概要

 納税者が申告書を提出した後に申告内容が誤りだと気づき変更する場合には、その変更が、申告期限前なのか否かで方法が変わってきます。

 申告期限前に、もう一度、正しい申告をすることを「訂正申告」といいます。

 次に、申告期限を過ぎて申告内容が誤りで変更する場合には、税額が増額する場合と減額する場合で変わってきます。

 税額が増額する変更方法を「修正申告」といい、税額が減額する変更方法を「更正の請求」といいます。

 なお、納税者から提出された申告書が誤りの場合、課税庁側でも変更することができ、これを「更正」といいます。

納税者側による変更

訂正申告

 所得税については、法定申告期限内に同一人から確定申告書が2以上提出された場合には、その2以上の申告書のうち最後に提出された申告書をもって、それぞれの規定により提出された申告書とされており、所得税の訂正申告を認めています(所基通120-4)。

 一方、他の税目(法人税等)については、上記のような取扱いが法令通達等において示されていませんが、実務上は、法人税等についても従来から法定申告期限内における訂正申告が認められています。

 なお、税大講本/国税通則法(令和4年度版)では「差替え又は訂正を禁止する理由はないものと考えられる。」と記載されています。

 また、贈与税の申告期限内に提出された修正申告書なる書面は、当初申告を訂正する期限内申告書であると判示した静岡地裁昭和55年3月28日判決(税資110号1058頁)・東京高裁昭和56年10月14日判決(税資121号64頁)があります。

〇所得税基本通達120-4(同一人から2以上の申告書が提出された場合)
 法定申告期限内に同一人から法第120条に規定する申告書、法第122条に規定する申告書又は法第123条《確定損失申告》に規定する申告書のうち種類を異にするものが2以上又は種類を同じくするものが2以上提出された場合には、特段の申出(法定申告期限内における申出に限る。)がない限り、当該2以上の申告書のうち最後に提出された申告書をもって、それぞれの規定により提出された申告書とする。
(注) 上記の取扱いは、法定申告期限内においては、事務に支障のない限り、申告書の差替えを認める趣旨のものであるから、先に提出された申告書に還付金が記載されており、かつ、その還付金につき既に還付の処理が行われていたような場合には、この取扱いは適用できないことに留意する。

〇税大講本/国税通則法(令和4年度版)
「納税申告にはその申告期限が定められており、この申告期限内に、納税者が既に提出した申告書の記載事項の誤りを発見して、これを訂正する必要を認めたときに、その差替え又は訂正を許すべきかどうか。この点については、特にこれを禁止する旨の定めがなく、また、納税者はもともと期限までに申告をすれば足りるという期限の利益を有するのであって、期限間際に申告をする者との権衡を考えるならば、特に上記の差替え又は訂正を禁止する理由はないものと考えられる。」

修正申告

 納税者が申告書を提出し、申告期限を過ぎた後でも、①納付すべき税額に不足額があるとき、②還付金の額に相当する税額が過大であるとき、③純損失などのいわゆる赤字の金額が過大であるときなどにおいて、税務署長の更正があるまでは、課税標準等又は税額等を修正する納税申告書を提出することができ、この納税申告書を修正申告書といいます(通則法19①~③)。

 修正申告をする場合、新たに納める税金(納税額の増加額)のほかに、一定の場合を除き、過少申告加算税(通則法65)がかかります。新たに納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となりますので、その日に納めてください。

 また、税金が定められた期限までに納付されない場合には、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。

 なお、修正申告書を提出し、新たに納める税金を納めておけば、後ほど、課税庁から加算税、延滞税の納付書が送られてくるので、送られてきたら、納めましょう。

更正の請求

 納税者が申告書を提出し、申告期限を過ぎた後でも、①納付すべき税額が過大であるとき、②還付金の額に相当する税額が過少であるとき、③純損失の金額が過少であるときなどにおいては、税務署長に対し、更正の請求(通則法23)により是正を求めることができます。

