平成29年度の地方税の改正により、上場株式等の配当所得等及び特定口座(源泉徴収あり)内の譲渡所得等について、所得税と住民税で異なる課税方式(申告不要制度・申告分離課税・総合課税)を選択できることが明確化されました(地法32⑫~⑮、313⑫~⑮、地方税法附則33の2②⑥)。

 一番利用されているケースは、所得があまり高くない方が、上場株式等の配当所得を総合課税で確定申告(所得税)し、住民税では申告不要(特別徴収5%のまま)を選択するということです。住民税で配当所得を総合課税で申告となると、配当控除を利用できても申告不要の場合に比べて住民税が必ず増えてしまいます。また、国民健康保険料等もあがります。ですから、所得税では総合課税、住民税では申告不要というスタイルを取るケースが多いのです。

 また、譲渡所得と譲渡損失を通算したり、損失の繰越をするために所得税では申告するが、医療費の窓口負担が3割負担になることを避けたい高齢者の方が、住民税では申告不要を選択するというケースも多いです。

 なお、よく間違われるのですが、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座での上場株式等の譲渡益は、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できません。つまり、住民税が徴収(特別徴収5%)されていないものは、住民税の申告不要は選択できないという事です。

 同様に、特定口座(源泉徴収あり) で、配当所得と譲渡損失があって、配当所得より譲渡損失の方が大きい場合で、確定申告時に、配当所得を総合課税、 譲渡損失を申告分離課税(損失繰越)で申告した場合、住民税では配当所得について申告不要を選択することはできません。特定口座(源泉徴収あり)の口座内で、住民税が徴収(特別徴収5%)されていないからです。

手続方法

 手続きの方法は、住民税の納税通知書(特別徴収税額決定通知書を含む)が送達される時までに、確定申告書とは別に、一定の事項を記載した住民税の申告書を市区町村に提出する必要があります(地法32⑫⑬、313⑫⑬、地法附33の2②⑥)。この提出がない場合は、所得税の確定申告書の申告内容(課税方式)が適用されます。

 住民税の税額は、原則として確定申告書が提出された場合は、確定申告書に記載された内容に基づいて算定されますが、住民税の納税通知書送達後に、「上場株式等に係る配当所得等」に関する確定申告書が提出された場合は、住民税の税額算定に算入できません。

令和3年度税制改正

 令和3年度税制改正により、令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合については、住民税において、配当等及び株式等譲渡所得金額に係る所得の全部について源泉分離課税(申告不要)とする場合に、原則として、確定申告書の提出のみで申告手続が完結できるよう、確定申告書における住民税に係る附記事項が追加される予定です。

 なお、住民税で「申告不要」を選択したケースに限り、所得税の確定申告のみで申告手続が完了する予定です。よって、住民税で「申告不要」を選択したケース以外では、これまでどおり、別途、住民税の申告が必要となります。

外国税額控除

 所得税と住民税で異なる課税方式を選択した場合でも、外国税額控除は適用されます。外国税額控除が住民税において控除対象となる場合は、外国税額控除に関する明細書等(外国税額控除の金額がわかるもの)を、お住いの自治体に提出します。