
概要
金の場合、先物相場が現物相場より高いという特徴があります。この特徴を利用した商品に、金投資口座(金貯蓄口座)というものがあります。銀行は金投資口座、証券会社は金貯蓄口座という名称で販売しています。
金投資口座は、金融機関が一定期間後の買取価格を決めて顧客である投資家に金を販売(買戻し条件付きの販売)するという仕組みであり、原則として中途解約はできません。顧客が購入した時に買戻し金額及び売買益が確定するため、確定利付商品となります。
金融機関は先物で売り予約を行いながら金取引業者から現物で金を購入する一方、顧客にこの金を買戻し条件付きで販売します。
なお、金融機関が顧客に金を販売するといっても、一定期間後、顧客から金を買戻すため、顧客が購入した金は保護預りとなり、顧客は実際には金の現物を受け取ることができません。その代わりに、金融機関は顧客に対して預り証又は金投資口座の証書を発行します。
そして、一定期間後、金融機関は約定の買取価格で顧客から金を買戻し、その代金を顧客に支払います。金の先物相場が現物相場より高いという特徴があるため、顧客に売買益が生じることとなります。
なお、「金投資口座」や「金貯蓄口座」は、金融機関(銀行、証券会社)が買戻し条件付で金を販売するもの(顧客が購入時に買戻し金額及び差金が確定)であり、金取引業者が扱っている金定額購入システムの「金積立口座」とは異なる商品です。
所得税の取扱い
金投資口座での売戻し条件付売買の利益(売戻しをした場合の金額からその物品の買入れに要した金額を控除した残額。所法174六)は金地金の現物の譲渡益とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315%(所得税及び復興所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉分離課税となります(措法41の10、所法209の2、209の3)。
金投資口座での売戻し条件付売買の利益は、上記の一律20.315%の税率による源泉分離課税制度が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了(所得税の納税が完結)するため、他の所得と合算して確定申告をすることはできません。預貯金の利息と同じ取り扱いとなります。