概要
個人が行う株式の信用取引による損益は、原則として「上場株式等に係る譲渡所得等」として申告分離課税の対象になります。ただし、差金決済、現引き、現渡しでは、所得が生じる時期や取得価額の計算方法が異なります。
また、信用取引で受け取る「配当落調整金」は配当所得ではありません。現物株式の配当金と混同せず、信用取引の損益計算に反映する必要があります。
この記事では、日本の居住者である個人が、国内の証券会社を通じて国内上場株式等の信用取引を行う場合の基本的な取扱いを説明します。税制の確認時点は令和8年11月2日です。
信用取引の仕組み
信用買いと信用売り
信用取引とは、証券会社に委託保証金を差し入れ、資金又は株式等を借りて売買する取引です。
| 区分 | 取引の仕組み | 売買価格だけで見た利益の例 |
|---|---|---|
| 信用買い(買建て) | 資金を借りて株式を買い、後で売却して返済する | 100万円で買い、160万円で売れば60万円の利益 |
| 信用売り(売建て) | 株式を借りて売り、後で買い戻して返済する | 100万円で売り、60万円で買い戻せば40万円の利益 |
上の例は手数料や金利等を考慮していません。信用買いでは株価の下落、信用売りでは株価の上昇によって損失が生じます。
委託保証金は、通常、約定価額の30%以上かつ30万円以上が基本です。ただし、証券会社の取引条件や銘柄による規制等によって異なり、レバレッジ型・ダブルインバース型ETF等には別の保証金率が適用されます。保証金率30%の場合の取引可能額は保証金の約3.3倍ですが、常にこの倍率で取引できるわけではありません。
建玉の評価損や担保の値下がり等により、追加の保証金である「追証」が必要になることがあります。決済後に預けた保証金を超える損失が残ることもあります。
制度信用取引と一般信用取引
| 項目 | 制度信用取引 | 一般信用取引 |
|---|---|---|
| 返済期限 | 原則として最長6か月 | 証券会社との契約により異なる |
| 対象銘柄や権利処理等 | 取引所の規則等に基づく | 証券会社との契約に基づく |
| 金利・貸株料等 | 証券会社の定める条件による | 証券会社・サービスごとの条件による |
一般信用取引には、返済期限を設けないものや、短期・当日中の返済を条件とするものがあります。制度信用取引との金利差が一律に決まっているわけではありません。
信用取引による所得の区分と税率
差金決済による所得は、事業所得又は雑所得として扱う
株式等の譲渡による所得が譲渡所得に該当するか、事業所得又は雑所得に該当するかは、本来、その取引が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定します。営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得は、譲渡所得には含まれません(所法33②一、所基通23~35共-11)。
この実態判定を補う簡便な基準として、通達では、所有期間が1年を超える上場株式等の譲渡による所得を、譲渡所得として取り扱って差し支えないとしています。一方、その部分以外の信用取引等による所得などについては、事業所得又は雑所得として取り扱って差し支えないとしています(措通37の10・37の11共-2)。
この区分は、上場株式等は流動性が高く、営利を目的とする継続的な取引が行われる可能性が高い一方、1年を超える保有による所得は、保有期間中の値上がり益の実現とみるという考え方によるものです(『令和7年版 譲渡所得・山林所得・株式等の譲渡所得等関係租税特別措置法通達逐条解説』899~900頁)。
制度信用取引の返済期限は最長6か月であるため、差金決済する取引は、所有期間が1年を超える上場株式等の区分には入りません。このため、制度信用取引の差金決済は、返済期限との関係からも、上記通達により事業所得又は雑所得として取り扱うことができます。
ただし、信用取引全体の所得区分が「1年以内だから」という理由だけで決まるわけではありません。一般信用取引の返済期限は契約によって異なりますが、所令119は、信用取引の差金決済について、制度信用・一般信用や所有期間1年という区別を設けず、事業所得又は雑所得として取得価額を計算することを前提としています。特定口座の信用差金決済についても、事業所得又は雑所得を前提とする規定が置かれています(所令119、措法37の11の3②)。
通常の個人投資では雑所得に該当し、事業として行う場合には事業所得となります。取引金額や売買回数が多いという理由だけで、当然に事業所得になるわけではありません。
これらの所得は、税額計算上は「上場株式等に係る譲渡所得等」に含まれます。雑所得に該当しても、他の総合課税の雑所得と合算して累進税率を適用するものではありません(措法37の11①)。
基本的な税率は20.315%
令和8年分の基本的な合計税率は20.315%です。内訳は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です(措法37の11①、国税庁タックスアンサーNo.1463)。
