概要

 投資一任口座(ラップ口座)における上場株式等の売買から生じる所得区分は、事業所得または雑所得に該当すると考えられます。その理由は以下のとおりです(国税庁質疑応答事例譲渡所得「投資一任口座(ラップ口座)における株取引の所得区分」)。

 ・投資一任契約は、所有期間1年以下の上場株式等の売買を行うものであること。
 ・顧客が報酬を支払って、有価証券の投資判断とその執行を証券会社に一任し、契約期間中に営利を目的として継続的に上場株式等の売買を行っていると認められること。
 
 よって、被相続人は生前、ラップによる運用利益として雑所得を得ていたということです(事業所得には、まず該当しません)。ただし、相続税の取得費加算の特例(措法39)は譲渡所得でしか認められず、雑所得では認められません。

 では、被相続人の投資一任口座(ラップ口座)を、相続人が売却した場合、相続税の取得費加算の特例を利用できるのでしょうか?
 
 次のように考えるようです(国税庁に照会)。
 ・相続開始、即換価であれば相続人の譲渡所得でよいのでしょう。
 ・相続開始後、一定期間そのままにして引き継いでいると、そのような決め打ちはできない。よって、個別に確認してください。

 なお、投資一任口座(ラップ口座)の契約は、通常、契約者がなくなって遺族から連絡があった場合は、その口座内の株式等はすぐに換金されます。よって、相続人の譲渡所得に該当すると考えられます(契約者が亡くなった時点では、換金されていません)。

 ただし、契約者がなくなるまでに発生した所得においては、準確定申告が必要となる場合があります。