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関連法人株式等の負債利子控除|4%・10%の計算方法と申告手続

概要

 法人が関連法人株式等に係る配当等を受ける場合、受取配当等の益金不算入額は、配当等の額から一定の負債利子控除額を差し引いて計算します。負債利子控除額は、原則として配当等の額の4%相当額です(法法23①、法令19①)。

 ただし、当期に係る支払利子等の額の合計額の10%相当額が、当期の関連法人株式等に係る配当等の額の合計額の4%相当額以下である場合には、一定の申告手続きを条件に、10%相当額を基礎とする特例計算を選択できます(法令19②⑨)。

 以下では、グループ通算制度を適用していない内国普通法人を前提として説明します。配当等は、受取配当等の益金不算入の対象となるものを前提とします。

負債利子控除の対象と制度の趣旨

 受取配当等の益金不算入額の計算で負債利子を控除する対象は、関連法人株式等に係る配当等です。完全子法人株式等、その他株式等及び非支配目的株式等に係る配当等については、この負債利子控除を行いません(法法23①)。

 関連法人株式等は、その法人及びその法人との間に完全支配関係がある他の法人の保有分を含めて、配当を支払う他の内国法人の発行済株式等(自己株式等を除きます。)の3分の1を超えて保有し、所定の継続保有要件等を満たす場合の株式等です。完全子法人株式等は除かれるため、持株割合だけで判定しないことが必要です(法法23④、法令22①)。

 負債利子控除は、配当等を益金不算入とする一方で、その配当等に対応する資金調達費用も損金に算入されることによる所得計算上の調整を行うための仕組みです。現行制度では、原則として配当等の額の4%を利子相当額とし、支払利子等の額が少ない法人には10%相当額を上限とする特例が設けられています。

 特例計算に用いる支払利子等は、関連法人株式等を取得するための借入金利子に限定されません。運転資金や設備資金に係る借入金利子なども、法令上の支払利子等に該当するものは集計します(法令19②)。

 受取配当等の益金不算入制度全体については、関連記事「法人の受取配当等の益金不算入|4区分・ETF・申告調整・消費税」もご参照ください。

負債利子控除額の計算方法

原則:関連法人株式等に係る配当等の額の4%

 原則計算による負債利子控除額と益金不算入額は、次のとおりです(法法23①、法令19①)。

  • 負債利子控除額=その関連法人株式等に係る配当等の額×4%
  • 益金不算入額=その関連法人株式等に係る配当等の額-負債利子控除額

特例:支払利子等の額の合計額の10%を基礎に計算

 次の①の金額が②の金額以下である場合には、申告手続きを満たすことにより、特例を選択できます。同額の場合も対象になります(法令19②⑨)。

  1. 当期に係る支払利子等の額の合計額×10%
  2. 当期の関連法人株式等に係る配当等の額の合計額×4%

 特例による個々の配当等に係る負債利子控除額は、次の算式で計算します(法令19②)。

 負債利子控除額=当期に係る支払利子等の額の合計額×10%×(その関連法人株式等に係る配当等の額÷当期の関連法人株式等に係る配当等の額の合計額)

 複数の関連法人から配当等を受ける場合、特例を適用できるかどうかは関連法人株式等に係る配当等の合計額で判定し、控除額は各配当等の額の割合で配分します。完全子法人株式等、その他株式等及び非支配目的株式等に係る配当等は、この判定・配分のための合計額に含めません。

 特例は自動適用ではありません。特例を選択せず、その適用に必要な記載・添付を行わない場合には、原則として4%相当額を控除します(法令19①②⑨)。

支払利子等の額がゼロの場合

 当期に係る支払利子等の額の合計額がゼロで、特例の適用要件と申告手続きを満たす場合には、負債利子控除額はゼロとなり、益金不算入の対象となる関連法人株式等に係る配当等の全額が益金不算入となります。支払利子等がゼロの場合も、特例の適用を受けるための記載・添付が必要です(法令19②⑨)。

 借入金がなくても、手形割引料などがあれば支払利子等の額が生じることがあります。借入金の有無だけで、支払利子等の額をゼロと判断しないようにします。

特例計算に用いる支払利子等の範囲

 支払利子等には、借入金利子のほか、手形割引料、金銭債務の償還差損その他経済的な性質が利子に準ずるものが含まれます。一般の事業会社で確認すべき主なものは、次のとおりです(法令19②、法基通3-1-3)。

  • 借入金の利子
  • 受取手形の割引料(手形売却損として処理した金額を含みます。)
  • 買掛金を手形で支払った際、相手方に代わって負担した割引料相当額
  • 従業員預り金、営業保証金、敷金等に対して支払う利子
  • 金銭債務の償還差損のうち、当期の損金に算入すべき金額

 原則として、当期分の未払利子も含めます。一方、前払利子のうち未経過期間分として当期の損金に算入されない金額は含めず、期間の経過により損金に算入される事業年度に反映させます。単に当期の現金支払額を集計するのではなく、当期に係る金額を確認する必要があります(法令19②、法基通3-1-3の6)。

 過少資本税制・過大支払利子税制等の適用がある場合には、所定の損金不算入額の控除や、超過利子額の損金算入額の加算も必要です。令和8年4月1日以後終了事業年度分の別表八(一)では、35欄の額から36欄の額を控除し、37欄の額を加算した38欄「支払利子等の額の合計額」を特例計算の基礎とします(国税庁「別表八(一)」)。

