借入金で株式等を取得した場合には、その年中に支払った利子を、配当収入か株式譲渡収入のいずれかから控除することができます。
配当所得の計算
株式等を取得するために借入れをした場合、株式等の取得時期や取得価額、資金の借入時期や借入金額等からその借入れが株式等を取得するためのものであることが明らかなときは、配当所得の計算上その株式の保有期間に対応する部分の借入金の利子を配当収入から控除することができます。
また、借入金で購入した株式の配当収入からその借入金利子が控除しきれないときは、確定申告した他の株式の配当収入からもその借入金利子を控除(負債利子控除)することができます。
配当について確定申告する際、配当所得の金額は、次のように計算します。
配当収入金額(源泉徴収税額を差し引く前の金額)-株式などを取得するための借入金の利子= 配当所得の金額
なお、譲渡した株式に係るものや、確定申告をしないことを選択した配当に係るものについては、配当収入金額から差し引くことができる借入金の利子には当たりません。
譲渡所得の計算
上記のように、株式等を取得するために借入れをした場合の利子は、配当収入から控除されるのが原則です。
ただし、株式等を譲渡した年は、配当収入から控除はできず、株式等の譲渡所得等(雑所得や事業所得を含む)の計算上、譲渡費用(雑所得や事業所得の場合は必要経費)として控除されます。
株式等の譲渡所得等について確定申告する際、譲渡所得等の金額は、次のように計算します。
譲渡収入金額-取得費-株式などを取得するための借入金の利子= 譲渡所得等の金額
なお、株式ごとに配当所得、譲渡所得のどちらから借入金利子を控除するかを判断します。例えば、A株式、B株式とも借入金で取得した場合で、A株式は譲渡し、B株式は譲渡しなかった場合は、A株式については譲渡収入から借入金の利子を控除し、B株式については配当収入から借入金の利子を控除します。
借入金の利子を譲渡収入から控除するのか、配当収入から控除するのかを区分することが困難な場合には、次のように計算します。
①譲渡所得等の計算上控除すべき借入金の利子=株式等を取得するために借入れをした利子×(借入金利子を差し引く前の株式等の譲渡所得等/Z)
②配当所得の計算上控除すべき借入金の利子=株式等を取得するために借入れをした利子×(配当収入/Z)
Z=借入金利子を差し引く前の株式等の譲渡所得等+配当収入