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消費税の仕入税額控除に必要な帳簿・インボイスの保存要件【2026年9月現在】

仕入税額控除の基本

 消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として、課税仕入れ等の内容を記載した帳簿と、適格請求書(インボイス)などの請求書等の両方を保存します。2023年10月1日から適格請求書等保存方式が適用されています。「税込3万円未満の支払いなら一律に帳簿だけでよい」という従前の説明は、現在の取引には当てはまりません(消法30⑦~⑨、消令49、50)。

 以下は主に、本則課税により、実際の課税仕入れに係る税額を計算する事業者についての説明です。簡易課税制度、2割特例、3割特例では仕入控除税額の計算方法が異なります。2割特例は2026年9月30日までの日の属する課税期間、3割特例は一定の個人事業者の2027年・2028年の課税期間が対象です。それぞれ適用要件を確認してください。

帳簿に記載する事項

 通常の国内の課税仕入れについては、次の事項を帳簿に記載します(消法30⑧一)。

・仕入先の氏名または名称
・課税仕入れを行った年月日
・購入した資産または受けた役務の内容。軽減税率の対象であるときはその旨
・支払対価の額(税込額)

 標準税率10%、軽減税率8%、非課税取引などを区分して記帳します。商品の内容は、一品ごとではなく一般的な総称や「○○等」で記載できる場合があります。ただし、取引内容と税率の区分が分かるようにしてください。仕入先の略称も、取引先名簿などと照合して相手方を特定できる場合には認められます(消基通11-6-1)。

 国外事業者から受ける事業者向け電気通信利用役務の提供などの「特定課税仕入れ」と、保税地域からの課税貨物の引取りには、それぞれ別の帳簿記載事項があります。特定課税仕入れは、リバースチャージ方式の適用関係も確認します(消法30⑧二・三)。

保存する適格請求書等

 通常の適格請求書には、①発行事業者の氏名または名称および登録番号、②取引年月日、③取引内容(軽減税率の対象であるときはその旨)、④税率ごとに区分した税抜価額または税込価額の合計額と適用税率、⑤税率ごとに区分した消費税額等、⑥交付を受ける事業者の氏名または名称が必要です。請求書という名称である必要はなく、納品書などを含む複数の書類で、相互の関連が明確であれば記載事項を満たすことができます(消法30⑨、57の4)。

 小売業、飲食店業、タクシー業など、不特定かつ多数の者に販売する事業の適格簡易請求書では、買手の氏名・名称を省略でき、消費税額等または適用税率のいずれかを記載します。買手が作成する仕入明細書等も、必要事項を記載して仕入先の確認を受ければ保存対象となります。輸入貨物の引取りについては、税関長から交付される輸入許可書等を保存します(消法30⑨、消令49)。

帳簿だけの保存で足りる主な取引

 請求書等の交付を受けることが困難な一定の取引については、所定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けられます。代表例は、税込3万円未満の公共交通機関による旅客の運送、税込3万円未満の自動販売機・自動サービス機による取引、通常必要と認められる従業員等の出張旅費・宿泊費・日当・通勤手当です。所定の入場券等が使用時に回収される取引、郵便切手類を対価とし郵便ポストに差し出した郵便サービス、古物商がインボイス発行事業者でない者から棚卸資産となる古物を買い取る場合なども、要件を満たせば対象です(消令49①、消規15の4)。

 これらの例外では、通常の帳簿記載事項に加え、該当する例外の種類と仕入先の住所等を記載するのが原則です。公共交通機関など、住所等の記載を要しない取引もあります。旧制度の「請求書等を受け取れなかったやむを得ない理由」を一律に記載する取扱いではありません。

 これとは別に、一定規模以下の事業者には、2023年10月1日から2029年9月30日までの税込1万円未満の課税仕入れについて、帳簿のみの保存で全額の仕入税額控除を認める少額特例があります。対象は、その課税期間の基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者です。1万円未満かどうかは一品ごとではなく、1回の取引の税込額で判定します。仕入先がインボイス発行事業者でなくても適用できます。この特例では、例外の種類や仕入先の住所等を帳簿に追加記載する必要はありません(平成28年改正法附則53の2)。

免税事業者等から仕入れた場合

 少額特例などを適用できない場合、インボイス発行事業者以外の者からの仕入れについては、次の期間に限り、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります。

・2023年10月1日~2026年9月30日:80%
・2026年10月1日~2028年9月30日:70%
・2028年10月1日~2030年9月30日:50%
・2030年10月1日~2031年9月30日:30%

