収入印紙

概要

 「金銭消費貸借契約書」は、印紙税法上、1号の3文書に該当します。作成する場合、契約書に一定の収入印紙を貼付し、消印をすることになっています(印法8)。

 記載された契約金額によって、下記のように印紙税額が変わります。

記載された契約金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1千円
100万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円

 契約書は、契約の当事者が相手方等に対して、成立した契約の内容を主張するために作られます。そのため一般的には、契約書は2通作成して、当事者それぞれが所持し、2通両方に印紙を貼付する必要があります。

 しかし、原本をどちらで所持するのか当事者間での話し合いをし、契約書を1通のみ作成して、契約者の片方が所持し、他の契約者はコピーを所持することでもかまいません。

 この場合、印紙は契約書1通に貼付するだけで済み、印紙負担額が半額になります。親等親族からお金を借りる場合などには、この方法で印紙税の節税となります。

 ただし、この場合の注意点として以下のことがあげられます。
 写し、副本、謄本等と表示された文書であっても、おおむね次のような形態のものは、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかですから、印紙税の課税対象になります(印基通19)。

(1)契約当事者の双方または文書の所持者以外の一方の署名又は押印があるものは、印紙税の課税対象になります。つまり、文書の所持者のみが署名又は押印しているものは、契約の相手方当事者に対して証明の用をなさないものですから、課税対象とはなりません。

(2)正本等と相違ないこと、または写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるものは、印紙税の課税対象になります。ただし、文書の所持者のみが証明しているものは、契約の相手方当事者に対して証明の用をなさないものですから、課税対象とはなりません。

 よって、親子間で金銭消費貸借契約書を作成する場合で、印紙税を節税したい場合は以下の方法をとると良いということになります。

 契約書の文面で、「本契約書2通を作成し、甲乙各自1通を所持する」としてあれば、印紙は2通分必要です。よって、契約書の文面を「本契約書1通を作成し、甲が原本を保有して乙はその写しを保有するものとする」とすべきです。

 そして、契約書の正本をコピー機で複写しただけのものは、たとえ精巧なものであっても単なる写しにすぎませんから、写しの方は課税対象とはなりません(当然、原本の方には印紙必要)。

 課税対象となる文書を2人で共同して作成した場合には、その2人は作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務があります(印法3②)。

 金銭消費貸借契約書は親子双方が共同して作成した文書ですから、契約書(原本)に貼付する印紙代金を、親子が折半しても問題ないということになります。

関連記事