概要

 製造業等に該当する事業であっても、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業は、第四種事業(みなし仕入率60%)に該当します(消基通13-2-4)。

 「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」とは、製造業等に該当することとなる事業に係るもののうち、対価たる料金の名称のいかんを問わず、他の者の原料若しくは材料又は製品等に加工等を施して、当該加工等の対価を受領する役務の提供又はこれに類する役務の提供をいいます。なお、当該役務の提供を行う事業は第四種事業に該当することとなります(消基通13-2-7)。

 一方、サービス業等に該当することとなる事業に係るものは、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であっても第五種事業に該当します(消基通13-2-7注)。

 つまり、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」を行う事業で第四種事業に該当することとなるのは、まず第三種事業(みなし仕入率70%)に該当する製造業等であることが前提となります。

建設業、製造業

 建設業だから一律で第三種と判断せずに、「主要な材料を自社で仕入れているか、それとも支給を受けているか(手間請けか)」という実態に照らし合わせて区分を判定する必要があります。

(イ)第三種事業:原則
 自社で材料を調達し、工事を請け負う場合。
 建設業の一般的な形態(土木・建築・設備工事など)はこちらに該当します。

(ロ)第四種事業:例外
 材料を元請け業者や施主から「無償」で支給され、その対価として「加工賃(手間賃)」のみを受け取る場合。
 材料の仕入れを伴わない工事(とび工事、解体工事、足場の組立・解体など)が中心の場合。
 これらは「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」とみなされるため、第四種事業となります。

塗装工事業

 塗装工事業は、日本標準産業分類によると「建設業」に該当し、塗料等の資材を自ら調達する限り、第三種事業に該当します。ただし、他人が調達した塗料を塗装するだけの場合は「加工賃その他これに類する料金を対価とする」ものに該当することから、第三種事業からは除かれ、第四種事業に該当します(消令57⑤三、消基通13-2-4)。

サービス業

 クリーニング業や自動車修理業などのように「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」に該当すると考えられる事業であっても、これらの事業は第三種事業に該当する製造業等に該当するものではなく、そもそも日本標準産業分類の大分類において、サービス業等に該当します。

 そのため、簡易課税制度における事業区分は第五種事業に該当することになります(国税庁HP質疑応答事例「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」)。

 第五種事業に区分される「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供の事業」には、例えば、次のような事業が考えられます。

(1)クリーニング業、(2)自動車修理工場、(3)写真現像・焼付業、(4)衣類縫製業、(5)精米賃加工業

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12-46 農業のうち加工賃等を対価とする役務の提供に該当するもの

(問)
 農業のうち「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」に該当するものには、どのようなものがあるか。

(答)
 農業事業者が他の農業事業者の田植え、稲刈り、草取り、害虫駆除等の手伝い、果物の選果・選別等がこれに該当するから、おおむね、日本標準産業分類の小分類「農業サービス業」に該当する事業がこれに該当することとなる。
 第四種事業に該当する農業サービス業の細分類には、例えば、次の事業のうち主として人的役務の提供を行っていると認められるものがある。
(1) 穀作サービス業
 (注) 農業サービス業に分類される農業用水供給業、土地改良区は第三種事業に該当する。
(2) 野菜作・果樹作サービス業
(3) 穀作、野菜作、果樹作以外の耕種サービス業
(4) 畜産サービス業(獣医業を除く。)
(5) 養蚕サービス業

12-47 林業のうち加工賃等を対価とする役務の提供に該当するもの

(問)
 林業のうち「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」に該当するものには、どのようなものがあるか。

(答)
 他の事業者の苗木を保育、保護を行うために雑草の下刈り、枝打ち等を行う場合や他の事業者の立木の伐採、運搬等を請け負う場合がこれに該当するから、おおむね、日本標準産業分類の小分類「林業サービス業」に該当する事業がこれに該当する。
 第四種事業に該当する林業サービス業の細分類には、例えば、次の事業のうち主として人的役務の提供を行っていると認められるものがある。
(1) 育林サービス業
 (注) 苗木を購入する場合は第三種事業に該当する。
(2) 素材生産サービス業
 (注) 立木を購入する場合は第三種事業に該当する。
(3) 山林種苗生産サービス業
(4) その他の林業サービス業
 (注) 苗木を購入する場合は第三種事業に該当する。

12-48 建設業のうち加工賃等を対価とする役務の提供に該当するもの

(問)
 建設業に該当するもののうち、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」に該当する事業は、どのようなものがあるか。

