外貨預金の利子

 国内銀行に外貨預金を行った場合は、円での預金と同様に、利子に20.315%の源泉分離課税が行われ、申告は不要です。ただし、国外銀行(外国銀行の海外支店の口座)で外貨預金を行って利子を得た場合は、源泉徴収は適用されず、利子所得として総合課税の対象となります。

為替差益

 外貨建預金を円貨として引き出した場合、為替差益を所得として認識する必要があり、その所得は「雑所得」に含まれ総合課税の対象となります。この為替差益は、自分で、いくらなのか計算をする必要があります。なお、為替差損が出た場合には、他の雑所得と通算(相殺)できますが、他の所得とは損益通算できません。

 なお、事業の遂行上保有している外貨建預金を円貨に交換することによって生じた為替差損益は事業所得の計算上総収入金額または必要経費に算入します。

 また、外貨建預金を払出し外国株式に投資した場合も、為替差益を雑所得として認識する必要があります。よって、頻繁に外国株式を購入等する方は、外貨預金ではなく外貨MMFで保有をしておく方がよいということになりますが、新型コロナウイルス禍で世界的な金利低下に拍車がかかり、金融機関において外貨MMFの運用が難しくなっている状況です。そのため、利用しようと思っても利用できない方はいるでしょう。

総平均法に準ずる方法

 預入れが随時可能な外貨預金の為替差損益の算定方法は「総平均法に準ずる方法」により算定します。以下、平成28年6月2日裁決(裁事103集)判断要旨

「 本件為替差損益の金額の算出方法について

  1.  本件外貨預金は、預入れ及び払出しが随時可能な預金であるところ、このような預金の払出しに伴って生ずる為替差損益の具体的な算定方法について、所得税法は、特段の定めを置いていない。
     殊に本件の場合、本件外貨預金口座の開設以後、本件外貨預金の預入れ及び払出しが繰り返し行われており(平成21年5月29日から平成25年11月11日までの間における本件外貨預金の預入れ及び払出しの回数はそれぞれ百数十回にわたり、この間、同日中に複数回の預入れ又は払出しが行われることもある。)、このため、本件外貨預金の残高については、異なる為替相場が適用されて預入れされた米ドルが常に混在するという状況にある。
  2.  上記のような取引の実態を有する本件の下においては、譲渡所得又は雑所得の基因となる同一銘柄の有価証券を2回以上にわたって取得した場合の当該有価証券の取得価額の算定方法として総平均法に準ずる方法を用いるとした所得税法第48条第3項及び所得税法施行令第118条第1項の各規定を準用することが合理的である。すなわち、これらの規定が総平均法に準ずる方法を用いることとした趣旨は、同一銘柄内における有価証券は代替性を有し、各有価証券の取得価額が異なっても有価証券の物的性格は同じであるから、これらを等価とみて単価を平均化する方法が合理的といえること、これによって取得価額の変動を利用した利益操作の可能性を排除できることにあるものと解されているところ、同一の外国通貨は、同一銘柄の有価証券と同様、代替性を有し、通貨としての物的性格は同じであるから、異なる為替相場が適用されて本件外貨預金口座に預入れされていた米ドルを等価とみてその単価を平均化し、その平均化した単価を用いて当該米ドルの預入時の円換算額を算定するという方法が、本件においては、最も合理的というべきである。
  3.  以上により、本件においては、当該米ドルの払出しの直前の払出しの時から当該米ドルの払出しの時までの期間を基礎として、①当該直前の払出しの時に有していた米ドル(当該直前の払出時における本件外貨預金の残高)の円換算額と、②当該期間中に預入れされた米ドルの円換算額(円交換額)の総額を合計し、さらに、③当該合計額を当該払出しの直前に有していた米ドルの総額(当該払出しの直前における本件外貨預金の残高)で除した金額をもって当該米ドル1単位当たりの金額(円)とし、同金額を基礎として預入時の円換算額を算定することが相当である。」

 なお、本裁決では、「別表3 本件外貨預金口座の円換算額等」において、以下のように「⑧払出し直前の残高1米ドル当たりの円換算額(単位)」については総平均法に準ずる方法により算出した単価を示すと記載されているのですが、その単位が円単位までなのか、小数点何位以下までなのか、また、四捨五入なのか、切り捨て、切り上げ等が、墨塗されて一切不明です。

 ただし、その辺は任意で選んで問題ないかと思われます(もちろん首尾一貫その方法でということですが)。税務署もわざわざ否認してくるとは思えません。

年月日本件外貨預金口座左記取引の円換算額⑧払出し直前の残高1米ドル当たりの円換算額(単位)
①払出し②預入れ③残高④為替相場⑤払出し
(①×⑧)
⑥預入れ
(②×④)
⓻残高
H21-5-29
H21-7-8
H21-7-10
続く

〇「②預入れ」欄には、預金利息の額の場合もあり
〇「④為替相場」欄の値は、本件外貨預金の預入時又は払出時に適用した為替相場を示す
〇「⑤払出し」欄及び「⑥預入れ」欄の各金額は、1円未満の端数を切り捨てた後の金額
〇「⑧払出し直前の残高1米ドル当たりの円換算額(単位)」欄の値(分数式)は、総平均法に準ずる方法により算出した単価を示す

外貨の取得価額が不明の場合

 為替差損益は一般的に雑所得であるため、譲渡所得のように概算取得費(いわゆる5%)の適用はありません。

 ですから、その場合、理論値で納税者にとって一番不利なレートを利用して申告すれば、税務署も否認はしてこないと考えられています。

 例えば、いつからいつまでに取得したという事がわかれば、その間の納税者にとって一番不利なレートで取得したとすればよいでしょう。

 なお、いつ取得したかもわからない場合は、過去の納税者にとって一番不利なレートで取得したとすればよいでしょう。

 例えば、円とドルの関係でいえば、過去最大の円高としては2011年10月31日の1ドル=75円32銭となります。

年度末換算

 法人ならば事業年度末の時点で、事業年度末にある外貨を年度末のレートにて円換算し直し、為替差損益を計上します。しかし、個人では年度末での円換算行いません。所得税法は法人税法と異なり、外貨建資産負債に関する期末時換算の定めがないためです。

支払調書

 外貨預金の利子及び為替差益については、支払調書が提出されません。ここが、為替差益が生じている人で申告が必要な人でも、申告していない最大の理由であると思います。