利子税・割賦利息・原価に算入した借入利子等の取扱い

 次の金額は、それぞれ取扱いが異なります。勘定科目だけで判定せず、金額の内容と経理方法を確認します。

金額の内容支払利子等への算入根拠
利子税の額・地方税の延滞金の額支払利子等に含めないで計算することが認められます。法基通3-1-3の2
割賦購入資産等に係る割賦期間分の利息相当額資産の取得価額に含めない場合に限り、支払利子等に含めます。法基通3-1-3の3
売掛金等の早期回収により支払う売上割引料支払利子等に該当しません。法基通3-1-3の4
固定資産等の取得価額に算入した借入利子、又は繰延資産として経理した負債の利子当期に支払ったものは、支払利子等に含めます。法基通3-1-3の6

 特に、割賦代金に含まれる利息相当額と、資産の取得価額に算入した借入金利子は取扱いが異なります。資産に計上しているという理由だけで、両者を一律に支払利子等から除外することはできません。

 また、繰延ヘッジ処理又は特例金利スワップ取引等を行っている場合には、支払利子に対応する損益・受払額を加算又は減算した後の金額を基礎として計算します(法基通2-3-60)。

計算例

例1:原則の4%相当額を控除する場合

 当期の関連法人株式等に係る配当等がA社からの2,000円のみで、当期に係る支払利子等の額の合計額が10,000円とします。配当等の全額が益金不算入制度の対象となる前提です。

項目計算金額
支払利子等の額の合計額の10%10,000円×10%1,000円
関連法人株式等に係る配当等の額の合計額の4%2,000円×4%80円
負債利子控除額1,000円>80円のため、原則計算80円
益金不算入額2,000円-80円1,920円

 支払利子等の10%相当額が配当等の4%相当額を超えるため、特例は適用できません。益金不算入額は1,920円となります。

例2:特例を適用し、複数の配当等に控除額を配分する場合

 当期の関連法人株式等に係る配当等がA社から3,000,000円、B社から2,000,000円で、当期に係る支払利子等の額の合計額が1,000,000円とします。配当等の全額が益金不算入制度の対象となり、特例に必要な申告手続きを満たすものとします。

  • 支払利子等の額の合計額の10%=1,000,000円×10%=100,000円
  • 関連法人株式等に係る配当等の額の合計額の4%=5,000,000円×4%=200,000円

 100,000円≦200,000円となるため、特例を選択できます。負債利子控除額の合計100,000円を、A社・B社の配当等の額の割合で配分します。

項目A社B社合計
配当等の額3,000,000円2,000,000円5,000,000円
負債利子控除額100,000円×3,000,000円÷5,000,000円=60,000円100,000円×2,000,000円÷5,000,000円=40,000円100,000円
益金不算入額3,000,000円-60,000円=2,940,000円2,000,000円-40,000円=1,960,000円4,900,000円

 特例を選択しない場合には、原則として200,000円を控除し、益金不算入額は4,800,000円となります。

申告手続きと申告調整

 受取配当等の益金不算入の適用には、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に、益金不算入額とその計算明細を記載した書類を添付する必要があります。益金不算入額は、記載した金額が限度となります(法法23⑦)。

 負債利子控除の特例を適用する場合には、さらに、特例の適用を受ける旨及び支払利子等の額の合計額を記載した書類の添付が必要です(法令19⑨)。

 令和8年4月1日以後終了事業年度分の別表八(一)では、「令第19条第2項の規定による支払利子控除額の計算」の欄を「適用」とし、支払利子等の額と控除額の計算を記載します。原則計算を用いて「不適用」とする場合には、同別表の35欄から38欄までの各欄は記載しません。実際の申告では、対象事業年度に対応する様式・記載要領を確認してください。

 配当等の全額を会計上の収益に計上している場合には、別表八(一)で計算した益金不算入額を別表四で減算(社外流出)します。例1では、減算する金額は1,920円です。負債利子控除額80円は、この益金不算入額の計算に既に反映されており、負債利子控除を理由とする支払利息の別途加算は不要です。

適用事業年度と通算法人の注意点

 ここで説明した4%・10%による計算方法は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用される制度です。グループ通算制度を適用していない法人にも適用されます。同日前に開始した事業年度については、旧制度による計算を確認する必要があります(所得税法等の一部を改正する法律〔令和2年法律第8号〕附則14)。

 通算法人については、特例計算に用いる支払利子等のグループ内での配賦計算、修正申告等に伴う調整、関係する他の通算法人の書類添付要件等の特則があります。自社の支払利子等の額だけを用いて判断せず、別表八(一)付表等も確認する必要があります(法令19④~⑨)。

主な根拠資料

  • 法人税法23①④⑦
  • 法人税法施行令19・22
  • 国税庁「法人税基本通達 第3章第1節」3-1-3、3-1-3の2~3-1-3の6
  • 法人税基本通達2-3-60
  • 国税庁「令和8年4月以降に提供した法人税等各種別表関係」別表八(一)・同付表及び各記載要領

 法法は法人税法、法令は法人税法施行令、法基通は法人税基本通達を指します。この記事は、2026年10月12日現在の法令等に基づいています。

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