令和9年分からは、所得税額に対する復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に下がり、防衛特別所得税1%が加わります。したがって、令和9年分の基本的な合計税率も20.315%です(財務省「令和8年度税制改正の解説・防衛特別所得税の創設等」、国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」)。
なお、ここで示す税率は基本税率です。所得控除・税額控除や、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置などにより、実際の税額は異なることがあります。
決済方法による所得税の違い
| 決済方法 | 内容 | 所得税の基本的な取扱い |
|---|---|---|
| 信用買いの売返済 | 買建てた株式を売却して返済する | 差金決済による損益を計算する |
| 信用売りの買返済 | 売建てた株式を買い戻して返済する | 差金決済による損益を計算する |
| 現引き | 自分の資金で借入金を返済し、買建てた株式を現物株式として引き取る | 現引き自体では譲渡損益は生じない |
| 現渡し | 自分が保有する同一銘柄・同数量の現物株式を引き渡し、売建てを決済する | 引き渡した現物株式の譲渡損益を計算する |
差金決済の損益は建玉ごとに計算する
差金決済では、どの建玉を決済したかに対応させて、売付代金、買付代金、手数料、金利等から損益を計算します。同じ銘柄の建玉が複数あっても、取得価額を平均するのではなく、個別対応で計算します(所令119)。
同じ銘柄の現物株式を別に保有していても、差金決済する信用建玉と現物株式の取得価額をまとめて平均することはありません。
どの年分の所得になるか
信用取引による所得は、買方・売方とも、決済の日の属する年分の所得になります。信用売りで先に売付けをしていても、その時点で所得を確定させるのではなく、決済時に損益を計算します(所基通23~35共-10、措通37の10・37の11共-1(2))。
特定口座では、受渡日を基準として年間の損益が計算されます。年末に反対売買を約定しても、受渡日が翌年であれば、原則として翌年の年間取引報告書に反映されます。年内に損失を確定させたい場合などは、約定日だけで判断せず、受渡日と証券会社の処理を確認してください。
未決済建玉の含み益・含み損や、追証を差し入れたこと自体によって、通常の信用取引の譲渡損益が確定するわけではありません。
現引きは、その時点では株式の売却にならない
現引きは、買建てた株式を現物株式として引き取る手続です。現引き自体では株式を売却していないため、その時点の含み益・含み損を譲渡損益として計上しません。その後、現物株式を売却したときに損益を計算します(所基通23~35共-10の取扱い)。
現引きした株式の取得日は、現引きの日ではなく、買建ての際の取得日です。原則として買建ての際の受渡日によりますが、一般口座等で認められる約定日による申告の取扱いは別途確認が必要です(措通37の10・37の11共-18(1)・(19))。
取得価額は、買建て時の買付代金を基礎に、手数料、買方金利、配当落調整金等を所定の方法で加減算します。現引きした日の時価に置き換えるものではありません。調整金等の授受時期によっても処理が異なるため、特定口座では証券会社が計算した取得価額等を確認してください(所令109、所基通36・37共-22・23、措通37の11-8)。
現引き後は現物株式として取得価額を管理します。同一銘柄の現物株式を既に保有している場合には、一般口座・特定口座等の区分に応じて、同一銘柄の取得価額の計算に反映させます。
現渡しは、保有していた現物株式の売却になる
現渡しでは、自分が保有する現物株式を信用売りの返済に充てます。税務上は、その現物株式を現渡し時に譲渡したものとして計算します(措通37の11-9)。
譲渡価額の基礎となる金額は、信用売りをした際の約定金額です。現渡し時の時価や、手数料等を差し引いた手取額をそのまま譲渡価額とするものではなく、金利や配当落調整金等は別途、所定の方法で反映します(措通37の11-7・9)。
取得価額は、引き渡した現物株式の取得に要した金額を基礎に計算します。同一銘柄を複数回取得している場合には、現物株式について適用される平均計算等のルールに従います。
なお、措通37の11-9は、取得日の判定について先に取得したものから順に譲渡したものとする取扱いを定めています。これは取得日の判定であり、取得価額を先入先出法で計算するという意味ではありません。
現物株式の取得価額の計算方法
| 取引・所得の区分 | 同一銘柄を複数回取得した場合の基本的な計算方法 |
|---|---|
| 信用取引の差金決済 | 建玉ごとの個別対応 |
| 一般口座等の現物取引で、譲渡所得又は雑所得に該当するもの | 総平均法に準ずる方法 |