 よって、所得金額の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額または繰越損失の金額に異動がない場合は、更正の請求はできません。

 なお、更正の請求は、納税申告により既に確定した税額が過大であるときなどに、納税者が税務署長に対しその是正を請求する権利(請求権)を行使する手続にとどまり、それ自体、税額を是正し確定させる効力を生じません。

 そのため、納税者からの更正の請求があつた場合には、税務署長は、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、減額更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知します(通則法23④)。

 つまり、納税者が間違って税金を多く納めすぎたといって更正の請求をしても、その請求が通らず納めすぎた税金が戻らない可能性もあるということになります。

 更正の請求をする場合は、法定申告期限から5年以内に限るとなっていますが、法人税の純損失等の金額に係る更正は10年(通則法23①)、移転価格税制に係る更正は7年(措法66の4○26 )、贈与税は6年(相法32②)となっています。

課税庁側による変更

 税務署長は、納税申告書に記載された課税標準等又は税額等が国税に関する法律の規定に従って計算されていないとき、その他課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときには、その調査により課税標準等又は税額等を確定する処分を行います(通則法24)。

 この処分を更正といい、納付すべき税額を増加する更正を増額更正といい、減少する更正を減額更正といいます。

 なお、減額更正には、税務署長が職権で行う場合のほか、上述した納税者からの更正の請求(通則法23)に基づいて行うものがあります。

 更正のできる期間は通常5年(通則法70①一)ですが、脱税の場合は7年(通則法70⑤一、二)となっています。

 また、法人税の純損失等の金額に係る更正は10年(通則法70②)、移転価格税制に係る更正は7年(措法66の4○27 )、贈与税は6年(相法36①)となっています。

課税庁側が増額更正をせずに、納税者に修正申告を慫慂する理由

 実務では、税務調査が入って誤りを調査官が見つけても増額更正をする前に、納税者による自発的な修正申告を慫慂しますが、それには理由があります。

 更正は、更正前と更正後の課税標準等及び税額等並びに増減した税額等を記載した更正通知書を送達して行います(通則法28)。

 そして、更正が国税庁又は国税局の職員の調査に基づく場合には、通知書にその旨を付記し(通則法27、28②③)、また、更正処分が不利益処分である場合には、その処分の理由を付記しなければならないことになっています(通則法74の14①、行手法14)。

 最高裁昭和47年12月5日第三小法廷判決(民集26巻10号1795頁)では、更正理由付記が不十分であった場合、それで更正処分は違法になることを明確にしました。

 この最高裁が要求するような理由など書いていたら、それだけで、他の所に税務調査に行けるわけで、効率を考えたら、修正申告を納税者に自発的にしてもらう方がいいということです。

〇最高裁昭和47年12月5日第三小法廷判決(民集26巻10号1795頁)判示要旨
「更正に理由附記を命じた規定の趣旨は、処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えることにあり、その趣旨に徴して考えるならば、処分庁と異なる機関の行為により附記理由不備の瑕疵が治癒されるとすることは、処分そのものの慎重、合理性を確保する目的にそわないばかりでなく、処分の相手方としても、審査裁決によってはじめて具体的な処分根拠を知らされたのでは、それ以前の審査手続において十分な不服理由を主張することができないという不利益を免れない。そして、更正が附記理由不備のゆえに訴訟で取り消されるときは、更正期間の制限によりあらたな更正をする余地のないことがあるなど処分の相手方の利害に影響を及ぼすのであるから、審査裁決に理由が附記されたからといって、更正を取り消すことが無意味かつ不必要なこととなるものではない。それゆえ、更正における附記理由不備の瑕疵は後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。」

まとめ

(1)納税者側による変更
法定申告期限内 → 訂正申告(再提出)
法定申告期限後 → 税額増額 → 修正申告
法定申告期限後 → 税額減額 → 更正の請求

(2)課税庁側による変更
法定申告期限後 → 税額増額 → 増額更正
法定申告期限後 → 税額減額 → 減額更正