クラウド会計対応 月額5,500円からの顧問料 東京都豊島区池袋の格安顧問料の税理士です

シルバー人材センターの配分金にかかる所得税|令和8年分は必要経費69万円・確定申告不要となる条件を解説

シルバー人材センターからの収入(配分金)と所得税

 シルバー人材センターで仕事をして受け取る配分金については、原則として所得税の課税対象となります。

 ただし、シルバー人材センターを通じて請負・委任による仕事を行い、配分金を受け取っている場合には、「家内労働者等の必要経費の特例」が適用されることがあります。

 この特例を適用できる場合、令和8年分以後の所得税では、実際にかかった経費が少なくても、原則として最高69万円まで必要経費として差し引くことができます。

 また、公的年金等を受給している方については、配分金に係る所得金額によって、所得税の確定申告が不要となる場合があります。

 本記事では、シルバー人材センターから受け取る配分金の所得区分、必要経費の特例、年金や給与収入がある場合の計算方法、確定申告の要否について解説します。

1.シルバー人材センターの配分金は雑所得になるのか

 シルバー人材センターでは、高齢者である会員に対して、企業や家庭などから依頼された仕事を提供しています。

 会員が請負・委任による仕事を行った場合、仕事の対価として受け取る配分金は、通常、所得税法上の雑所得となります。

 したがって、会社員やパート従業員が受け取る給与とは異なり、原則として給与所得控除を適用することはできません。

 ただし、シルバー人材センターを通じた仕事であっても、雇用契約に基づく労働者派遣などによって給与を受け取る場合には、給与所得として取り扱います。

 また、請負・委任による収入についても、その業務の規模や継続性、営利性などによっては、事業所得に該当する場合があります。

 このため、シルバー人材センターを通じて受け取った収入のすべてが、一律に雑所得となるわけではありません。

新しい契約方式による会員業務委託料の取扱い

 令和6年11月1日に施行されたフリーランス法への対応として、シルバー人材センターでは、従来の再委託方式から、新たな契約方式への移行が進められています。

 新たな契約方式では、シルバー人材センターを通じて、発注者と会員との間に直接の請負・委任契約が成立することがあります。

 この場合、従来の「配分金」に相当する報酬が「会員業務委託料」などの名称で支払われることがあります。

 このような請負・委任に基づく報酬についても、通常は雑所得として取り扱います。

 なお、新しい契約方式への移行時期や具体的な契約内容はセンターによって異なるため、実際の所得区分や特例の適用については、契約内容と就業実態を確認する必要があります。

2.家内労働者等の必要経費の特例とは

 通常、雑所得の金額は、その年の総収入金額から、収入を得るために実際にかかった必要経費を差し引いて計算します。

 例えば、シルバー人材センターからの年間収入が100万円で、仕事に必要な交通費や消耗品費などの経費が5万円だった場合、通常の計算では雑所得は95万円となります。

 しかし、シルバー人材センターを通じて継続的に人的役務を提供する会員は、一定の要件の下で、租税特別措置法27条に規定する「家内労働者等の必要経費の特例」を適用することができます。

 この特例を適用できる場合には、実際にかかった必要経費が少なくても、令和8年分以後の所得税については、原則として最高69万円まで必要経費として差し引くことができます(措法27、措令18の2)。

