suica

Suicaを入手してデポジット(500円)を支払った場合

 事業者がSuicaカードを入手してデポジット(500円)を支払った場合には、交通費などの費用とはせずに預託金として資産計上します。

 カードをJRに返却した際に預けた500円が返還されるため、経費にすることはできないということです。

 よって、以下のような仕訳となります。

 預託金 500 現金 500

 将来、カードを返却した場合には、以下のような仕訳となります。

 現金 500 預託金 500

期中処理

Suicaにチャージした場合

 例えば、事業者が、現金10,000円をチャージした場合には、以下のような仕訳となります。

 預け金 10,000 現金 10,000

Suicaを利用した場合

 経費は原則として実際に支払った(利用した)時点で費用計上することとなるため、例えば、交通費として利用した際に、以下のような仕訳処理をします。

 旅費交通費 500 預け金 500

 なお、Suicaの利用は交通費だけでなく、モノの購入や飲食等にも利用できますが、そのような場合は適切な科目で処理してください。

 例えば、会議のために喫茶店を利用した場合は、以下のような仕訳となります。

 会議費 1,500 預け金 1,500

Suicaを交通費としてのみ利用の場合

Suicaにチャージした場合

 本来は、Suicaにチャージした段階では、経費として何も使っていない状態なので、前述したように、以下のような仕訳となります。

 預け金 10,000 現金 10,000

 ただし、Suicaを交通費としてのみ利用の場合は、以下のような仕訳で問題ありません。

 旅費交通費 10,000 現金 10,000

決算末(年末)

 会社の決算末(事業年度末)や個人事業主の12/31時点において、利用されていない分(チャージ残高)の金額を、以下のような仕訳処理をする必要があります。

 預け金 2,000 旅費交通費 2,000

 期中でSuicaにチャージした全額を旅費交通費として処理した場合、未使用分(チャージ残高)は旅費交通費とはならないため、資産計上をする必要があるからです。

 Suicaは切手等と同様に金銭等価物であり、消耗品等には該当しないため、原則として経費にできる金額は、チャージした金額のうち実際に使用した金額分のみとなります。

 ただし、実務上は、期ズレが生じる金額は多額とはならないため、資産未計上を税務調査で指摘されることはマレです。

事業専用のSuicaを利用する

 私的に使っているSuicaカードとは別に、事業専用だけのためのSuicaカードをつくり、それを利用しましょう。

 そうしないと期中の仕訳処理が面倒ですし、私的費用を誤って事業用経費として処理した場合は、税務調査の際に問題となります。

 なお、事業専用でのSuicaの私的利用は望ましくありませんが、誤って私的費用として利用してしまった場合は、役員貸付金(会社の場合)や事業主貸(個人事業主)等の勘定科目で仕訳処理をしてください。

証拠資料の保存

 Suicaに現金をチャージした場合には、領収書を必ず発行して保存をしておいてください。

 また、Suicaの利用履歴も必ず保存をしておいてください。利用履歴がないと何に使ったかが証明できないため税務調査で問題となります。

 利用履歴は、原則、26週以内かつ最大100件までしか確認できないので、こまめに利用履歴の保存をしてください。上限を超えた情報を欲しい場合は、情報開示請求の手続きをする必要があり面倒です。

 また、Suica利用の際に、領収書が発行される場合は領収書も保存をしてください。例えば、バス利用の場合は領収書は発行されないでしょうが、タクシー利用の場合は領収書を発行してもらい保存をしてください。