配当期待権と未収配当金

相続税の取扱い

配当期待権と未収配当金

 配当期待権とは、配当金交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する日までの間における配当金を受けることができる権利をいいます(評基通168(7))。

 大半の国内上場会社は決算期末日に合わせて株主の配当の権利が確定する基準日(配当金交付の基準日)を設定しており、その時点の株式所有者に配当金を受取る権利が発生します。事業年度が4月1日から翌年3月31日の会社の場合、 配当金交付の基準日は通常、3月31日となります。

 なお、配当金交付の効力が発生する日(配当確定日)とは、株式会社の場合は通常、配当金交付に関する株主総会の決議日のことをいいます (所基通36-4(1)) 。通常、配当金の交付は基準日における株主に対してその後の株主総会において決議されます。相続財産に株式がある場合、被相続人が保有していた株式について、仮に相続発生日(被相続人が死亡した日)までに配当金支払の決議がなされていなくても、その後の株主総会等で決議されれば配当金を受け取ることができるため、 配当期待権として被相続人の相続財産として計上します。

 そして、その決議日の翌日から配当金を受け取るまでの間については未収配当金となります。

配当期待権と未収配当金の相続税評価額

 配当期待権の相続税評価額は、源泉徴収後の受取配当金の額となります。計算式は次の通りです(評基通193)。

 配当期待権=予想配当金額×(1-源泉徴収税率)×取得株式数

 上記計算式の中の源泉徴収税率については、配当所得課税の源泉徴収税率を適用しますが、配当所得課税の適用関係をどのように判定するかについては、次によることとされています。

(1)相続人又は受遺者が選択した方法
(2)相続人又は受遺者が選択した方法が明らかでない場合は、次による。
 (イ)被相続人の選択していた方法が明らかな場合は、その方法
 (ロ)(イ) 以外の場合は、総合課税を選択したものとされる

 なお、未収配当金の相続税評価額も、配当期待権と同様に源泉徴収後の金額となります。

所得税の取扱い

 配当所得の収入金額の収入すべき時期は、通常、利益の配当等の支払についての当該法人の株主総会等の決議があった日とされています(所基通36-4(1))。ですから、株主総会で配当決議を行ったのであれば、この日が収入すべき時期となります。そして、その時点で、被相続人がすでに死亡していれば、配当所得の収入金額は相続人に帰属するものと考えます。

 反対に、相続開始日が株主総会の決議日の後の場合の配当は、被相続人の配当所得となり準確定申告の対象となります。もっとも、上場株式の配当については申告不要を選択することができます。

  配当期待権は被相続人の財産として相続税の対象となり、それに対する所得税は相続人の配当所得となり、矛盾しているように思えますが、以下のように考えるそうです。

 配当期待権に対する相続税は配当を受ける可能性を持った元本に対する課税であるのに対し、相続人対する配当金に対する所得税はその元本から生じた果実に対する課税であり、内容的には異質のものをそれぞれ課税対象とするからです。