概要

 株式会社における株主は、その有する株式について、①剰余金の配当を受ける権利、②残余財産の分配を受ける権利、③株主総会における議決権を有します(会社法105①)。なお、株主に、①剰余金の配当を受ける権利、②残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しません(会社法105②)。

 そして、株式会社は、株主をその有する株式の内容および数に応じて平等に取り扱わなければならないことになっています(会社法109①)。つまり、株式会社の株主は、原則としてその所有する株式数に応じて権利を有しています。ただし、種類株式や定款の定めを利用すれば、異なる扱いをすることができます(会社法109②、③)。

 合同会社の社員も、合同会社に対して利益の配当を請求することができます(会社法621①)。また、損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定めることになっています(会社法622①)。残余財産の分配の割合について定款の定めがないときも、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定めることになっています(会社法666)。

 なお、会社法上、合同会社では議決権という用語は使用されていません。代わりに「同意」「承諾」「承認」「決定」という用語が使用されています(会社法578、585、591、595等)。例えば、会社法には「社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない(会社法585①)」「社員が2人以上ある場合には、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する(会社法590②)」「持分会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をすることができる(会社法637)」と記載されています。

 このような合同会社の社員の同意等の権利は、原則として1社員につき1個となっています。出資の価額に応じてではないので注意が必要です。株式会社における株主は、原則として株式1株につき1個の議決権を有することとなっています(会社法308①)。一方、合同会社は、株式会社のように資本を多く出した者が支配する仕組みにはなっていません。もっとも、あくまでも原則なので、定款で別段の定めをすることは可能です。

剰余金・利益の配当残余財産の分配議決権・同意等
株式会社株式数に応じて株式数に応じて株式数に応じて
合同会社出資の価額に応じて出資の価額に応じて1社員につき1個