 この経過措置には、適用対象である旨を記載した帳簿と、従前の区分記載請求書等と同様の事項を記載した請求書等の保存が必要です。帳簿に記号を用いる場合も、その意味を別途明らかにします。2024年10月1日から2026年9月30日までに開始する課税期間は、同じ仕入先からの対象仕入れの税込合計額が年または事業年度で10億円を超える部分、2026年10月1日以後に開始する課税期間は1億円を超える部分には、この経過措置を適用できません(平成28年改正法附則52、53)。

事務所家賃・リース料を口座振替で支払う場合

 課税対象の事務所家賃やリース料について、毎月の請求書が交付されない場合でも、原則として適格請求書等の保存が必要です。貸主から一定期間の賃料について適格請求書を受け取る方法のほか、登録番号・税率・消費税額等を含む必要事項の一部が記載された契約書と、各月の支払いを示す通帳や銀行発行の振込金受取書などを、相互の関連が分かるように併せて保存する方法があります。古い契約書に登録番号などがないときは、貸主から不足事項の通知を受けるなどして必要事項をそろえます。契約書や支払予定表だけを保存すれば常に足りるわけではありません。居住用住宅の貸付けなど、そもそも非課税の取引は区別します。

保存期間と税務調査での提示

 帳簿は閉鎖の日、請求書等は受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、所定の場所で保存します。消費税の申告期限の延長特例を受ける法人では「2か月」を「3か月」と読み替えます。消費税の仕入税額控除の要件上、6年目と7年目は帳簿と請求書等のいずれか一方の保存で足りますが、法人税法など別の保存義務も確認してください(消令50、消規15の6、消基通11-6-9)。

 電子データで交付されたインボイスも保存対象です。電子取引のデータ保存については電子帳簿保存法の要件を併せて確認します。税務調査の際に適法な求めに応じて確認できるよう、帳簿・書類・電子データを整理して保存してください。災害その他やむを得ない事情で保存できなかったことを証明した場合は法律上の例外ですが、単に請求書を受け取らなかったことと同じではありません(消法30⑦ただし書)。

帳簿等を提示しなかった裁判例

 最高裁平成16年12月16日第一小法廷判決は、調査担当職員が複数回、帳簿書類の提示を求めたのに、納税者が応じ難い理由もなく大部分の提示を拒んだ事案で、当時の法律にいう保存がないとして仕入税額控除を認めませんでした。東京地裁平成27年5月14日判決、東京地裁令和元年11月21日判決・東京高裁令和2年8月26日判決でも、それぞれの調査経過の下で、帳簿等を適時に提示できる状態で保存していなかったと判断されています。いずれもインボイス制度開始前の取引についての判断であり、当時の帳簿・請求書等の選択要件を現在の保存要件として読み替えることはできません。

 関連する千葉地裁令和3年12月24日判決(平成30年(ワ)第768号)は、税務調査への対応を受任した税理士の損害賠償責任を扱った民事事件です。事前通知のない調査への対応方針を、仕入税額控除否認などの見込みを踏まえて依頼者と真摯に検討しなかった事情の下で請求が認容されました。仕入税額控除の保存要件そのものを判示した税務訴訟とは区別して読む必要があります。

主な根拠・参考資料

・消費税法30条7項~9項、同法施行令49条・50条、同法施行規則15条の3~7、平成28年改正法附則52条・53条・53条の2
・国税庁「No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」
・国税庁「No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項」
・国税庁「No.6498 適格請求書等保存方式」
・国税庁「家賃を口座振替・口座振込により支払う場合の仕入税額控除の適用要件」
・最高裁平成16年12月16日第一小法廷判決、東京地裁平成27年5月14日判決、東京地裁令和元年11月21日判決・東京高裁令和2年8月26日判決、日本税理士会連合会「千葉地裁令和3年12月24日判決」裁判例資料

(2026年9月29日現在の法令・公表資料に基づく。)

最高裁平成16年12月16日第一小法廷判決(訟務月報51巻10号2627頁)(一部棄却、一部却下)(確定)

(1)事案の概要

 本件の事案の概要は、次のとおりである。
① 納税者は、大工工事業を営む個人事業者であり、昭和63年分から平成2年分の所得税について確定申告をしていたが、平成2年1月1日から同年12月31日までの課税期間の消費税について確定申告をしていなかった。
② 課税庁は、納税者の上記課税期間について納めるべき消費税の税額を算出するため、また、所得税にかかる申告内容が適正であるかどうかを検討するため、納税者の事業に関する帳簿書類を調査することとした。
③ 課税庁職員は、5回にわたり納税者の自宅を訪れ、納税者に対し、帳簿書類を全部提示して調査に協力するよう求めたが、納税者は、これに応じ難いとする理由も格別なかったにもかかわらず、領収書の一部を提示しただけで、その余の帳簿書類については、上告人が提示を拒絶したため、課税庁職員は、内容を確認することができなかった。
④ 課税庁は、反面調査により把握した収入金額に基づき、(イ)所得税については、同業者率を用いて所得金額を推計して更正処分を行い、(ロ)消費税については、納税者から提示を受けて確認できた一部の領収書に係る仕入税額控除のみを認め、決定処分を行った。

