中古

概要

 中古資産を取得して事業の用に供した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます(耐令3①一)。法定耐用年数は、新たに作られたものを基準として定められているため、中古資産に法定耐用年数を適用するには長すぎるからです。

 ただ、中古資産の耐用年数を新たに見積もることは困難を伴うことが多く、見積りのために必要な資料がないため技術者等が積極的に特別の調査をしなければならない又は耐用年数の見積りに多額の費用を要すると認められることにより使用可能期間の年数を見積もることが困難な減価償却資産(耐通1-5-4)には個々の資産についての見積もりにかえて、下記の簡便法により計算した年数を残存耐用年数とすることが認められています(耐令3①二 )。

簡便法により算定した年数

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
 その法定耐用年数の20%に相当する年数

(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
 その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

 なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て(耐令3⑤ )、その年数が2年に満たない場合には2年(耐令3①二 )とします。よって、中古資産の耐用年数は、最短でも2年となります。

 ただ、年数にかかるこの端数切捨ては、算式中の経過年数には適用されませんので、経過年数に月分の端数が生じるときにはすべての計算過程において月数換算して計算する方法が一般的です。

 経過年数は、その減価償却資産の最初の登録日、竣工日等から、事業者が中古資産として購入した日(事業の用に供した日)の前日までの期間となります。例えば、登録日が令和元年10月20日で、購入日の前日が令和6年3月9日の場合、経過年数は4年4ヶ月+数日となり、4年5ヶ月(53ヶ月)となります。

計算例

(例1)法定耐用年数が40年で、経過年数が10年の中古資産の簡便法による見積耐用年数
(1) 法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数
 40年 - 10年 = 30年
(2) 経過年数10年の20%に相当する年数
 10年 × 20% = 2年
(3)  見積耐用年数
 30年 + 2年 = 32年

(例2)法定耐用年数が10年で、経過年数が 3年9ヶ月(45ヶ月)の中古資産の簡便法による見積耐用年数
(1) 法定耐用年数から経過した年数を差し引いた月数
 10年 (120ヶ月)  -  45ヶ月  =  75ヶ月
(2) 経過年数3年9ヶ月(45ヶ月)の20%に相当する月数
  45ヶ月  × 20% =  9ヶ月
(3)  見積耐用年数
  75ヶ月  +  9ヶ月  =  84ヶ月  =  7年

(例3)法定耐用年数が6年で、経過年数が6年の中古資産の簡便法による見積耐用年数
(1) 法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数
 6年 - 6年 = 0年
(2) 経過年数6年の20%に相当する年数
 6年 × 20% = 1.2年
(3)  見積耐用年数
  0年  +  1.2年  =  1.2年  ただし、その年数が2年に満たない場合なので、2年

中古資産を事業の用に供した事業年度において耐用年数の算定をしなかった場合

 中古資産の耐用年数の見積法及び簡便法による耐用年数の算定は、その中古資産を事業の用に供した事業年度においてすることができるとされていますので、その事業年度においてその算定をしなかったときは、その後の事業年度においてはこのような中古資産の耐用年数の見積法及び簡便法による耐用年数の算定をすることはできません(耐通1-5-1)。

法定耐用年数の全部を経過した中古資産を取得したら、1年で経費にできるのか?

 現行の定率法(いわゆる200%償却法)の場合、耐用年数2年の場合は償却率100%であるため、期首である初月に購入使用(償却月数が12か月の場合)していれば、備忘価額1円だけを残して償却できるということになります。 つまり、1円残して1年で償却できるということです。

取得した中古資産を業務に使用するために資本的支出を行った場合

 中古資産を取得しましたが、そのままでは事業の用に供することができないため、資本的支出を行う場合があるでしょう。

 その場合の耐用年数は、資本的支出の金額で以下のようになります。

(1) 資本的支出 > 中古資産の再取得価額×50%
  新規資産の取得と同様の取り扱いを受けることとなり、法定耐用年数 (耐通1-5-2)

(2)  中古資産の取得価額×50%  < 資本的支出 ≦ 中古資産の再取得価額×50%
  (原則)見積耐用年数

 (例外)次の算式によることが認められています(耐用年数通達1-5-6)。

中古資産に資本的支出

 なお、中古資産の再取得価額とは、中古資産と同じ新品の資産を取得する場合のその取得価額をいいます。また、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。

計算例

(例)
 法定耐用年数が22年で、経過年数が10年の中古資産を2,000万円(再取得価額4,400万円)で取得し、1,600万円の資本的支出を行った場合の耐用年数

(答)