利付債の経過利子とは、既発行利付債を利払日と利払日の間で売買した時に、前の利払日の翌日から受渡日までの利子をその利付債の利率により日割計算して、買い手側が売り手側へ支払うものです。

所得税の取り扱い(個人の場合)

 利払日が2016年1月1日以降となる国内債券を売買した場合の経過利子については、売り手側は譲渡収入額に、買い手側は取得価額に、それぞれ経過利子を加算して譲渡損益を計算します。

 譲渡益については申告分離課税で、20.315%の税率が課されます。

売り手側の計算例

(例)国内債券を1,000万円で購入し、その後、売却代金1,000万円と経過利子10万円で、その債券を売却した。

(答)(1,000万円+10万円)-1,000万円=10万円(譲渡益)
    10万円×20.315%=20,315円(税額)

法人税の取り扱い(法人の場合)

 買い手側は経過利子について、会計上は、原則として債券の取得価額に含めないとされています(金商指針57)が、法人税法上は、どちらの方法も認められています(法基通2-3-10)。

 なお、経過利子に対する源泉税相当額の控除は行われません。

売り手側の計算例

(例)国内債券を1,000万円で購入し、その後、売却代金1,100万円と経過利子10万円で、その債券を売却した。
 売却時     現金預金 1,110万円   有価証券  1,000万円
                     有価証券利息  10万円
                     有価証券売却益 100万円

 なお、有価証券利息を計上せずに、有価証券売却益110万円でもよいです。

買い手側の計算例

(例)国内債券を1,000万円と経過利子4万円で購入した。利払日に利息10万円(所得税等15,315円)を受け取った。

(答-1) 経過利子を債券の取得価額に含めない場合
 取得時     有価証券 1,000万円   現金預金 1,004万円
         前払金    4万円

 利息受取時   現金預金 84,685円  有価証券利息 60,000円
         租税公課 15,315円  前払金    40,000円

(答-2) 経過利子を債券の取得価額に含める場合
 取得時     有価証券 1,004万円   現金預金 1,004万円

 利息受取時   現金預金 84,685円  有価証券利息 100,000円
         租税公課 15,315円  

金融商品会計に関する実務指針57

 本報告で用いる評価額等に係る用語の定義は、以下のとおりとする。

(1) 取得価額とは、金融資産の取得に当たって支払った対価の支払時の時価に手数料その他の付随費用を加算したものをいう。なお、債券を流通市場から購入する場合に支払う前利払日から債券の受渡日までの経過利子は、原則として債券の取得価額に含めない。

(2)~(6)省略

法人税基本通達2-3-10(公社債の経過利子)

 法人が国債又は地方債若しくは社債(いわゆる金融債等会社以外の法人が特別の法律により発行する債券で利付きのものを含む。)をその利子の計算期間の中途において購入し、直前の利払期からその購入の時までの期間に応じてその債券の発行条件たる利率により計算される経過利子に相当する金額を支払った場合において、当該金額をこれらの債券の取得価額に含めないで当該債券の購入後最初に到来する利払期まで前払金として経理したときは、これを認める。