(2)本件の主な争点

 消費税法30条(仕入れに係る消費税額の控除)7項にいう「保存」に、税務職員による調査の際に「提示」することが含まれるか否かである。

(3)判決要旨(一部棄却、一部却下)(確定)

① 消費税法30条7項は、当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等が税務職員による検査の対象となり得ることを前提にしているものであり、事業者が、国内において行った課税仕入れに関し、同条8項1号所定の事項が記載されている帳簿を保存している場合又は同条9項1号所定の書類で同号所定の事項が記載されている請求書等を保存している場合において、税務職員がそのいずれかを検査することにより課税仕入れの事実を調査することが可能であるときに限り、同条1項を適用することができることを明らかにするものであると解される。
② 消費税法30条7項の規定の反面として、事業者が上記帳簿又は請求書等を保存していない場合には同条1項が適用されないことになるが、このような法的不利益が特に定められたのは、資産の譲渡等が連鎖的に行われる中で、広く、かつ、薄く資産の譲渡等に課税するという消費税により適正な税収を確保するには、上記帳簿又は請求書等という確実な資料を保存させることが必要不可欠であると判断されたためであると考えられる。
③ 以上によれば、事業者が、消費税法施行令50条(課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の保存期間等)1項の定めるとおり、消費税法30条7項に規定する帳簿又は請求書等を整理し、これらを所定の期間及び場所において、同法62条(質問検査権)に基づく税務職員による検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は、同法30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たり、事業者が災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことを証明しない限り、同条1項の規定は、当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れ等の税額については、適用されないものというべきである。
④ 納税者は、課税庁職員から帳簿書類の提示を求められ、その求めに特に違法な点はなく、これに応じ難いとする理由も格別なかったにもかかわらず、上記職員に対し、一部の領収書を提示しただけで、その余の帳簿書類を提示せず、それ以上調査に協力しなかったのであるから、納税者が、税務調査に当たり、適時に提示することが可能なように態勢を整えてこれらを保存していたということはできず、仕入税額控除の適用はない。

東京地裁平成27年5月14日判決(税資265号-81(順号12664))(棄却)(確定)

(1)事案の概要

 本件の事案の概要は、次のとおりである。
① Y(課税庁)の調査担当職員は、無予告でX(原告会社)の税務調査(以下「本件調査」という。)に着手したところ、Xから得意先ファイル等の提示を受けたものの、調査対象課税期間の消費税法30条(仕入れに係る消費税額の控除)7項に定める帳簿及び請求書等(以下「帳簿等」という。)については提示がなく、未確認の帳簿等を残して、翌日に調査を継続することとなった。
② 調査担当職員は、翌日から約7か月間にわたり、Xの本社や営業本部に臨場し電話をかけるなどして帳簿等の提示を求めたが、Xから違法な調査であるとの抗議書の送付を受けるなど、Xの調査の協力を得ることがなく、帳簿等の提示を受けることはなかった。
③ Yは、Xが税務調査において正当な理由なく帳簿等の提示を拒否したことから、消費税法30条7項所定の帳簿等を保存しない場合に該当するとして、同条1項に定める仕入税額控除が適用されない旨の更正処分等を行った。

(2)本件の主な争点

① 本件調査における更正処分等の取消原因となる違法性の有無
② 消費税法30条7項に規定する帳簿等の保存の有無及び同項ただし書きのやむを得ない事情の有無

(3)判決要旨(棄却)(確定)

① 本件調査は、社会通念上相当な範囲を逸脱するものであったとはいえず、税務職員の合埋的な選択の範囲内の調査であったと認められるから、更正処分等の取消原因となるべき違法性があるとはいえない。                  
② 本件調査の事実関係からすれば、Xは、帳簿等について、調査担当職員による検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかったというべきであり、また災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことの証明もないから、消費税法30条1項に規定する仕入税額控除は適用されない。

東京高裁令和2年8月26日判決(令和元年(行コ)325号)(棄却)(上告・上告受理申立て)

