概要

 同じ年に上場株式等と一般株式等(未上場株式等)を両方売却し、それぞれ利益取引・損失取引がある場合、上場株式等同士又は一般株式等同士では利益と損失を通算できますが、平成28年1月1日以後、上場株式等の譲渡利益(損失)と一般株式等の譲渡損失(利益)は通算できません(措法37の10①、37の11①、措通37の10・37の11共-3)。

 よって、その譲渡損益が、上場株式等又は一般株式等のどちらに該当するかは、厳密に区分する必要があります。

令和4年8月東京国税局資産税審理研修資料112頁

 原則的には、上場株式等の譲渡又は一般株式等の譲渡に該当するかの判定について、譲渡時点で措法第37条の11第2項に規定する「上場株式等」に該当するか否かにより判定することになるが、以下の2つに該当するものについては、譲渡した時において非上場株式であったとしても、上場株式等の譲渡として取り扱うことが相当である。

 第一に、株式交換、吸収合併、新設合併若しくは株式併合に反対する株主の株式が買取請求に基づき金銭交付を受けた場合、又は、全部取得条項付種類株式若しくは株式等売渡請求の対象となる株式に係る価格の決定の申立てに基づき金銭交付を受けた場合については、上記2の文章回答事例(「株式交換に反対する個人株主の株式が買取請求に基づき買い取られた場合の課税関係について」)と同様の理由により、当該金銭交付に係る株式等の譲渡は、上場株式等の譲渡として取り扱うことが相当である。

 第二に、株式交換、吸収合併又は全部取得条項付種類株式の取得の対価として株主が金銭の交付を受ける場合については、措法第37条の12の2第2項第5号の追加の趣旨等からして、当該金銭交付に係る株式等の譲渡は、上場株式等の譲渡と解することが相当である。

〇平成23年8月4日大阪国税局文書回答事例「株式交換に反対する個人株主の株式が買取請求に基づき買い取られた場合の課税関係について」
https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/bunshokaito/gensen/110809/index.htm