上場証券投資信託の受益証券

 上場証券投資信託の受益証券は金融商品取引所を通じて売買することになりますから、上場株式の評価の定めに準じて評価します。なお、上場証券投資信託の受益証券には、ETFや日経300等があります。

非上場証券投資信託の受益証券

  非上場証券投資信託の受益証券は、課税時期において解約請求又は買取請求(以下「解約請求等」といいます。)を行ったとした場合に証券会社などから支払いを受けることができる価額により評価します。

①MRFやMMF等の受益証券

 MRF等の日々決算型の証券投資信託の受益証券は、課税時期に解約請求等をした場合に証券会社等から支払いを受けることができる価額として、次のように評価します。なお、このような形態の証券投資信託の基準価額は、現在1口1円です。口数は被相続人の死亡日等(課税時期) の残高証明書を証券会社から取り寄せることで確認できます。

MRF等の受益証券

②①以外の証券投資信託の受益証券

 上記①以外の証券投資信託の受益証券は、課税時期に解約請求等をした場合に証券会社等から支払いを受けることができる価額として、次のように評価します。被相続人の死亡日等(課税時期)の1口あたりの基準価額や口数は証券会社から残高証明書を取り寄せることで確認できます。

証券投資信託の受益証券

●1万口当たりの基準価額が公表されている証券投資信託については、算式中の「課税時期の1口当たりの基準価額」を「課税時期の1万口当たりの基準価額」と、「口数」を「口数を1万で除して求めた数」と読み替えて計算した金額とします。

●課税時期の基準価額がない場合には、課税時期前の基準価額のうち、課税時期に最も近い日の基準価額を課税時期の基準価額として計算します。

● 源泉徴収されるべき所得税・住民税相当額(源泉徴収税相当額)とは、 被相続人の死亡日等(課税時期)において投資信託を解約したと仮定した場合に生ずる税金です。つまり、被相続人の死亡日等(課税時期)で換金した場合の金額から取得価格(個別元本)を控除し、その残額に20.42%又は20.315%を掛けることで源泉徴収税額を求めることができます。

● 2009年(平成21年)1月1日以降、居住者の公募株式投資信託の解約については収益分配金(配当所得)として取り扱われることはなくなりましたので、源泉徴収税相当額はありません。課税方式が変わったのですが、通達(評基通199)はその当時から改正されていないため、現在の課税方式に対応しきれておらず、誤解が生じやすいところとなっています。

● 特定口座(源泉徴収あり)内で管理している「公募株式・公社債投資信託」の解約時に生じる源泉徴収税額相当額については、控除されないものと考えられます。なぜなら、一般口座等で管理している「公募株式・公社債投資信託」の解約時には源泉徴収税額が生じません。口座次第で源泉徴収税額の有無、つまり、相続税評価額が違ってしまっては課税の公平性に反するからです。

●上記の結論からいって、源泉徴収税額相当額を差し引けるのは(1)私募株式投資信託の元本(受益権)を超えた配当所得分(未上場株式の配当と同様20.42%)と(2)私募公社債投資信託の元本(受益権)を超えた利子所得分(20.315%)についてと考えられます。なお、公募株式・公社債投資信託と違って、私募株式・公社債投資信託を所有されている方は、少数でしょう。