概要
関連法人株式等の配当等に限り、受取配当等のうち益金不算入の対象となる金額は、支払った負債利子を控除します(法法23①、法令19)。
負債利子とは、その株式等の取得に要した借入金等の負債に対する利子のことをいいます。具体的には、借入金利子、手形売却損、その他経済的性質が利子に準ずるもので当期に係るもの(未払利子を含み、前払利子を除く。)をいいます(法令19②③)。
なお、支払利子から除外するものとしては、(1)利子税又は延滞金(納期限延長に係るもの)、(2)割賦購入資産の取得価額に算入した割賦利子、(3)売上割引料等があります。
趣旨
負債利子を控除することとしている趣旨は、仮に受取配当等の全額を益金不算入とし、期中における支払利子を損金の額に算入することとすると、例えば、借入金により株式を取得したような場合には、受取配当等は益金不算入となった上、更にその借入金の利子が損金の額に算入されることとなり、不合理な結果となることによるものです。
計算方法
関連法人株式等に係る受取配当等の益金不算入額は、次の算式により計算した額となります(法令19)。
関連法人株式等に係る受取配当等の額 ─ 負債利子控除額
① 支払利子等の額の合計額×10%
② 関連法人株式等に係る配当等の額の合計額× 4 %
③ 負債利子控除額
イ ①>②の場合
関連法人株式等に係る配当等の額× 4 %
ロ ①≦②の場合(特例)
①×(その配当等の額/関連法人株式等に係る配当等の額の合計額)
計算例
(Q)下記の場合の益金不算入額はいくらになるのか?
(1)当期に、A株式(関連法人株式等)に係る配当金2,000円を収益計上している。
(2)当期中に支払った負債利子等の総額は10,000円である。
(A)
(1)支払利子等の額の合計額×10%
10,000円×10%=1,000円
(2)関連法人株式等に係る配当等の額の合計額× 4 %
2,000円× 4 %=80円
(3)負債利子控除額
(1)>(2) ∴ 80円
(4)益金不算入額
2,000円-80円=1,920円
手続き
負債利子控除額の計算において特例の適用を受ける場合には、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に特例の適用を受ける旨及び支払利子等の額の合計額を記載した書類の添付をする必要があります(法令19⑨)。