法人税法上、役員に対する退職給与の取扱いについては基本的には事業遂行上の経費として損金性を有するものとされています(法法34①かっこ書)が、その損金算入については若干の制限が設けられています。
 すなわち、役員退職給与のうち「不相当に高額な部分」の金額は損金の額に算入されないことになっています(法法34②)が、「不相当に高額な部分」とは、当該役員が、①法人の業務に従事した期間、②その退職の事情、③類似法人の役員退職給与の支給状況などに照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう(法令70二)ものと定められています。
 なお、退職給与の額が過大であるかどうかを判定する基準として、上のように3つの基準が例示されていますが、実務上、最も重視されるのは、③類似法人の役員退職給与の支給状況との対比です。そして、この類似法人の役員退職給与の支給状況を斟酌して退職給与の適正額を判定する場合には、「同業類似法人の選定」と「具体的な判定方法」である「功績倍率法」のあり方が問題となります。
 多くの判決・裁決で、平均功績倍率は、役員退職給与として相当であると認められる金額を算定するための合理的な指標と判示され、採用されています。
 平均功績倍率法が採用された事例としては、東京高裁昭和49年1月31日判決(税資74号293頁)、最高裁昭和50年2月25日第三小法廷判決(同80号259頁)、東京地裁昭和49年12月16日判決(同77号675頁)、東京高裁昭和51年9月29日判決(同89号777頁)、長野地裁昭和62年4月16日判決(同158号104頁)、東京地裁平成25年3月22日判決(平成23年(行ウ)第421号)等数多くがあります。

過大役員退職給与のトレンド

 役員報酬が過大とされて否認される事例は、昔に比べて、だいぶ減りましたが、役員退職給与が過大とされて否認される事例は今でも定期的にあります。