概要
売掛金等が貸倒れとなったときは、貸倒れとなった金額に対応する消費税額を貸倒れの発生した課税期間の売上げに対する消費税額から控除します。
控除することができる貸倒れに係る消費税額の計算方法は以下の通りです。
貸倒れに係る消費税額 = 貸倒れに係る金額(税込み)×7.8/110(標準税率)又は6.24/108(軽減税率)
対象者または対象物
国内で課税資産の譲渡等を行った事業者が対象となりますが、免税事業者は除かれます。
なお、貸倒れとなった売掛金等について、いったん課税売上に含めて申告していることが前提となりますので、消費税の免税事業者が課税事業者となった場合に貸倒れが生じても、免税事業者であった期間に発生した売掛金が貸倒れならば、この貸倒れに係る消費税額の控除等は適用されません(消基通14-2-4)。
また、課税事業者が事業を廃止し、又は免税事業者となった後において、課税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等に係る売掛金等につき貸倒れが生じ、当該課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部の領収をすることができなくなった場合であっても、当該領収をすることができなくなった金額については、この貸倒れに係る消費税額の控除等は適用されません(消基通14-2-5)。
対象となる貸倒れ
貸倒れとして認められる場合は、消費税と法人税はほぼ同様と考えられています。よって、法人税において貸倒れが否認された場合は、消費税も否認されると思ってください。
なお、消費税において控除の対象となる貸倒れは、消費税の課税対象となる取引の売掛金等に限られます。よって、貸付金等の非売掛債権が貸倒れとなっても、消費税においては対象になりません。
適用要件
貸倒れに係る消費税額について控除を受けるには、債権の切捨ての事実を証する書類その他貸倒れの事実を明らかにする書類を7年間保存する必要があります。
貸倒れ処理した後に貸倒債権を回収した場合
めったにないことですが、貸倒れ処理をした売掛金など(以下「貸倒債権」といいます。)の一部または全部について、その後の課税期間において回収することがあります。
「償却債権取立益」等で、経理処理をしますが、消費税においては、回収した貸倒債権に含まれる消費税額を、回収した課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算します。なお、回収した貸倒債権の額は税込みの金額です。