赤ちゃん

 民法では受贈者の年齢制限を設けていません。教育資金の贈与など、今後、未成年者への贈与も増えるでしょう。

 成年(20歳、2022年4月1日以降は18歳、民法4)に達しない子は、父母の親権に服することになっています(民法818①)。なお、未成年者が婚姻をしたときは、成年に達したものとみなします(民法753)。つまり、結婚をしていない20歳未満の者は、父母の親権に服するというわけです。

 親権は、父母の婚姻中は父母が共同して行うのが原則です(民法818③)。なお、父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければなりません(民法819①)。また、裁判上の離婚の場合には、裁判所が、父母の一方を親権者と定めます(民法819②)。

 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表します(民法824)。なお、親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならないとなっています(民法826①)。

 贈与者が親権者以外であるならば、贈与契約は受贈者にとって一方的に有利な契約であるため、当然に利益相反行為にあたりません。また、贈与者が親権者である場合は、形式的には自己契約となりますが、実質的には利益相反行為にあたらないと解せます。

 よって、未成年の子に対する贈与は利益相反行為に該当しないため、特別代理人はいらず、親権者が受諾すれば未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかにかかわらず贈与契約は成立するということになります。

 民法Ⅳ[補訂版]親族・相続 内田貴著 東京大学出版会 228p 引用
「親権者が子に贈与をする場合は、形式的には自己契約であるが、子に一方的に有利な契約であるから実質的には利益相反行為にあたらないと解してよい」

 平成19年6月26日裁決(名裁(諸)平18第74号)での判断。
「贈与契約は諾成契約であるため、贈与者と受贈者において贈与する意思と受贈する意思の合致が必要となる(民法第549条《贈与》)が、親権者から未成年の子に対して贈与する場合には、利益相反行為に該当しないことから親権者が受諾すれば契約は成立し、未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかにかかわらず、贈与契約は成立すると解される。」

贈与契約書

 確かに、贈与をしたという証拠のために贈与契約書を毎年作成し、贈与をしましょう。

(例)受贈者 山田太郎(未成年者)  親権者 山田一郎

(1)受贈者が未成年で、かつ、自ら署名押印できない場合
  受贈者の記載は、法定代理人である親権者が署名押印します。

(受贈者) ●●県●●市●●町1-1-1 山田太郎   法定代理人  山田一郎  (山田一郎の印)

(2)受贈者が未成年で、自ら署名押印できる場合
 受贈者の記載は、 受贈者が署名押印します。ただし、親権者も署名押印します。

(受贈者) ●●県●●市●●町1-1-1 山田太郎  (山田太郎の印)
 
(受贈者の親権者) ●●県●●市●●町1-1-1   山田一郎 (山田一郎の印)

民法

(成年)
民法4条 年齢二十歳をもって、成年とする。

(贈与)
民法549条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

(婚姻による成年擬制)
民法753条 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

(親権者)
民法818条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

(離婚又は認知の場合の親権者)
民法819条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

(財産の管理及び代表)
民法824条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

(利益相反行為)
民法826条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。