(1)事案の概要

 本件の事案の概要は、次のとおりである。
① Y(課税庁)所属の職員(以下「調査担当者」という。)は、事前通知をすることなく、調査のため、X(控訴人会社)の事務所等に臨場した(以下、調査担当者によるXへの調査を「本件調査」という。)。
② Xは、国税通則法74条の10に規定する「事前通知を要しない場合」に該当すると判断した根拠を説明できない調査は違法である旨を主張して、本件調査に応じず、その後も、調査担当者が再三にわたり帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず、調査の事前通知を要しないと判断した根拠について、文書による回答がないことを理由に、本件調査への対応を拒み続けた。
③ Yは、Xが帳簿書類の提示の求めに応じなかったため、消費税法30条7項に規定する「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に該当するとして、消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、Xがその取消しを求め本訴を提起した。

(2)本件の主な争点

 本件調査において、Xが帳簿書類の提示を行わなかったことは、消費税法30条7項の「帳簿及び請求書等を保存しない場合」に該当するかである。

(3)判決要旨(棄却)(上告・上告受理申立て)

 控訴審は、第一審判決(東京地裁令和元年11月21日判決・税資269号-120(順号13343))を補正又は引用するほか、控訴審におけるXの法令解釈に関する主な補足主張に対して、要旨次のとおり判断し、Xの控訴を棄却した。

① 通則法74条の10は、税務署長等が調査の相手方である納税義務者の申告若しくは過去の調査結果の内容又はその営む事業内容に関する情報その他国税庁等が保有する情報に鑑み、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合に適用されるものであり、このような情報の性質上、これを当該納税者に開示することは想定されていないというべきである。(第一審判決引用)
② 事業者が、消費税法30条7項に規定する帳簿及び請求書等を整理し、これらを所定の期間及び場所において、通則法74条の2第1項3号に基づく税務職員による検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は、消費税法30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に当たり、事業者が災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかったことを証明しない限り(同項ただし書)、同条1項の規定は、当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れ等の税額については適用されないものと解すべきである。(第一審判決引用)
③ 消費税法が採用する申告納税制度の趣旨及び仕組み並びに同法30条7項の趣旨に照らせば、上記2のように解するのが相当であり、また、法令により帳簿書類の備付け、記録及び保存義務が課されていること並びに納税義務者が果すべき役割及び税務署長が果すべき役割(申告の審査、税務調査の実施等)は広く国民に知られ、消費税法30条7項は、同項所定の場合には同条1項を適用しない旨、疑問の余地のない明確な文言で定めていることを踏まえれば、上記2のような解釈は国民にとって不意打ちとなるような不当な拡張解釈とはいえず、租税法律主義に反するものともいえない。

(4)その後

 最高裁令和3年2月12日第二小法廷決定(税資271号-22(順号13524))において、Xの上告が棄却され、上告受理申立てが上告審として受理されなかった。

千葉地裁令和3年12月24日判決(平成30年(ワ)738号)(認容)

判決要旨(認容)

① 被告(調査当時の顧問税理士)は、原告(遊技場を経営する法人)の税務代理人として、本件調査に対する対応を行うに当たり、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、税法の解釈に関する自らの見識を有しつつも、適時に、原告に対し、本件調査の状況と見通しを客観的かつ真摯に説明し、原告から、本件調査に対する対応の方針について、十分に知識、情報を与えられた上での指示ないし同意を得た上、苟且にも、原告が、本来受けることができた青色申告の承認を受けることによる税法上の特典を受けることができなくなることや、本来受けることができた消費税の仕入税額控除を否認されることがないよう、細心の注意をもって、適切に対応を行う義務を負っていたというべきである。
② ところが、被告は、原告の税務代理人として、本件調査に対する対応を行うに当たり、本件担当者から、本件各連絡票の送付を受け、法人税、消費税等の納付の基となる全ての帳簿書類を提示し税務調査に応ずることを求められ、当初は明示されなかったものの、その求めに応じなければ、青色申告の承認の取消処分を受け、消費税の仕入税額控除を否認されるおそれがある状況となり、後にはそのような重大な不利益処分がされる可能性があることが明示されたにもかかわらず、原告らとともに、原告の本店所在地を異動することを決定する、F国税局に対してA税務署の調査であれば税務調査に応ずる旨の文書を提出することを決定するなどの弥縫策をとったのみで、本件調査が原告に対する事前通知を行うことなく開始されたことの違法を主張して本件調査に応ずることを拒否するというそれまでの方針を維持することの可否について、課税当局の対応見込みを踏まえて原告と真摯に検討することがないまま、最後まで、本件調査が原告に対する事前通知を行うことなく開始されたことの違法を主張して本件調査に応ずることを拒否するという自らが立てた方針に拘泥し、その方針に基づいた対応をとったのである。
③ 被告は、他人から税務代理を受任した税理士が負う義務に違反し、原告は、そのことによって、帳簿書類を提示し税務調査に応ずる機会を失い、各更正等を受けるに至ったと認めることができるから、被告に対し、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。

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