特定口座(源泉あり)において生じた所得については、源泉徴収されるため確定申告は不要です。申告不要ですが、あえて、その金額等を申告した場合、あるいは除外して申告した場合の、その後に与える影響はどのようなものでしょうか?

特定口座(源泉あり)において生じた所得又は損失の金額を上場株式等に係る譲渡所得等の金額に算入したところにより確定申告書を提出した場合

 その後においてその者が更正の請求をし、又は修正申告書を提出する場合においても、当該所得又は損失の金額を当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上除外することはできません(措通37の11の5-4)。

特定口座(源泉あり)において生じた所得又は損失の金額を上場株式等に係る譲渡所得等の金額から除外(2以上の源泉徴収選択口座のうち一部を除外した場合を含む。)したところにより確定申告書を提出した場合

(1)その後において、その者が更正の請求をする場合には、当該所得又は損失の金額を当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上算入することはできません(措通37の11の5-4)。

(2)その後において、その者が当該所得の金額以外の株式等に係る譲渡所得等の金額の増加により修正申告書を提出する場合には、当該損失の金額を当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上算入することはできません。

 例えば、特定口座(源泉あり)内の所得を申告せず、医療費控除のみの申告をしたが、 特定口座(源泉あり)内の所得を申告した方が還付額の多いことが後から分かったとしても、更正の請求はできません。

 また、 特定口座(源泉あり)内の所得を申告して還付を受けたが、社会保険料の負担額が増えたので 特定口座(源泉あり)の所得を除外して修正申告書を提出するようなこともできません。

平成18年5月30日裁決(東裁(所)平17第188号)要旨

(1)事実等

 本件は、請求人Xが、平成16年分所得税の確定申告を行った後、同年中に生じた源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡損失について、措置法37条の12の2(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除)1項の適用を受けるための更正の請求をしたところ、原処分庁が、繰越控除の特例の適用はないとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったことに対し、Xがその取消しを求めた事案である。

(2)裁決要旨

① 措置法37条の11の5第1項によると、源泉徴収選択口座を有する居住者のその年中にした源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡に係る年分の所得税については、納税者の選択により、源泉徴収選択口座において生じた上場株式等の譲渡による所得の金額又は損失の金額を株式等の譲渡所得等の金額又は譲渡損失の金額から除外して、その年分の確定申告を行うことができる旨規定されている。

② 納税者が確定申告する時点において、源泉徴収選択口座で生じた上場株式等の譲渡による所得の金額又は損失の金額を株式等に係る譲渡所得等の金額(譲渡損失の金額)に含めて確定申告をするか、それを除外して確定申告をするかは、納税者の選択に委ねられていることから、源泉徴収選択口座において生じた当該所得の金額又は損失の金額を株式等に係る譲渡所得等の金額(譲渡損失の金額)に含めずに確定申告をした場合には、その後において、更正の請求又は修正申告をするときにおいても、当該所得の金額又は損失の金額を当該株式等に係る譲渡所得等の金額(譲渡損失の金額)の計算上算入することはできないと解される。

③ Xは、本件損失の金額について、株式等に係る譲渡所得等の金額(譲渡損失の金額)から除外するかしないかということについて、措置法37条の11の5第1項の規定に従い、本件損失の金額を除外したところにより確定申告することを選択したものと認められる。したがって、本件においては、確定申告後において、株式等に係る譲渡所得等の金額(譲渡損失の金額)の計算上、本件損失の金額を算入し更正の請求又は修正申告をすることはできないことから、株式等の譲渡損失の金額は生じず、本件繰越控除の特例の適用はない。