外国為替証拠金取引(FX取引)とは、外国為替(外国通貨)の売買を、一定の証拠金(保証金)を担保にして、その証拠金の何十倍もの取引単位(金額)で行う取引をいいます。なお、金融庁のレバレッジ規制により、個人投資家の場合、国内FXの最大レバレッジは25倍と定められています。例えば、20万円の保証金で最大レバレッジ25倍をかけて取引を行う場合、500万円分の取引を行うことが可能です。

FX取引の課税関係

 FX取引には、店頭デリバティブ取引と市場デリバティブ取引(金融商品取引所の開設する金融商品市場で行われる取引)がありますが、いずれの場合も課税関係は同じです。

 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、一定の先物取引の差金等決済による差益が生じた場合には、その先物取引に係る雑所得等の金額については、他の所得と区分して、20.315%(内、住民税5%)の税率による申告分離課税となります。個人口座の場合、決済していないポジションの評価損益やスワップポイントは課税対象とはなりません。なお、いわゆる海外FXとよばれるFX取引による差益については、総合課税の雑所得の対象となります。

 雑所得等の金額の計算上、売買手数料(支払い手数料)、パソコン購入費(減価償却分)、プロバイダ使用料(通信費)、関連雑誌代(図書費)、セミナー参加費などFX取引での利益(雑所得)を得るために生じた費用は、必要経費として計上することができると一般的に考えられていますが、業務の遂行上必要である部分を明らかに区分できないこと等の理由による否認事例があります。

 差金決済による差損が生じた場合には、他の「先物取引に係る雑所得等」の金額(商品先物取引、バイナリーオプション等)との損益通算は可能ですが、「先物取引に係る雑所得等」以外の所得の金額との損益通算はできません。つまり、株式等の譲渡所得と損益通算はできません。

 なお、他の「先物取引に係る雑所得等」と損益通算をしてもなお引ききれない損失の金額は、一定の手続的要件の下、翌年以後3年内の各年分の「先物取引に係る雑所得等」の金額から控除することができます(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除)。 

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除

 原則として、先物取引に係る雑所得等の金額の計算上損失の金額が生じても、その損失の金額は生じなかったものとみなされます(措置法41条の14第1項)が、その例外として、一定の手続的要件を満たした場合、その損失の金額を翌年以降3年間にわたり繰り越し、その繰り越された年分の先物取引に係る雑所得等の金額を限度として、その先物取引に係る雑所得等の金額の計算上控除できます(措置法41条の15第1項)。損失額を4年目以降に持ち越すことはできません。

 なお、一定の手続的要件を満たした場合とは、居住者等が、①先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の所得税につきその先物取引の差金等決済に係る損失の金額の計算に関する明細書等の一定の書類の添付がある確定申告書を提出し、かつ、②その後において連続して確定申告書を提出している場合(連年提出要件)であって、③この繰越控除を受けようとする年分の所得税につき、明細書等の一定の書類を添付した確定申告書を提出する場合です(措置法41条の15第3項)。

 この特例は、期限後申告自体は問題ないですが、いわゆる宥恕規定は設けられていないので、連年提出要件には注意が必要であり、例え、先物取引がなかった年も、損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です。申告忘れの場合でも、一定の場合、救済されますが、忘れずに申告しましょう。

確定申告に必要な書類

記載して提出する書類
・確定申告書B(申告書第一表、第二表)
・申告書第三表(分離課税用)
・先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
・申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)※損失を繰り越す場合

会社員が申告書を作成する際に必要な書類
・給与所得の源泉徴収票
・FXの取引履歴などがわかる損益報告書
・必要経費などがわかる領収書や明細書