| 一般口座等の現物取引で、事業所得に該当するもの | 選定した評価方法等に従う。選定がない場合の法定評価方法は総平均法 |
| 特定口座内の現物取引 | 特定口座の計算規定に従う総平均法に準ずる方法 |
「総平均法」と「総平均法に準ずる方法」は、毎年有利な方を自由に選べるわけではありません。信用取引から現引きした株式を、その後に現物株式として売却する場合も、この区別が必要です(所法48、所令105~108・118・119、措法37の11の3、措令25の10の2)。
詳しくは、同一銘柄の株式の取得費に関する記事をご参照ください。
配当落調整金の取扱い
配当落調整金は配当所得ではない
信用買いの建玉を権利確定日をまたいで保有していても、投資家が通常の現物株式と同じように発行会社から配当金を受け取るわけではありません。その代わりに、信用取引の権利処理として配当落調整金の授受が行われます。
配当落調整金は、売買価額を調整する性質の金銭です。受け取った金額は配当所得には該当せず、配当控除の対象にもなりません。信用取引に係る上場株式等の譲渡所得等の計算に反映します(所基通36・37共-23、措通37の11-7(5))。
配当落ちによって株価が理論上調整されることを踏まえた制度ですが、実際の株価は他の市場要因によっても動きます。配当金相当額だけ必ず株価が下がるということではありません。
制度信用・一般信用と、買建て・売建てを分けて確認する
国内上場株式の通常の配当について、主要証券会社では次のような取扱いが見られます。これは税法上すべての信用取引に一律適用される割合を示すものではなく、具体的には利用する証券会社の取引条件を確認する必要があります。
| 取引区分 | 配当落調整金の一般的な例 |
|---|---|
| 制度信用の買建て | 配当金額の84.685%を受け取る |
| 制度信用の売建て | 配当金額の84.685%を支払う |
| 一般信用の買建て | 配当金額の84.685%を受け取る取扱いがある |
| 一般信用の売建て | 配当金額の100%を支払う取扱いがある |
例えば、楽天証券の「信用取引の基本ルール」では、制度信用・一般信用の買建ては84.685%、制度信用の売建ては84.685%、一般信用の売建ては100%とされています。「一般信用取引なら、買方も売方も100%」と考えないことが大切です。
84.685%は、配当金額から所得税等相当額15.315%を差し引いた割合です。ただし、買方本人が、その差額について源泉所得税を納付したことになるわけではありません。その差額を本人の配当所得に係る源泉徴収税額として控除することはできません。
損益計算への反映方法と計上時期
信用買いで受け取る配当落調整金は、買い付けた株式の取得価額から差し引きます。信用売りで支払う配当落調整金は、株式の譲渡に係る収入金額から差し引きます(措通37の11-7(5))。
信用取引の決済後に配当落調整金を受け取った場合には、受け取った年の総収入金額に算入します。決済後に支払った場合には、支払った年の必要経費に算入します。元の取引の決済年に必ず戻して計上するわけではありません(措通37の11-8)。
特定口座年間取引報告書等に既に反映されている金額を、確定申告で重ねて加算・控除しないようにしてください。
金利・品貸料・貸株料等の取扱い
信用取引には、売買手数料のほか、買方金利、貸株料、品貸料などの費用・収入が生じることがあります。
| 項目 | 上場株式等の譲渡所得等の計算上の基本的な取扱い |
|---|---|
| 買方が支払う買方金利 | 信用取引に直接要した費用に算入する |
| 買方が受け取る品貸料 | 株式の譲渡に係る収入金額に算入する |
| 売方が受け取る売方金利 | 株式の譲渡に係る収入金額に算入する |
| 売方が支払う品貸料 | 信用取引に直接要した費用に算入する |
| 売買に直接要した委託手数料等 | 所定の必要経費等に反映する |
上の表は、措通37の11-7による基本的な整理です。現引き後の株式の取得価額を計算する場合などには、所基通36・37共-22・23も踏まえて、取得価額や収入金額の調整として処理します。
品貸料は「逆日歩」とも呼ばれ、制度信用取引の貸株不足などに伴って生じます。一方、証券会社に通常支払う貸株料は、品貸料とは別の費用です。信用売りに直接関係する貸株料等も、取引明細に基づき必要経費等に反映します。
売方金利の有無や金利・貸株料の水準は、証券会社や取引条件によって異なります。支払った金利等を、配当所得の負債利子としても重ねて控除することはできません。
損益通算・損失の繰越控除
現物取引の損益との通算
信用取引の損益は、同じ年分の課税対象となる現物取引の損益などと合わせて、上場株式等に係る譲渡所得等の金額を計算します。特定口座の源泉徴収ありで申告不要を選択した取引は、確定申告上の通算計算には含めません(措法37の11①・37の11の5)。
信用取引の損失を、給与所得や総合課税の雑所得、FX・株価指数先物等の「先物取引に係る雑所得等」の利益から差し引くことはできません。一般株式等の譲渡益との通算もできません(措法37の11①、国税庁タックスアンサーNo.1465)。
