複数の自治体にふるさと納税をすることができるのか?

 複数の自治体にふるさと納税をすることができ、寄付先の自治体数に制限はありません。ただし、6か所以上の自治体へ寄付された場合、ワンストップ特例制度が利用できず確定申告が必要になります。

ふるさと納税を行ったことにより、もらえる返礼品

 ふるさと納税を行ったことにより貰える返礼品は経済的利益であり、一時所得に該当することになり、返礼品に係る経済的利益の価額は、その返礼品の調達価格となります。

 また、ふるさと納税の返礼品の収入計上をすべき時期は、返礼品を受け取った年分となります(国税庁HP質疑応答事例「ふるさと納税の返礼品の収入計上時期」)。

令和2年8月6日裁決(札裁(所)令2第2号)要旨

 ふるさと納税の返礼品は、寄附を受けた地方公共団体が謝礼として寄附者に渡すものであるから、地方公共団体は、寄附金の募集に要する費用の額やその返礼品について、予算計画、返礼品の選定、調達個数、市場調査、事業者等との折衝などを踏まえて、寄附額に応じた返礼品を選定・調達するものと推測でき、このため、その返礼品を選定・調達した地方公共団体が、返礼品の価値を最も理解していると考えられる。そして、複数の地方公共団体(本件各団体)は、評価額を返礼品の調達に要した費用に基づき算定したことが認められる。

 ふるさと納税に係る返礼品の調達に要した費用は、返礼品の調達先である事業者等と地方公共団体との間で決定されるところ、地方公共団体等が寄附額に応じた返礼品をホームページ等で公開していることを踏まえると、その決定された金額について、事業者等と地方公共団体との間に特別な動機を挟む余地はなく、通常、地方公共団体が返礼品の調達時における時価を超える金額で調達することはないものと考えられる。したがって、評価額は、返礼品の調達時における時価を示したものと認められる。

 本件各団体は、返礼品の調達先である事業者による返礼品の発送をもってその代金を支払っており、その金額は発送により確定すると認められる。そして、返礼品の発送すなわち本件各団体の調達と、請求人における取得等は、時期が近接していると認められ、その二つの時期は同時期であるとみても特段不合理ではない。よって、請求人が返礼品を取得等した時点での返礼品の評価額は、本件各団体が調達に要した費用に基づき算定した評価額と同額であると認められる。

 以上によれば、本件各評価額は、本件各返礼品の取得等の時における客観的交換価値(時価)と認めるのが相当である。

令和4年2月7日裁決(裁事126集)要旨

 ふるさと納税をした個人は地方公共団体からの贈与により返礼品を取得すること、ふるさと納税制度における返礼品の提供が当該個人に対する謝礼であることからすれば、本件各返礼品に係る経済的利益の価額は、地方公共団体が謝礼(返礼品の調達・提供)のために支出した金額(返礼品調達価格)をその算定の基礎とすることが相当である。そして、通常、地方公共団体が返礼品等をその調達時における時価を超えて調達することはないと考えられ、また、本件において、本件各返礼品が不当に高額又は低額で取引されたといった事情は認められない。

 これらのことからすると、返礼品調達価格は、地方公共団体が本件各返礼品を調達した時における返礼品の客観的交換価値を示すものと評価できるから、請求人は、本件各返礼品を取得することにより、本件各返礼品につき返礼品調達価格に相当する経済的利益を得たことになる。したがって、本件各返礼品に係る経済的利益の価額は、本件各返礼品の返礼品調達価格によるのが相当である。

ふるさと納税に係る寄附金と返礼品の受領との間に対価性はない

 ふるさと納税に係る寄附金と返礼品の受領との間に対価性はありません。

令和4年3月1日裁決(名裁(所)令3第29号)要旨

 ふるさと納税制度は、寄附者自らの意思に基づいてふるさと納税を行うことにより、個人住民税の一部をふるさと等に実質的に移転させる効果をもたらすものであり、ふるさと納税を受けた地方公共団体が必ず返礼品を提供することを前提とする制度ではない。加えて、総務大臣は、一貫して、地方公共団体及び社会一般に対し、ふるさと納税に係る寄附金が、寄附者から地方公共団体への経済的利益の無償の供与であり、返礼品は寄附の対価の提供ではないとのふるさと納税制度及び返礼品の運用指針を示しており、かかる指針の下で寄附及び返礼品の提供が行われていると考えられる。

 これらのことからすると、返礼品の受領を目的(すなわち対価)として寄附が行われるのではなく、返礼品は、各地方公共団体がふるさと納税とは別に、各地方公共団体の独自の取組みにより、寄附者に謝礼として提供されるものと評価すべきであり、ふるさと納税に係る寄附金と返礼品との間に対価性は認められない。そうすると、本件各ふるさと納税に係る寄附金と本件各返礼品の受領との間に対価性はなく、請求人は、本件各返礼品の受領により経済的利益を受けたものと認められる。

ふるさと納税と特定口座(源泉あり)の関係

 特定口座(源泉あり)内でプラスであっても、源泉所得税等が差し引かれているので、その分については申告をする必要がありません。

 ただし、特定口座(源泉あり)のプラスを申告することによって、所得が増加するため、ふるさと納税の枠を増加させることができます。