概要

 株価指数先物取引とは、TOPIX(東証株価指数)や日経225(日経平均株価)のような株価指数を対象とする先物取引のことです。

 株価指数は抽象的な数値であるため、受渡を実際に行うことはできません。そのため、株価指数先物取引の決済は、転売、買戻し、最終決済の、いずれの場合であっても、売値と買値との差額部分を授受して行います。

 このような決済の方法を「差金決済」といいます。 

個人が株価指数先物取引をした場合の所得税の取り扱い

 株価指数先物取引の差金等決済をした場合には、その先物取引に係る雑所得等の金額については、他の所得と区分して、20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)の税率による申告分離課税となります。

「先物取引に係る雑所得等の金額」の計算上生じた損失の金額は、他の「先物取引に係る雑所得等の金額」との損益の通算は可能ですが、先物取引に係る雑所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。

「先物取引に係る雑所得等の金額」の計算上生じた損失の金額は、一定の要件の下で、翌年以後3年間にわたり繰り越し、その繰り越された年の「先物取引に係る雑所得等の金額」を限度として、一定の方法により、「先物取引に係る雑所得等の金額」の計算上差し引くことができます。

 所得税法上は、基本、国内FXの取り扱いと同じとなります。株価指数先物取引が成立した時点では契約のみで、金銭の受渡は行われません。また、損益も生じません。差金決済した時点で損益が生じます。

法人が株価指数先物取引をした場合の法人税の取り扱い

買建て時、売建て時

差入証拠金(OR 預け金) 10,000,000円  現預金 10,000,000円

 買建て時、売建て時に証拠金を差し入れた場合、「差入証拠金」等として計上します。

値洗い時

 値洗い益の場合
現預金(OR 預け金) 1,000,000円  先物取引差金 1,000,000円

 値洗い損の場合
先物取引差金 1,000,000円  現預金(OR 預け金) 1,000,000円

 値洗い時において、値洗い損益分を現預金(OR 預け金)で受け取り、あるいは支払った場合は、相手勘定科目を「先物取引差金」等として計上します。

なお、この「先物取引差金」は損益には該当せず、差金決済時に精算します。

差金決済時

先物取引差金 1,000,000円        先物取引損益 8,000,000円(決済損益)
現預金(OR 預け金) 6,912,000円
支払手数料 88,000円

 株価指数先物取引で差金決済を行った場合は、転売、買戻しの約定日、又は、最終決済に係る取引最終日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入することになっています(法基通2-3-44)。

 決済した場合は、それまでに値洗いで計上していた「先物取引差金」が精算されます。

期末(決算)処理

株価指数先物 350,000円  先物取引損益 350,0000円(評価損益)

 法人の期末(決算)時点において決済されていないものは、期末でそれを決済したものとみなして評価替え(時価評価)を行ないます(法法61の5、法規27の7、法基通2-3-39)。

 建値との差額が評価損益となり、評価損益の相手勘定科目を「株価指数先物」等として計上します。

翌期首処理

先物取引損益 350,0000円(評価損益)  株価指数先物 350,000円

 次期の期首に前期末で経理処理した反対仕訳(戻し入れ処理)をします(法令120①)。