スマホ

概要

 iPhoneなどのスマホの税務上の耐用年数は何年なのか、悩まれる方はいるでしょう。

 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下「耐用年数省令」といいます)によれば、携帯電話と考えるならば、別表第一の「器具及び備品」の「2 事務機器及び通信機器」の「電話設備その他の通信機器」の「その他のもの」になり、耐用年数は10年となります。

 ただし、今のスマホは昔の携帯電話と違い、インターネット検索、アプリの利用等パソコンと同様の機能を多く有しています。現に、スマホを用いた確定申告書の作成を、国税はアピールしています。また、スマホの決済サービスを利用した税金納付も導入されています。

 国税自体が、スマホを単なる携帯電話という考え方をしていないということです。

 スマホをパソコンと考えるならば、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「2 事務機器及び通信機器」の「電子計算機」の「パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く。)」になり、耐用年数は4年となります。

 現代のスマホの使われ方を考えると、耐用年数10年は長すぎであり、個人的には4年が妥当だと思えます。

 ただし、会社によっては、スマホを携帯電話としての利用をメインとしている場合があるでしょう。例えば、社員に業務用や連絡用として貸与しており、携帯電話としての利用がメインである場合です。そのような場合は、耐用年数10年が妥当かもしれません。

耐用年数取扱通達1-1-9

 スマホの耐用年数の判断に悩み、はっきりしておきたいと思う方は、税務署長の確認を受けるのもいいかもしれません。

 耐用年数取扱通達1-1-9の取扱いにより、税務署長の確認を受けれれば、その特掲されている器具及び備品の耐用年数を適用することができるとされています。

 なお、税務署長の確認のためには書類を提出する必要がありますが、書類には決まったフォームがあるわけではありません。

 ただし、個人的経験なのですが、過去に行った際には、税務署に記載例を提示してもらえ、それに沿って書類を作成し提出しました。

 ですから、利用を考えている方は所轄税務署にあらかじめ問い合わせをされた方がよいと思います。

耐用年数取扱通達1-1-9(「構築物」又は「器具及び備品」で特掲されていないものの耐用年数)

 「構築物」又は「器具及び備品」(以下1-1-9において「構築物等」という。)で細目が特掲されていないもののうちに、当該構築物等と「構造又は用途」及び使用状況が類似している別表第一に特掲されている構築物等がある場合には、別に定めるものを除き、税務署長(調査課所管法人にあっては、国税局長)の確認を受けて、当該特掲されている構築物等の耐用年数を適用することができる。

法人税

 取得価額が10万円未満のスマホは、その取得に要した金額の全額を、その事業の用に供した日の属する事業年度において全額経費(損金)とすることができます(法令133)。

 また、取得価額が20万円未満のスマホについては、一定の要件の下で、3分の1に相当する金額をその事業の用に供した年以後3年間の各事業年度において経費とすることができます(法令133の2)。いわゆる、一括償却資産として取り扱うということです。

 また、一定の要件を満たす中小企業者等が、取得・事業の用に供した取得価額30万円未満のスマホについては、一定の要件の下で、その事業の用に供した事業年度の経費とすることができます(措法67の5、措令39の28)。いわゆる、中小企業者等の少額減価償却資産として取り扱うということです。

 よって、中小企業の大半が法人税においては、スマホの耐用年数が何年なのか考える必要がないということになります。

 ただし、全部が全部そういうわけでなくて、スマホを器具及び備品として資産計上する必要がある会社もあるでしょう。

 その場合、先に記載した通り、現代のスマホの使われ方を考えると、耐用年数10年は長すぎであり、個人的には4年が妥当だと思えます。

 なお、心配の方は、耐用年数取扱通達1-1-9の取扱いを検討されると良いでしょう。

所得税

 所得税(個人事業主)の場合も、基本的には、法人税の取扱いと同じように考えてよいと思います。

 ただし、個人の場合で、事業だけでなく私的にも利用している場合には家事按分をする必要がありますが、取得価額は家事按分をする前の金額で判定します。

償却資産税

 おそらく、多くの方が、法人税や所得税の取扱いではスマホについて資産(器具及び備品)計上せずに、経費計上しているため、耐用年数について悩んでいないと思います。

 ただし、償却資産税の申告で、耐用年数が何年なのか悩んでいるだと思います。

 取得価額が10万円未満のスマホ、あるいは、一括償却資産として取り扱われたスマホについては、固定資産税(償却資産)の申告対象外となります。

 ただし、中小企業者等の少額減価償却資産については、法人税・所得税法上は経費として取り扱っても、固定資産税(償却資産)においては償却資産として計上し申告する必要があります。

 そして、申告するならば、スマホの耐用年数について記載する必要があります。

 なお、私が問い合わせた範囲の自治体では、やはり、携帯電話としての利用がメインなのか、パソコンのように利用しているのがメインなのかで、耐用年数が10年なのか、それとも4年なのかとなるということでした。

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