概要

 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、副業に係る所得が該当します。

 雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできませんが、雑所得内での内部通算(相殺)はできます。

 ただし、国内FXと海外FXのように、雑所得でも、申告分離課税と総合課税の対象になるもの同士は通算できません。

雑所得の区分と計算方法

雑所得の区分

 令和2年分の確定申告書の用紙の雑所得の欄に「業務」というものが追加され、雑所得は令和 2 年から 次の3 区分されています。

区分具体例
(1)公的年金等国民年金・厚生年金など
(2)業務に係るもの副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの(事業所得に該当するものでないもの)
(3)(1)、(2)以外のもの生命保険会社の年金・暗号資産取引・為替差益・海外FX など

所得の計算方法

雑所得の金額は、次の(1)から(3)の合計額です。

(1)公的年金等
収入金額 – 公的年金等控除額 = 公的年金等の雑所得
(注)公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められています。

(2)業務に係るもの
総収入金額 – 必要経費 = 業務に係る雑所得

(3)(1)、(2)以外のもの
総収入金額 – 必要経費 = その他の雑所得

 (2)・(3)に損失が出た場合、雑所得内での内部通算はできますが、給与所得・事業所得など他所得との損益通算はできず、損失を翌年へ繰越すこともできません((1)は損失になることはありません)。

損益通算と内部通算

 同一種類の所得の内に黒字と赤字の金額がある場合にこれを差引計算することは、所得税法69条の規定による損益通算ではなく、各種所得の金額の計算にすぎません。

 したがって、競走馬のごとく生活に通常必要でない資産に係る所得の計算上生じた損失の金額であっても、それが雑所得の損失であるならば、同じく雑所得である公的年金から差し引くことができます(所法35②)。