東京国税局は、平成21年3月23日付けで、国債購入キャンペーンの景品として受領した金員は雑所得に該当する旨の文書回答をしていますが、その回答内容は以下のとおりです(「個人向け国債の購入者へ交付するキャンペーン景品の所得税法上の取扱いについて」)。

「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものは、一時所得とされています(所法341)。ご照会のキャンペーン景品は、利子所得から譲渡所得のいずれの所得にも該当しません。しかしながら、当該景品の交付金額は、個人向け国債を募集期間内に100万円以上購入し、その購入の多寡に応じて決定されることになるため、当該景品の交付は、当該国債の購入という行為に密接に関連してなされているものと認められます。そうすると、当該景品は、対価性を有していることから、一時所得にも該当しません。したがって、ご照会のキャンペーン景品は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得であることから、雑所得として取り扱われます(所法351)。」

証券会社から受領した国債キャンペーンの金員は雑所得に該当するとされた事例-平成30年10月1日裁決(裁事113集94頁)(棄却)

(1)事案の概要

 本件は、審査請求人Xが、証券会社が実施した国債購入キャンペーンの景品として受領した金員を一時所得として、所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、当該金員は雑所得に該当するとして、更正処分をしたため、当該処分の適法性が争われた事案である。

○本裁決における国債キャンペーンに関する事実等は、次のとおりである。
① F証券は、個人向け国債を販売するに当たり、国債の購入金額に応じて現金をプレゼントするキャンペーン(以下「本件キャンペーン」という。)を実施した。

 本件キャンペーンの概要は、次のとおりである。
○ 平成28年○月募集の個人向け国債のうち、10年債あるいは5年債を購入した者に対して、対象金額に応じて漏れなく現金をプレゼントする。
○ プレゼントする現金は、対象金額が1,000万円の場合、5万円であり、以降、対象金額が100万円増額するごとに5,000円追加する。
○ プレゼントは、平成28年○月中旬頃に顧客がF証券に開設した口座に入金する。プレゼント入金時に当該口座を廃止する手続がされている場合には、プレゼントを交付しない。 

② Xは、本件キャンペーンの期間中にF証券から個人向け国債(10年債)を3,000万円で購入(平成28年○月約定)し、本件キャンペーンの景品として15万円(以下「本件収入」という。)を受領した。

(2)裁決要旨(請求棄却)

① 本件キャンペーンは、本件証券会社が個人向け国債の10年債あるいは5年債を購入した者に対して、その購入額の多寡に応じて、一定の要件を満たす者に現金をプレゼントするというものであるから、本件収入は、偶発的に発生したものではなく、Xが、一定の期間に個人向け国債を購入し、本件キャンペーンの景品として交付される金員が入金されるまで本件証券会社に開設した口座を維持することなど、本件キャンペーンが適用される要件を満たした結果、交付されたものである。

 そうすると、本件収入と上記の行為は密接に関連していると認めるのが相当であり、本件収入は、役務の対価としての性質を有するものと認められる。

 したがって、本件収入に係る所得は、所得税法第34条第1項に規定する「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」には該当しないから、本件収入に係る所得は一時所得に該当せず、また、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないから雑所得に該当する。

② Xは、原処分庁の法令解釈を前提とすると、競馬の馬券の払戻金などの所得も一時所得に該当しないこととなり、当該法令解釈は、担税力や租税の公平負担の観点からも正当化する理由はない旨主張するが、Xが主張するこれらの所得は、偶発的所得という要素が認められるのに対し、本件収入は、偶発的に発生したものではなく、役務行為の対価としての性質を有するものと認められることから、Xが主張するこれらの所得と本件収入の性質は異なるものである。

 したがって、Xの主張は、いずれも採用することはできない。