(答)
 建設業のうち、他の事業者の原材料を使用し、当該他の事業者の建設工事の一部を行う人的役務の提供がこれに該当することになる。
(注) 通常、受託者が自ら調達する補助的な建設資機材(釘、針金、接着剤、道具又は建設機械等)を受託者が調達しても、他の主要な原材料の無償支給を受けている場合には、加工賃等を対価とする役務の提供に該当する。
 なお、建設業者が行う改造、修繕は、原則として、第三種事業に該当する。

12-49 製造業者が行う事業で加工賃等を対価とする役務の提供に該当するものの範囲

(問)
 製造業者が行う事業で加工賃等を対価とする役務の提供に該当するものの範囲は、どのようになるか。

(答)
 日本標準産業分類の製造業に分類される事業者(製造小売業を含む。)が行う事業で、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」に該当する場合は第四種事業に該当するが、この場合の加工賃等を対価とする役務の提供には、原材料等の無償支給を受けて組立・加工等を行う事業がこれに該当する(基通13-2-7)。
(注) 通常、受託者が自ら調達する加工資材〔糸、針、釘、塗料、塗布材料(めっき剤を含む。)、包装資材等の補助原材料〕を受託者が調達しても、他の主要な原材料の無償支給を受けている場合には、加工賃等を対価とする役務の提供に該当する。
 なお、具体的な例としては次のような事業がこれに該当する。
(1) 食料品製造業者が原料とする食品の支給を受けて製造等に加工する事業(麦の支給を受けて行う製粉、果物等の支給を受けて行う缶詰加工等)
(2) 食料品加工業者が貝、えびの支給を受けて行うむき身の製造
(3) 繊維等製造業者が糸、生地の支給を受けて行う巻取り、染色、織物製造、裁断、刺しゅう又は縫製
(4) 木製品等製造業者が木材の支給を受けて行う容器、家具等の製造・組立、彫刻又は塗装(漆塗りを含む)。
(5) 紙加工業者が紙の支給を受けて行う紙製品の製造・加工
(6) 印刷業者が紙の支給を受けて行う印刷
(7) 製本業者が印刷物の支給を受けて行う製本
(8) なめし革製造業者が革の支給を受けて行うなめし、調整、塗装又は縫製
(9) めっき業者が金属の支給を受けて行うめっき
(10) 金属製品製造業者が金属の支給を受けて行う打ち抜き、プレス、施盤加工又は彫刻
(注) 金型の支給を受けるが、金属を自己が調達して打ち抜き、プレス等する場合は、第三種事業に該当する。
(11) 機械等の製造業者が部品の支給を受けて行う組立
(12) 指輪の支給を受けて行うサイズ直し又は宝石の支給を受けて行う切断、研磨、取付け

大阪地裁平成12年3月29日判決(税務訴訟資料第247号105頁)(棄却)(確定)

(1)事案の概要

 本件の事案の概要は、次のとおりである。
① 原告Xは、建設業法3条1項に基づく建設業の許可を大阪府知事から受け、とび・土工工事業を営んでいる個人である。
 Xの行う事業は、山留支保工と呼ばれるもので、建築物を建てるために地下を掘削して基礎工事をする際に、土砂がなだれ込まないように周囲に杭等を打ち込んだものが、掘削の進行にしたがって周りの土砂からの圧力により倒壊することを防ぐために、H鋼を縦横に張り巡らして右杭等を支える工事であり、必要が無くなった場合には右H鋼を解体し、大規模な工事においては、必要に応じてクレーン等を乗せる構台等を架設・解体する工事が含まれる場合もある(以下、これらの業務を合わせて「山留支保工等」という。)。
 そして、Xは、右山留支保工等の業務を行うに当たり、H鋼や構台等の重量資材のほか、ボルト、履工鉄板、アングル材、チャンネル材等は元請業者などから無償で提供を受け、自らは、工具の他、アセチレンガス、酸素ガス、溶接棒などの消耗品、補助的材料を負担し、自ら所有するクレーンを用いて山留支保工等を行い、Xが支払を受ける工事代金は、工事の難易度も勘案されるものの、基本的には主要材料の重量(トン数)にトン当たりの単価を乗じた額とされている。
② Xは平成4~6年分の消費税の申告において、簡易課税制度における事業区分を第3種事業で申告した。
③ 所轄税務署長はXの営む業種が令57条5項3号ホの建設業に当たることは認めるが、Xの営む業種は、同号かっこ書の「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業(第4種事業)」に該当するとし、更正処分等(本件各処分)をした。
④ Xは本件各処分を不服として、訴えを提起した。

(2)本件の主な争点

 Xの営む事業は消費税の簡易課税制度における事業区分において、第3種事業に該当するのか、それとも第4種事業に該当するのかである。

(3)判決要旨(棄却)(確定)

