不動産管理会社の税務裁判例・裁決例の多くは、不動産管理料の金額が適正か否かで争われています。全くの第三者の市中の不動産管理会社に管理を委託した場合の管理料と比べて、同族会社である不動産管理会社に支払う管理料が著しく高いため争われるというわけです。
 所得税法157条の同族会社の行為又は計算の否認に関する公表裁決15例(国税不服審判所HP令和3年6月10日現在)のうち、半分以上が不動産管理料に関する裁決となっています。
 なお、個人が受け取っている実質賃料が過少であるとして、同族会社の行為計算否認規定(所法157)に基づき個人所得税の更正処分を受ける場合であっても、同族会社の法人税には影響を及ぼさず、また、個人が受ける給与所得にも影響を及ぼしません(最高裁平成6年6月21日判決)。


 同族会社の行為計算否認規定により、不動産管理会社が受け取っていた管理料が高すぎるとして否認される(例えば30%としていたが、適正値は6%とされる)という例が多いです。ただし、中には、同族会社の行為計算否認規定を適用せず、そもそも、不動産管理会社は管理行為を行っていないとして、所得税法37条(必要経費)の規定により、不動産管理料全額の必要経費算入が認めらなかった令和元年5月23日裁決(名裁(所)平30第36号)のような事例もあります。よって、不動産管理会社は、形式ではなく、実質的に不動産管理業務をしていることが最低条件となります。