特例による必要経費はいくら認められるのか

 家内労働者等の必要経費の特例における最低保障額は、税制改正によって次のように変更されています。

所得税の年分必要経費の特例
令和元年分以前65万円
令和2年分~令和6年分55万円
令和7年分65万円
令和8年分以後69万円

 令和8年度税制改正による69万円への引上げは、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。

 なお、69万円という金額は、必要経費として差し引くことができる金額の上限ではありません。

 実際にかかった必要経費が69万円を超える場合には、その実額を必要経費として差し引くことができます。

 また、特例によって差し引く必要経費の金額は、対象となる収入金額が限度となります。

計算例1:年間収入100万円、実額経費5万円の場合

 令和8年分のシルバー人材センターからの収入と必要経費が次のとおりだったとします。

項目金額
配分金の年間収入100万円
実際にかかった必要経費5万円
特例による必要経費69万円
雑所得の金額31万円

 実際にかかった必要経費は5万円ですが、特例を適用できる場合には69万円を必要経費として差し引くことができます。

 したがって、雑所得の金額は31万円となります。

計算例2:年間収入50万円、実額経費3万円の場合

 シルバー人材センターからの年間収入が50万円である場合、69万円をそのまま必要経費として差し引くことはできません。

 特例による必要経費は、対象となる収入金額50万円が限度となります。

項目金額
配分金の年間収入50万円
実際にかかった必要経費3万円
特例による必要経費50万円
雑所得の金額0円

 この場合、配分金に係る雑所得は0円となります。

3.配分金はいくらまでなら所得税がかからないのか

 シルバー人材センターからの配分金以外に所得がない場合には、家内労働者等の必要経費の特例と基礎控除によって、所得税がかからない場合があります。

 令和8年分について、配分金以外の所得がなく、必要経費の特例を適用できる場合には、年間収入173万円以下が、本人に所得税がかからない目安となります。

 その計算は次のとおりです。

項目金額
配分金の年間収入173万円
家内労働者等の必要経費の特例69万円
雑所得の金額104万円
所得税の基礎控除104万円
課税所得金額0円

 令和8年分について、合計所得金額が132万円以下である居住者の基礎控除額は104万円です。

 したがって、配分金以外に所得がなく、特例によって69万円を必要経費として差し引ける場合、配分金の年間収入が173万円以下であれば、所得税はかかりません(所法86、措法27、41の16の2)。

 なお、この173万円という基準は、令和8年分の所得税についてのものです。住民税や健康保険の被扶養者認定についても、同じ基準が適用されるわけではありません。

4.配偶者控除・扶養控除の対象となる収入金額

 配分金を受け取る本人に所得税がかからないことと、その方を配偶者控除や扶養控除の対象にできることは、別の問題です。

 令和8年分について、配偶者控除又は扶養控除の対象となるためには、原則として、配偶者又は扶養親族の合計所得金額が62万円以下であることが必要です。

 配分金以外に所得がなく、必要経費の特例を69万円適用できる場合には、配分金の年間収入が131万円以下であれば、この所得要件を満たします。

131万円-69万円=62万円

 ただし、実際に配偶者控除や扶養控除を適用するには、生計を一にしていることなど、別の要件も満たす必要があります。

 また、配偶者控除については、控除を受ける方の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用できません。

 なお、配偶者の合計所得金額が62万円を超えて配偶者控除の対象とならない場合でも、配偶者特別控除の対象となる場合があります(所法83、83の2、84、措法41の16)。

5.シルバー人材センターの配分金以外に給与収入がある場合

 シルバー人材センターの配分金以外に、パートやアルバイトなどの給与収入がある場合には、家内労働者等の必要経費の特例の適用額が調整されます。

 給与所得控除と家内労働者等の必要経費の特例を、それぞれ独立して69万円ずつ適用できるわけではありません。

給与収入が69万円以上ある場合

 令和8年分について、給与収入が69万円以上ある場合には、家内労働者等の必要経費の特例を適用することはできません。

 この場合、配分金に係る雑所得については、実際にかかった必要経費を差し引いて計算します。

給与収入が69万円未満の場合

 令和8年分について、給与収入が69万円未満である場合には、69万円から給与所得控除額を差し引いた残額と、配分金に係る実際の必要経費を比較して、必要経費の額を計算します。

 ただし、特例によって差し引く必要経費は、対象となる収入金額が限度です(措法27、措令18の2)。

計算例:給与収入40万円、配分金収入40万円の場合

 令和8年分について、次のような収入があったとします。

項目金額
給与収入40万円
配分金収入40万円
配分金に係る実額経費10万円

 まず、給与収入が40万円であるため、給与所得の金額は0円となります。

 次に、家内労働者等の必要経費の特例額69万円から給与所得控除額40万円を差し引きます。

69万円-40万円=29万円

 この29万円と、配分金に係る実額経費10万円を比較すると、29万円の方が大きくなります。

 したがって、配分金に係る雑所得は次のようになります。

40万円-29万円=11万円

 この場合、給与所得は0円、配分金に係る雑所得は11万円となり、両者の合計所得金額は11万円となります。

6.公的年金等を受給している場合

 シルバー人材センターで就業する方の中には、老齢基礎年金や老齢厚生年金などの公的年金等を受給している方も多いでしょう。

 公的年金等を受給している場合には、公的年金等に係る雑所得と、配分金に係る雑所得をそれぞれ計算します。

 家内労働者等の必要経費の特例は、配分金に係る所得などに適用するものであり、公的年金等の収入金額から69万円を直接差し引くことはできません。

公的年金等が110万円以下で、配分金が173万円以下の場合

 65歳以上で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が1,000万円以下である場合、公的年金等の収入金額が110万円以下であれば、公的年金等に係る雑所得は0円となります。

