インボイス

概要

 令和5年10月1日から適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)が開始されます(新消法 30、57 の2、57 の4)。

 このインボイス制度の下では、適格請求書発行事業者が交付する適格請求書(インボイス)等と帳簿の保存が仕入税額控除の要件となります。

 つまり、事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けなければ、適格請求書を交付することができないため、取引先が仕入税額控除を行うことができないということになります(簡単に言うと、取引先の消費税の納税額が増えてしまいます)。

 よって、取引先から、取引継続の条件として、適格請求書発行事業者であることを求められる場合もあるでしょう(顧客が消費者のみの場合には、必ずしも適格請求書を交付する必要はありません)。

 今まで、免税事業者であった事業者の相当数が適格請求書発行事業者となり、あえて消費税を納税するようなことになるでしょう。

 通常、その課税期間の基準期間における課税売上高が 1,000万円以下の事業者は、原則として、消費税の納税義務が免除され、免税事業者となります。

 しかしながら、適格請求書発行事業者は、その基準期間における課税売上高が 1,000万円以下となった場合でも免税事業者となりません(新消法9①、インボイス通達2-5)。

 また、課税事業者が適格請求書発行事業者として登録を受けるかどうかは任意であり、課税事業者であれば自動的に適格請求書発行事業者になるというものではありません。

 つまり、課税事業者が適格請求書発行事業者となる場合にも、登録が必要です。

適格請求書発行事業者の登録

 適格請求書を交付しようとする事業者は、納税地を所轄する税務署長に適格請求書発行事業者の登録申請書(以下「登録申請書」といいます。)を提出し、適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があり、税務署長は、氏名又は名称及び登録番号等を適格請求書発行事業者登録簿に登載し、登録を行います(新消法 57の2①②④、インボイス通達2-1)。

 適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、原則として、令和5年3月31日までに納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出する必要があります(28年改正法附則44①)。

 ただし、令和5年3月31日までに登録申請書を提出できなかったことにつき困難な事情がある場合に、令和5年9月30日までの間に登録申請書にその困難な事情を記載して提出し、税務署長により適格請求書発行事業者の登録を受けたときは、令和5年10月1日に登録を受けたこととみなされます(改正令附則 15)。

 なお、登録申請書は、e-Taxを利用して提出できます。

 また、郵送により提出する場合の送付先は、納税地を所轄する税務署ではなく、各国税局のインボイス登録センターとなります(センターには受付窓口がありませんので、書面の申請書等を直接持ち込む事はできません)。

 例えば、東京都、千葉県、神奈川県、山梨県の場合の送付先は、東京国税局インボイス登録センターとなります(〒262-8514 千葉市花見川区武石町1丁目520番地)。

免税事業者が令和5年10月1日から登録を受ける場合と簡易課税選択を行う場合

 免税事業者が令和5年10月1日から登録を受けることとなった場合には、登録日(令和5年10月1日より前に登録の通知を受けた場合であっても、登録の効力は登録日である令和5年10月1日から生じることとなります。)から課税事業者となる経過措置が設けられています(28年改正法附則 44④、インボイス通達5-1)。

 したがって、この経過措置の適用を受けることとなる場合は、登録日から課税事業者となり、登録を受けるに当たり、消費税課税事業者選択届出書(様式通達第1号様式。以下「課税選択届出書」といいます。)を別途提出する必要はありません。

 本来は、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、課税選択届出書を提出し課税事業者となる必要がありますが、課税選択届出書の提出なしで登録を受けることができるということになります。

 なお、経過措置の適用を受けて適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間の末日までの期間について、消費税の申告が必要となります。

 例えば、令和5年分について免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けた場合には、登録日である令和5年10月1日以後は課税事業者となりますので、令和5年10月1日から令和5年12月31日までの期間に行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて、令和5年分の消費税の申告が必要となります。

 なお、登録日の属する課税期間中にその課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、その課税期間から、簡易課税制度の適用を受けることができます(提出日の属する課税期間から簡易課税制度を適用できます)。

 例えば、免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日から登録を受けた場合で、令和5年分の申告において簡易課税制度の適用を受けたい場合は、令和5年分から適用する旨を記載した消費税簡易課税制度選択届出書を令和5年12月31日までに提出すればよいということになります。

適格請求書発行事業者登録の取りやめ

登録前の申請の取り下げ(令和5年9月30日まで)

 適格請求書発行事業者の登録申請書を提出したが、気が変わってやめたくなったという事業者の方も稀にはいるでしょう。その場合は、定型のフォームは無いのですが、一定の必須事項を記載し、各国税局のインボイス登録センターに郵送すれば、申請の取り下げをすることができます(2022/8/5、軽減・インボイスコールセンターに確認)。

 実際に、取り下げする場合は、軽減・インボイスコールセンター(0120-205-553、土日祝除く9時から17時)に必須事項等を確認したうえで各国税局のインボイス登録センターに郵送するのが良いでしょう。

登録後の登録の取りやめ(令和5年10月1日以降)

 適格請求書発行事業者は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(以下「登録取消届出書」といいます。)を提出することにより、適格請求書発行事業者の登録の効力を失わせることができます(新消法57の2⑩一)。

 なお、この場合、原則として、登録取消届出書の提出があった日の属する課税期間の翌課税期間の初日に登録の効力が失われることとなります(新消法57の2⑩一)。

 ただし、登録取消届出書を、その提出のあった日の属する課税期間の末日から起算して30日前の日から、その課税期間の末日までの間に提出した場合は、その提出があった日の属する課税期間の翌々課税期間の初日に登録の効力が失われることとなります。

国税庁適格請求書発行事業者公表サイト

 相手方から交付を受けた請求書等が適格請求書に該当することを客観的に確認できるよう、適格請求書発行事業者の情報については、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト(https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/)」において公表されます。