① 簡易課税制度は、中小事業者の負担を軽減するために、法30条以下の実額による課税仕入れの煩雑な算定をさけるために、具体的な事業者の個別性による差異を捨象し、右のように当該事業の一般的な課税仕入れの態様に応じて類型化した事業区分を用いてそれぞれみなし仕入率を定め、簡易に当該課税期間における仕入れに係る消費税額を算定することを可能にしたものと解される。
 本件においては、Xの事業が原則第3種事業とされる令57条5項3号ホの建設業に該当することは争いのない事実であり、同号かっこ書の「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」に該当するか否か、すなわち、該当して第4種事業に区分されるか否かが争点であるが、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」の意義も判断すべきである。
② 「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」に該当する事業とは、主要原材料等を他の者から提供を受けているため課税資産の譲渡等に係る消費税額のうちに課税仕入れ等の税額の通常占める割合が第3種事業に比べて一般的に低いと認められるものであって、これを建設業においてあてはめると、他の事業者から主要原材料等の提供を受け、当該他の事業者の建設工事の一部を行う人的役務の提供を行う事業であって、自らが課税仕入れによって得て使用する材料、工具、建設機械等の補助的な建築資材の調達費用の割合が一般的に建設業一般より低い事業がこれに当たるというべきである。
③ これをXの事業についてみるに、Xの行う事業のうち9割以上を占める山留支保工及びそれに付随する構台の架設・解体工事は、元請業者等が行う建設工事の一部をなすものであって、H鋼等を主要材料として、これをクレーンで移動しつつ、アセチレンガス、酸素ガス、溶接棒等を用いて組み立て、必要に応じてクレーンやトラックの構台等を架設・解体する事業であるが、Xは、その主要材料であるH鋼等を元請業者から支給されており、自らが課税仕入れによって得て使用する材料、工具の額は、低いものであり、しかも、Xが取得する工事代金額が主として主要材料の重量によって決定されることをも併せ考慮すると、その中心は、人的役務を提供するところにあると認められる。
④ Xの営む事業は、第4種事業に該当するというべきである。

平成7年5月29日裁決(裁事49集515頁)要旨

 請求人は、その事業は、染色加工業であつて日本標準産業分類によれば、製造業の中分類(繊維工業)の小分類染色整理業に該当し、請求人自らの名と責任においてすべての加工を外注先に依存する製造業であり、第3種事業に当たる旨主張するが、請求人の事業は、白生地を受注先の小売店から提供されて、それに染色等の加工をしているのであるから、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供事業」に該当し、第4種事業に当たる。

平成9年5月30日裁決(裁事53集491頁)要旨

 請求人は、消費税の簡易課税制度の適用についての事業区分において、得意先から表生地の無償支給を受け、自己調達した裏生地及び芯地材並びにその他の副資材を用いてプレタポルテを製造するものであるが、裏生地及び芯地材もプレタポルテの主要な原材料であるから、本件事業は、第3種事業に該当すると主張する。
 しかしながら、裏生地及び芯地材は、あくまでも表生地に付属するものであつて、プレタポルテの主要な原材料である表生地の持つている特性を増補あるいは補完することにより衣服としての価値観、機能性を高めるものであるにすぎないから、プレタポルテの主要な原材料であるとは認められないので、本件事業は、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行なう事業に該当し、第4種事業とするのが相当である。

平成22年9月2日裁決(裁事80集)要旨

 請求人は、自ら営む事業は、時間的観点からいえば、セキュリティ工事のうち配線工事が主であり、また、施工に必要とされるコードケーブル等の資材は自ら全部調達して配線工事を行っているから、第四種事業には該当しない旨主張する。
 しかしながら、当該事業は、発注者からセキュリティ機器の提供を受け、当該機器の設置、配線、調整等を行い、セキュリティシステムを正常に稼動させるまでの工事を行うものであり、また、当該事業は、電気工事士2種以上、電話工事担任者及び消防設備士甲4類の各資格保持者の技術を提供するものであること、かつ、請求人が受領する工事代金が配線工事、機器設置工事、機器調整等の作業に対する対価であると認められることからすれば、請求人が受領する工事代金は、人的役務の提供に対する対価であると認めるのが相当である。したがって、当該事業は、他の者の原材料等に加工等を施して、当該加工等の対価を受領する役務の提供又はこれに類する役務の提供に当たり、消費税法施行令第57条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第5項第3号かっこ書の「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」に該当する事業というべきであるから、同項第5号に規定する第四種事業に該当するものと認められる。