上場株式等の配当等との損益通算
証券会社を通じた通常の信用取引による損失は、要件を満たせば、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得や、対象となる特定公社債等の利子所得などと損益通算できます(措法37の12の2①②)。
総合課税又は申告不要を選択した配当所得と、確定申告上そのまま通算することはできません。ただし、同じ源泉徴収ありの特定口座に受け入れた配当等と、その口座内の譲渡損失は、所定の要件の下で証券会社が通算するため、その通算のためだけに確定申告する必要はありません(措法37の11の6、国税庁タックスアンサーNo.1476)。
控除しきれない損失は翌年以後3年間繰り越せる
損益通算しても残る対象損失は、所定の確定申告をすることにより、翌年以後3年間、上場株式等の譲渡益や、申告分離課税の対象となる配当等から繰越控除できます(措法37の12の2③)。
繰越控除を受けるには、損失が生じた年に計算明細書・付表等を添付して申告し、その後も必要書類を添付した確定申告を連続して行う必要があります。取引がない年も、繰越控除を継続するための申告が必要です(国税庁タックスアンサーNo.1474)。
信用取引の確定申告が必要になる場合
信用取引も、特定口座で取り扱われている場合には、その口座の計算結果を特定口座年間取引報告書で確認できます。
| 口座等の状況 | 確定申告の基本的な取扱い |
|---|---|
| 特定口座・源泉徴収あり | 原則として申告不要を選択できる |
| 特定口座・源泉徴収なし | 課税される利益があれば原則として申告が必要 |
| 一般口座 | 自分で損益を計算し、課税される利益があれば原則として申告が必要 |
| 他の証券会社・口座との損益通算を行う | 通算対象の所得・損失について申告が必要 |
| 損失を翌年以後に繰り越す | 源泉徴収の有無にかかわらず、繰越しのための申告が必要 |
源泉徴収ありの特定口座の損失を申告する場合、その口座に受け入れた配当等も併せて申告する必要があります。口座内の損失だけを申告し、配当等は申告不要とすることはできません(国税庁タックスアンサーNo.1476)。
なお、一定の給与所得者の給与・退職所得以外の所得金額が20万円以下である場合など、所得税の確定申告を要しない例外もあります。ただし、住民税の申告は別途確認が必要です。また、医療費控除等のため所得税の確定申告をする場合には、この20万円以下の所得も含めて申告します(所法121、国税庁タックスアンサーNo.1900)。
現物保有と制度信用売りを組み合わせた場合の配当と税金
現物株式を保有し、同一銘柄・同数量を制度信用で売り建てて権利確定日をまたぐと、現物株式の配当金を受け取る一方、信用売りに係る配当落調整金を支払うことがあります。
以下は、令和8年中に税引前配当金100万円を受け取り、配当落調整金846,850円を支払った場合の概算例です。
- 現物株式は課税口座で保有し、通常の20.315%の源泉徴収を受ける配当を想定する。
- 現物株式の売買と信用売りの決済による損益は、配当落調整金を除けば合計ゼロとする。
- 配当と配当落調整金に係る損失を、同一年分で全額通算できるものとする。
- 同じ源泉徴収ありの特定口座に配当を受け入れるなど、自動通算の要件を満たすものとする。
- 手数料、金利、貸株料、逆日歩、他の損益及び厳密な税額の端数処理等は考慮しない。
| 項目 | 金額・計算 |
|---|---|
| 税引前の配当金 | 1,000,000円 |
| 配当金からの当初の源泉徴収等 | 203,150円 |
| 配当金の当初の手取額 | 796,850円 |
| 支払う配当落調整金 | 846,850円 |
| 通算後の課税対象額 | 1,000,000円-846,850円=153,150円 |
| 通算後の税負担の概算 | 153,150円×20.315%=約31,112円 |
| 当初徴収額からの還付等の概算 | 203,150円-約31,112円=約172,038円 |
| 最終的な差引手取額の概算 | 796,850円-846,850円+約172,038円=約122,038円 |
この例では、配当受取時の手取額だけを見ると、配当落調整金の支払いにより一時的に5万円の持出しになります。その後に損益通算に伴う税額の還付等を受け、最終的な差引手取額が約122,038円になるという関係です。
ただし、配当と損失の計上年が異なる場合、配当をその特定口座に受け入れていない場合、他の取引損益がある場合などには、このとおりにはなりません。他口座との通算には確定申告が必要です。また、NISAで非課税となる配当は、信用取引の損失との損益通算の対象にはなりません。
実際には売買価格の差、金利、貸株料、逆日歩等も影響します。上の金額が必ず利益として残るという意味ではありません。
申告前に確認したい資料
