概要
中間申告とは、事業年度の中間点で納税をするための手続をいいます。
事業年度が6か月を超える普通法人は、原則として事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に中間申告書を提出する必要があります。
例えば、3月末決算の法人なら、11月末までに中間申告書を提出する必要があるということになります。
なお、中間申告により納付すべき税額がある場合には、中間申告書の提出期限までにその税額を納付する必要があります(法法76)。
中間申告2つの方法
中間申告には、「前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)」と「仮決算に基づく中間申告」の2種類があり、いずれかを選択することができます。
前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)
「前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)」とは、次の算式により計算した金額を中間分の税額として申告することをいいます(法法71①、地法16①)。
前事業年度の確定法人税額/前事業年度の月数×6
ただし、上記算式により計算した金額が10万円以下である場合又はその金額がない場合には、中間申告書の提出は必要ありません(法法71①ただし書)。
仮決算に基づく中間申告
「仮決算に基づく中間申告」とは、事業年度開始の日以後6か月の期間を1事業年度とみなして、仮決算を行い提出期限までに中間申告することをいいます(法法72①、地法17①)。
申告書様式は確定申告の場合と同様ですが、表題部に「中間」申告書と記載します。また、確定申告の場合と同様に、決算書等も添付します(法法72②)。
なお、中小企業の場合、手間がかかるため、上述した「前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)」で済ますことが多いです。
ただし、前事業年度に比べ経営状況が悪化して納付すべき税額が減少すると見込まれる場合は、仮決算に基づく中間申告を選択することにより中間納付税額を少なくすることが可能となります。
なお、仮決算に基づく中間申告は、次の場合には提出できません(法法72①ただし書)。
① 前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)による中間納付税額が10万円以下である場合又はその金額がない場合(災害損失金額がある場合を除きます。)
② 仮決算をした場合の中間申告書に記載すべき法人税の額が、前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)による中間納付税額を超える場合
還付加算金の割合が市場利率に比して高率であるため、あえて仮決算による中間申告を行った上で、確定申告による中間納付税額の還付による還付加算金を得るということが頻繁に行われていたため、平成23年6月の税制改正により、これらの場合には仮決算による中間申告はできないこととされました。
中間申告書をその提出期限までに提出しなかった場合
中間申告書を提出すべき法人がその中間申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限において、前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)があったものとみなされます(法法73)。
よって、期限後に、仮決算に基づく中間申告をすることはできません。
確定申告による精算(還付)
中間納付税額は法人税額等の前払いであるため、確定申告で精算します。よって、確定申告により算出された法人税額等から中間納税された金額を差し引いた金額を、確定申告時に納税をします。
なお、確定申告による法人税額等が中間納税した金額に満たないときは、その満たない部分は還付されます(法法79①、地法22の2①)。
法人税、都道府県民税、市民税は税務上損金とならないため、還付された場合も益金となりません。一方、事業税の場合は、中間納付した全額が当期の損金となり、翌期に還付された金額が翌期の益金となります。
仕訳
中間納税をし、還付される場合は、2つの方法があります。なお、どちらの方法を採用しても所得金額(法人税額等)は同じとなります。
前提条件 中間納税額 1000万円 確定申告による法人税額等 600万円 還付額 400万円
①
中間納税時 仮払法人税等 1000万円 現金預金 1000万円
決算時 法人税等 600万円 仮払法人税等 1000万円
未収還付法人税等 400万円
翌期 現金預金 400万円 未収還付法人税等 400万円
②
中間納税時 仮払法人税等 1000万円 現金預金 1000万円
決算時 法人税等 1000万円 仮払法人税等 1000万円
翌期 現金預金 400万円 雑収入 400万円