発起人が会社設立のために支払ったお金は、本来は、会社が負担すべきものです。つまり、会社設立前は会社で契約等ができないため、発起人が立て替えて支払ったと考えるのが当然です。
 ただし、制限なく会社が負担すべき費用であるとすると、発起人が好き勝手に支出して、会社設立の段階から会社の財産を食いつぶす可能性があります。そのため、設立費用は、定款に記載または記録しておかなければ効力がないとされています(会28④)。
 したがって、実際にかかった設立費用であっても、定款に記載されていない場合とか、定款に記載されている額を超える場合には、会社の負担とならず、原則、発起人の負担となります。
 ただし、定款の認証手数料、設立登記の登録免許税は、定款に記載がなくても、会社が当然に負担すべき設立費用となります(会28④、会規5)。
 なお、それ以外にかかった設立費用(通信費、交通費、個人の印鑑証明書代、会社代表印の作成費、行政書士・司法書士の報酬など)は、あらかじめ定款に記載がないと、原則、発起人の負担となります。
 ただし、定款に記載がなくても、世間一般的な常識的な金額範囲であり、会社が負担することを拒否をしなければ、会社が負担することで問題ないです。
 そのため、設立費用を、定款で記載しているケースは少ないです。
 定款に設立費用を記載しなかった場合の税務についてですが、定款に記載があれば、当然に、税法上、設立費用は会社が負担いたします。ただし、定款に記載がない場合であっても、会社の負担となりますので、心配はないです(法基通8-1-1)。
 実務的には、発起人が立て替えておいた設立費用の領収書(領収書が出ない交通費などは明細書を発起人が作成)や振込明細書を取っておいて、会社設立後、会社に請求します。会社は請求を受けたら、発起人の口座に振込みます。会社は、請求され、振り込んだ金額を創立費として経理処理します。
 
 定款記載を欠く設立費用(法人税法基本通達8-1-1)
 法人がその設立のために通常必要と認められる費用を支出した場合において、当該費用を当該法人の負担とすべきことがその定款等で定められていないときであっても、当該費用は令第14条第1項第1号《創業費》に規定する「法人の設立のために支出する費用で、当該法人の負担に帰すべきもの」に該当するものとする。