配当金

配当請求

 社員は合同会社に対し、原則としていつでも利益の配当を請求することができます。また、利益の配当を請求する方法その他の利益の配当に関する事項を定款で自由に定めることができます(会法621②)。

 ただし、合同会社では有限責任社員しかいないため、債権者保護のため、特則が設けられ、利益配当に関する制限などがされています。例えば、会社法628条では次のように利益の配当の制限についての特則が設けられています。

 合同会社は、利益の配当額が配当をする日における利益額を超える場合には、利益の配当をすることはできません。なお、ここでいう利益額とは次に掲げる額のうちいずれか少ない額となります。
一 利益の配当をした日における利益剰余金の額
二 すでに分配された利益の額-(すでに分配された損失の額+すでに利益配当された額)

「利益の配当」に関する定款への記載

 法の立案担当者は「定款で定めることができる事項としては、利益の配当を請求することができる時期・回数、当期に配当する利益金額の決定方法などであり、その内容については、特に制約はない」(引用 相澤哲・葉玉匡美・郡谷大輔(編著)論点解説 新・会社法―千問の道標594ページ)と解説しています。

 そのため、利益の配当について、比較的自由に定款で定めることができるといえます。なお、定款に記載する場合は、「計算」の章の中で記載するのがよいでしょう。定款において「利益の配当がその効力を生ずる日」について、以下のように定めておけば、配当課税の時期も明確になります。

(利益の配当)
第○条 利益の配当をしようとするときは、毎事業年度末日現在における社員に配当するものとし、社員の過半数の同意をもって次の事項について決定する。
  一 配当財産の種類及び帳簿価額の総額
  二 社員に対する配当財産の割当てに関する事項
  三 利益の配当がその効力を生ずる日
 2  社員は前項の決定後でなければ、当会社に対して利益の配当を請求することができない。

利益の配当を受けた社員の税金

 利益の配当を受けた社員が法人、個人によって取り扱いが違います。

  • (法人)受取配当金は益金算入されますが、受取配当等の益金不算入規定の適用を受けることができます。
  • (個人)配当所得にかかる収入となります。非上場会社の配当については申告分離課税の選択適用はできないので、総合課税となり配当控除の適用があります。なお、少額配当に該当する場合は、所得税については申告不要を選択することができますが、住民税の申告は原則必要です。上場株式の配当と違って住民税が徴収されていないからです

配当を支払う合同会社側の処理

 配当を支払う際に20.42%(所得税等)の源泉徴収をし、支払った月の翌月10日までに納付をします。

合同会社が米国親法人の完全子会社である場合

 合同会社が米国親法人の完全子会社である場合には、社員が1人であり、その者が業務執行権を有する社員の100パーセントを占めることから、議決権のある株式の50パーセント以上を所有するという配当免税条項(日米租税条約10③)の要件を満たしていると考えられますので、所得税の源泉徴収をする必要はありません(国税庁HP質疑応答事例「合同会社の利益の配当に係る日米租税条約の適用」)。

 ただし、租税条約に関する届出を行うことが必要となります。https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/1648_39.htm

会社法

621条(利益の配当)

 社員は、持分会社に対し、利益の配当を請求することができる。
2 持分会社は、利益の配当を請求する方法その他の利益の配当に関する事項を定款で定めることができる。
3 社員の持分の差押えは、利益の配当を請求する権利に対しても、その効力を有する。

628条(利益の配当の制限)

 合同会社は、利益の配当により社員に対して交付する金銭等の帳簿価額(以下この款において「配当額」という。)が当該利益の配当をする日における利益額を超える場合には、当該利益の配当をすることができない。この場合においては、合同会社は、第621条第1項の規定による請求を拒むことができる。

関連項目