FX取引等で生じた先物取引等の損失額を控除するには、その損失が生じてから繰越損失額を毎年確定申告する必要があります。

 例えば、29年分の確定申告でその29年中に生じた損失を繰り越す旨を申告していなかった場合でも、30年分の確定申告をする前であれば、29年分の損失についてはその損失を繰り越すものとして更正の請求をすることは可能です(措法41の15 ③、措通41の15-1 、41の15-2 等)。

 逆に、30年分の確定申告書等の提出後に29年分の期限後申告書等を提出(更正の請求を含む)するような場合は、「連年申告要件」を満たさないため、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用することはできません(長野地裁平成29年9月29日判決・税資267号-122(順号13071)、東京高裁平成30年3月8日判決 【 平成29年(行コ)第344号 】 )。

外部リンク先 国税庁「 措通41条の15((先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除))関係通達」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/801226/sinkoku/57/41/15.htm

先物取引等の繰越損失額を計上する旨の更正の請求の誤りやすい事例

(誤りやすい事例)
 令和元年分の確定申告において、平成30年中に生じた先物取引等の繰越損失額(平成30年分の確定申告において申告済み)を申告していなかった者が、令和元年分の先物取引等の所得金額からその繰越損失額の控除をするため、その繰越損失額を計上する旨の令和元年分の更正の請求をし、これを認めている。

(解説)
 先物取引等に係る損失の繰越控除は、損失の生じた年分につき、当該控除を受ける金額の計算に関する明細書等の添付がある確定申告書を提出し、かつ、その後も明細書等の添付がある確定申告書を連続して提出している場合に適用される(措法41の15③)。
 したがって、令和元年分の確定申告書に記載されていない平成30年分の損失は「純損失等の金額」(通法23①二)に当たらず、平成30年分の損失を繰り越す旨の令和元年分の更正の請求は認められない。
 なお、令和元年中に生じた損失を繰り越す旨の令和元年分の更正の請求は、それが令和2年分の確定申告前であれば認められる(措通41の15-1)。

東京国税局課税第一部個人課税課、課税第二部消費税課の所得税消費税誤りやすい事例集(令和2年12月)より

先物取引等の繰越損失額が過少であった場合の更正の請求の誤りやすい事例

(誤りやすい事例)
 平成30年分及び令和元年分の確定申告において、平成29年中に生じた先物取引等の繰越損失額(平成29年分の確定申告において申告済み)を申告した者が、平成29年中に生じた先物取引等の繰越損失額が過少であったとして、その繰越損失額を増加させる旨の平成29年分ないし令和元年分の更正の請求をしたところ、これを認めていない。

(解説)
 先物取引等に係る損失の生じた年分につき、その繰越控除を受ける金額の計算に関する明細書等の添付がある確定申告書を提出した場合において、その損失が過少であったためその損失額を増加させる更正が行われたときは、その更正後の金額を基として当該控除の規定を適用する(措通41の15-2)。
 したがって、平成29年中に生じた繰越損失額を申告し、かつ、その後も明細書等の添付がある確定申告書を連続して提出している場合は、その申告した損失額が過少であったとする更正の請求は認められる。

東京国税局課税第一部個人課税課、課税第二部消費税課の所得税消費税誤りやすい事例集(令和2年12月)より