日本子会社の従業員等に付与されたストックオプション(株式取得)であるにもかかわらず、措法29条の2(特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等)の適用があると考えている。

(解説)
 措法29条の2(いわゆる税制適格ストックオプション)の規定は、日本の会社から付与された一定の要件を満たすストックオプションに限り適用される(措法29の2①)。よって、外国親会社から付与されたストックオプションにこの規定は適用されない。

東京国税局課税第一部個人課税課、課税第二部消費税課の所得税消費税誤りやすい事例集(令和2年12月)より

外国親会社から日本子会社の従業員等に付与されたストックオプションに係る利益に係る所得の誤りやすい事例

(誤りやすい事例)
 外国親会社から日本子会社の従業員等に付与されたストックオプション(株式取得)の権利行使に係る経済的利益や、リストリクテッド・ストック(譲渡制限付株式)の譲渡制限解除による株式取得に係る利益を、株式等の譲渡所得としている。

(解説)
 ストックオプションの権利行使に係る経済的利益やリストリクテッド・ストックの譲渡制限解除による株式取得の利益に係る所得は、原則として給与所得となる(所法28、36、所令84、所基通23~35共-6)。

(注)外国会社の株式の譲渡所得の申告相談において、納税者の勤務先が当該株式の発行会社又はその関連会社である場合には、ストックオプションやリストリクテッド・ストックにより取得した株式である(給与所得として課税される。)場合があるので留意する。

東京国税局課税第一部個人課税課、課税第二部消費税課の所得税消費税誤りやすい事例集(令和2年12月)より

ストックオプションの権利行使に係る経済的利益について、給与所得の金額を計算する場合の誤りやすい事例

(誤りやすい事例)
 外国親会社から日本子会社の従業員等に付与されたストックオプション(株式取得)の権利行使に係る経済的利益について、給与所得の金額を計算する場合に、給与等の収入金額から証券会社等に支払った取引手数料を控除した残額を給与等の収入金額としている。

(解説)
 発行法人から付与されたその新株予約権等の行使に係る経済的利益については、その新株予約権等の行使に基づいて取得する株式の行使日における価額からその新株予約権等の行使に係る権利行使価額(新株予約権の取得価額に行使に際し払い込むべき額を加算した金額)を控除した金額とされている。

 よって、権利行使のために証券会社等に支払った手数料を差し引くことはできない(所法36②、所令84②)。

 なお、株式を売却した際には、譲渡所得の金額の計算上、取得費として総収入金額から控除する。

東京国税局課税第一部個人課税課、課税第二部消費税課の所得税消費税誤りやすい事例集(令和2年12月)より