 このため、令和8年分について、公的年金等の収入が110万円以下であり、シルバー人材センターからの配分金が173万円以下である場合には、ほかに所得がなく、必要経費の特例を適用できれば、原則として所得税はかかりません。

 ただし、配分金の金額が173万円以下であれば、どのような年金収入があっても所得税がかからないということではありません。

 公的年金等の収入が110万円を超える場合などには、公的年金等に係る雑所得と、配分金に係る雑所得を合計して所得税を計算する必要があります。

7.公的年金等以外の個人年金収入もある場合

 シルバー人材センターからの配分金以外に、生命保険契約等に基づく個人年金を受け取っている場合には、必要経費の特例の計算に注意が必要です。

 公的年金等以外の個人年金は、通常、雑所得として取り扱われます。

 個人年金に係る雑所得は、その年の年金収入から、その収入に対応する必要経費を差し引いて計算します。

 家内労働者等の必要経費の特例を適用できる場合には、個人年金に係る必要経費と配分金に係る必要経費を合わせて、特例による必要経費の額を計算することになります(措法27、措令18の2)。

計算例:公的年金等、個人年金、配分金がある場合

 令和8年分について、65歳以上の方に次の収入があったとします。

項目金額
公的年金等の収入160万円
配分金収入10万円
配分金に係る実額経費1万円
個人年金収入40万円
個人年金に係る必要経費30万円

 なお、個人年金に係る必要経費30万円は、その年の個人年金収入に対応する必要経費として計算された金額であるものとします。

 まず、配分金と個人年金に係る実際の必要経費の合計額は31万円です。

1万円+30万円=31万円

 この金額は、令和8年分の家内労働者等の必要経費の特例額69万円に満たないため、特例の適用を検討できます。

 ただし、公的年金等以外の雑所得の収入金額の合計額は50万円であるため、特例による必要経費は50万円が限度となります。

10万円+40万円-50万円=0円

 したがって、公的年金等以外の雑所得は0円となります。

 一方、公的年金等については、65歳以上で、公的年金等控除額が110万円となる場合、次のように計算します。

160万円-110万円=50万円

 この結果、公的年金等に係る雑所得50万円と、それ以外の雑所得0円を合計した雑所得の金額は50万円となります。

 なお、個人年金に係る必要経費が多額である場合などには、家内労働者等の必要経費の特例を適用できないことがあります。そのため、配分金と個人年金の収入・必要経費を確認して計算する必要があります。

8.年金受給者の配分金はいくらまでなら確定申告が不要になるのか

 公的年金等を受給している方については、一定の要件を満たす場合、所得税の確定申告をしなくてもよい制度があります。

 この制度は「公的年金等に係る確定申告不要制度」と呼ばれています。

 原則として、次の要件を満たす場合には、所得税の確定申告は不要となります。

  • 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であること
  • 公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっていること
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であること

 ただし、一定の外国年金など、源泉徴収の対象とされない公的年金等がある場合には、この申告不要制度を適用できないことがあります(所法121)。

令和8年分は配分金が89万円以下であれば確定申告不要となる場合がある

 令和8年分について、シルバー人材センターからの配分金が89万円であり、実際にかかった必要経費が5万円だったとします。

 この場合、家内労働者等の必要経費の特例を適用できれば、配分金に係る雑所得は次のようになります。

89万円-69万円=20万円

 公的年金等に係る雑所得以外の所得が、この配分金に係る雑所得20万円だけである場合には、公的年金等の収入金額が400万円以下であることなど、ほかの要件も満たしていれば、所得税の確定申告は不要となります。

 なお、配分金が89万円を超える場合でも、実際にかかった必要経費が69万円を超えている場合や、ほかの所得との関係によっては、確定申告が不要となることがあります。

 一方、配分金に係る所得金額が20万円以下であっても、ほかに給与所得や個人年金に係る雑所得などがある場合には、それらの所得を含めて確定申告の要否を判定する必要があります。