- 特定口座年間取引報告書
- 信用取引の決済明細・取引残高報告書
- 現引き・現渡しの明細
- 現物株式の取得価額が分かる資料
- 配当落調整金・権利処理価額・金利・品貸料等の明細
- 前年以前の確定申告書、損失の繰越控除に関する付表等
確認する際には、建玉の損益、現物株式の損益、決済後に授受した配当落調整金が、それぞれどの年分・どの書類に反映されているかを照合することが大切です。
主な根拠・参考資料
- 国税庁タックスアンサーNo.1463「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
- 国税庁タックスアンサーNo.1466「同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費」
- 国税庁タックスアンサーNo.1474「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
- 国税庁タックスアンサーNo.1476「特定口座制度」
- 国税庁・措通37の11-7~9(信用取引等の所得計算)
- 日本取引所グループ「信用取引制度の概要」
- 楽天証券「信用取引の基本ルール」
- 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」
通達
措通37の11-7(信用取引等に係る譲渡益の計算)
上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に当たり、信用取引等の方法により上場株式等の買付け又は売付けを行った者が、当該信用取引等に関し、金融商品取引業者に支払う又は金融商品取引業者から支払を受ける次のものについては、それぞれ次に掲げるところによることに留意する。
(1) 買付けを行った者が金融商品取引業者に支払う買委託手数料、委託手数料等に係る消費税及び地方消費税、名義書換料並びに金利に相当する額は、当該信用取引等に伴い直接要した費用の額に算入する。
(2) 買付けを行った者が金融商品取引業者から支払を受ける品貸料の額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額に算入する。
(3) 売付けを行った者が金融商品取引業者から支払を受ける金利に相当する額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額に算入する。
(4) 売付けを行った者が金融商品取引業者に支払う売委託手数料、委託手数料等に係る消費税及び地方消費税並びに品貸料の額は、当該信用取引等に伴い直接要した費用の額に算入する。
(5) 買付けを行った者が金融商品取引業者から支払を受ける配当落調整額及び権利処理価額に相当する額は、買付けに係る上場株式等の取得価額から控除し、売付けを行った者が金融商品取引業者に支払う配当落調整額及び権利処理価額に相当する額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額から控除する。
(注) 「配当落調整額」とは、信用取引等に係る株式につき配当が付与された場合において、金融商品取引業者が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいい、「権利処理価額」とは、信用取引等に係る株式につき、株式分割、株式無償割当て及び会社分割による株式を受ける権利、新株予約権(新投資口予約権を含む。)又は新株予約権の割当てを受ける権利が付与された場合において、金融商品取引業者が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払うこれらの権利の価額に相当する金銭の額をいう。
37の11-8(信用取引等の決済の日後に授受される配当落調整額)
上場株式等に係る譲渡所得等の金額を計算する場合において、信用取引等の決済の日後に配当落調整額の授受が行われた場合は、その授受が行われた金額をその授受が行われた年の総収入金額又は必要経費に算入することに留意する。
37の11-9(信用取引において現渡しの方法により決済を行った場合の所得計算)
金融商品取引法第156条の24第1項《免許及び免許の申請》の規定による信用取引の方法により上場株式等の売付けを行った場合において、いわゆる現渡しの方法により決済を行ったときの上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、当該売付けの際の約定金額により、当該現渡しをした時に、当該現渡しをした上場株式等を譲渡したものとして計算するのであるから留意する。この場合において、当該上場株式等に係る取得価額は、当該現渡しをした上場株式等の取得に要した金額により、また、その取得の日は当該現渡しをした上場株式等及びそれと同一銘柄の上場株式等のうち先に取得したものから順次譲渡をしたものとした場合に当該譲渡をしたものとされる当該現渡しをした上場株式等の取得の日による。


