FX取引の課税関係
外国為替証拠金取引(FX取引)とは、外国為替(外国通貨)の売買を、一定の証拠金(保証金)を担保にして、その証拠金の何十倍もの取引単位(金額)で行う取引をいいます。
なお、個人が店頭FX取引を行う場合、取引金額の4%以上の証拠金を差し入れる必要があるため、レバレッジは25倍以下となります。取引所FXについては、各金融商品取引所が取引所規則に基づいて証拠金基準額を算出しています。例えば、20万円の保証金で最大レバレッジ25倍をかけて取引を行う場合、500万円分の取引を行うことが可能です。
FX取引には、店頭デリバティブ取引と市場デリバティブ取引(金融商品取引所の開設する金融商品市場で行われる取引)がありますが、いずれの場合も課税関係は同じです。
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、一定の先物取引の差金等決済による差益が生じた場合には、その先物取引に係る雑所得等の金額については、他の所得と区分して、20.315%(内、住民税5%)の税率による申告分離課税となります(措法41の14①)。
個人口座の場合、基本的には決済していないポジションの評価損益やスワップポイントは課税対象とはなりません(ただし、ロールオーバー時に値洗いされ、損益が実現する契約では、未決済であっても課税対象となる場合があります)。
なお、いわゆる海外FXのうち、金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限ります。)又は登録金融機関以外を相手方として行う店頭デリバティブ取引は、措法41条の14による申告分離課税の対象外となり、その所得は一般的には雑所得として総合課税の対象となります。
雑所得等の金額の計算上、売買手数料(支払い手数料)、パソコン購入費(減価償却分)、プロバイダ使用料(通信費)、関連雑誌代(図書費)、セミナー参加費などFX取引での利益(雑所得)を得るために生じた費用は、必要経費として計上することができると一般的に考えられていますが、業務の遂行上必要である部分を明らかに区分できないこと等の理由による否認事例があります。つまり、これらの費用は、所得税法37条及び45条等の要件を満たす範囲で必要経費に算入することができます。
差金決済による差損が生じた場合には、他の「先物取引に係る雑所得等」の金額(商品先物取引、申告分離課税の対象となる一定のバイナリーオプション等)との損益通算は可能ですが、「先物取引に係る雑所得等」以外の所得の金額との損益通算はできません。例えば、株式等の譲渡所得と損益通算はできません。
なお、他の「先物取引に係る雑所得等」と損益通算をしてもなお引ききれない損失の金額は、一定の手続的要件の下、翌年以後3年内の各年分の「先物取引に係る雑所得等」の金額から控除することができます(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除)。
先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
原則として、先物取引に係る雑所得等の金額の計算上損失の金額が生じても、その損失の金額は生じなかったものとみなされます(措法41の14①)が、その例外として、一定の手続的要件を満たした場合、その損失の金額を翌年以降3年間にわたり繰り越し、その繰り越された年分の先物取引に係る雑所得等の金額を限度として、その先物取引に係る雑所得等の金額の計算上控除できます(措法41の15①)。損失額を4年目以降に持ち越すことはできません。
なお、一定の手続的要件を満たした場合とは、居住者が、①先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の所得税につきその先物取引の差金等決済に係る損失の金額の計算に関する明細書等の一定の書類の添付がある確定申告書を提出し、かつ、②その後において連続して、申告書付表を添付した確定申告書を提出している場合(連年提出要件)であって、③この繰越控除を受けようとする年分の所得税につき、明細書等の一定の書類を添付した確定申告書を提出する場合です(措法41の15③)。
この特例は、所得税においては損失発生年の申告について期限内申告は要件ではありません。
ただし、繰越控除を受ける年分の申告までに連年提出要件を満たす必要がありますが、連年提出要件には注意が必要であり、例え、先物取引がなかった年も、損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です。
なお、損失の記載や明細書等の添付を失念した場合でも、更正の請求により救済される場合があります。ただし、繰越控除を受けようとする年分の確定申告書を提出する時点までに連年提出要件を満たしている必要があります。
確定申告に必要な書類
記載して提出する書類
・確定申告書(申告書第一表、第二表)
・申告書第三表(分離課税用)
・先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
・申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)※損失を繰り越す場合
会社員が申告書を作成する際に必要な書類
・給与所得の源泉徴収票
・FXの取引履歴などがわかる損益報告書
・必要経費などがわかる領収書や明細書