確定申告が不要でも、申告した方がよい場合

 所得税の確定申告不要制度の要件を満たしている場合でも、確定申告を行うことで所得税の還付を受けられることがあります。

 例えば、公的年金等から所得税が源泉徴収されている場合で、医療費控除や社会保険料控除などの所得控除を適用すると、源泉徴収された所得税の一部又は全部が還付される場合があります。

 ただし、所得税の還付を受けるために確定申告をする場合には、原則として、申告の対象となる配分金などの所得も含めて申告する必要があります。

9.所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要となる場合がある

 所得税の確定申告が不要となる場合であっても、住民税については申告が必要となることがあります。

 例えば、公的年金等に係る確定申告不要制度の適用を受けるため、所得税の確定申告をしなかった場合でも、シルバー人材センターからの配分金に係る所得について、住民税の申告が必要となることがあります。

 ただし、所得や各自治体の取扱いによっては、住民税の申告が不要となる場合もあります。

 所得税の確定申告が不要だからといって、住民税の申告も必ず不要になるわけではありません。

 住民税の申告の要否については、お住まいの市区町村に確認してください。

10.家内労働者等の必要経費の特例を適用し忘れた場合

 確定申告で家内労働者等の必要経費の特例を適用しなかったために、所得金額を過大に計算していた場合には、更正の請求によって申告内容を訂正できることがあります。

 家内労働者等の必要経費の特例は、確定申告書の提出自体を適用要件としていません。

 そのため、当初申告で特例の適用を失念していた場合でも、適用要件を満たしていれば、後から特例を適用して所得金額を再計算できる場合があります。

 ただし、更正の請求を行うためには、当初申告した税額が過大であったことや、還付金額が過少であったことなど、法令上の要件を満たす必要があります。

 更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。ただし、確定申告義務のない方が還付申告をしていた場合などには、期間の起算点が異なることがあります(通法23)。

 なお、所得金額が減少しても、最終的な税額や純損失の金額などに異動がない場合には、更正の請求ができないことがあります。

 また、まだ確定申告をしていない場合には、更正の請求ではなく、確定申告又は還付申告によって適正な所得金額を申告することになります。

11.まとめ

 シルバー人材センターから受け取る配分金は、通常、雑所得として取り扱われますが、一定の要件を満たす場合には「家内労働者等の必要経費の特例」を適用できます。

 令和8年分以後の所得税では、特例によって原則として最高69万円まで必要経費を差し引くことができます。

 配分金以外に所得がない場合には、年間収入173万円以下であれば本人に所得税がかからないことがあります。また、配偶者控除・扶養控除の所得要件を満たす年間収入の目安は131万円以下です。

 さらに、公的年金等を受給している場合には、配分金に係る所得金額が20万円以下であることなど、一定の要件を満たせば、所得税の確定申告が不要となる場合があります。

 ただし、給与収入や個人年金収入がある場合には、必要経費の特例の適用額や所得金額の計算方法が異なります。

 また、所得税の確定申告が不要であっても、住民税の申告が必要となる場合があります。

 配分金、給与、公的年金等、個人年金など、複数の収入がある場合には、それぞれの所得区分と必要経費を確認したうえで、所得税の計算及び確定申告の要否を判定することが重要です。

主な根拠資料

法令

  • 所得税法27条(事業所得)
  • 所得税法28条(給与所得)
  • 所得税法35条(雑所得)
  • 所得税法83条(配偶者控除)
  • 所得税法83条の2(配偶者特別控除)
  • 所得税法84条(扶養控除)
  • 所得税法86条(基礎控除)
  • 所得税法121条(確定所得申告を要しない場合)
  • 租税特別措置法27条(家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例)
  • 租税特別措置法施行令18条の2
  • 租税特別措置法41条の16の2(所得税の基礎控除等の特例)
  • 国税通則法23条(更正の請求)

国税庁の公表資料

  • タックスアンサーNo.1810「家内労働者等の必要経費の特例」
  • タックスアンサーNo.1199「基礎控除」
  • タックスアンサーNo.1190「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」
  • タックスアンサーNo.1600「公的年金等の課税関係」
  • 「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
  • 「所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」

財務省の税制改正関係資料

  • 財務省『令和7年度 税制改正の解説』「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例の改正」
  • 財務省『令和8年度 税制改正の解説』429頁「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例の改正」

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

関連記事 Relation Entry

error: Content is protected !!