一時所得の金額は、次のように算式します。

 総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
(注) その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

 一時所得の金額の計算においては、収入を得るために支出した金額は本来、収入金額に個別対応する支出した金額のみを控除すべきですが、大量にある場合は、課税庁側も実態に即してラフに計算してきます。

 令和元年10月30日東京地裁判決(平成30年(行ウ)第219号)における被告(国、課税庁側)の主張は次の通りです。

「一時所得の金額の計算においては、本来、収入金額に個別対応する支出した金額のみを控除すべきところであるが、本件では、個々の当たり馬券の払戻金、当該当たり馬券の購入金額、無効となった馬券に係る返還金及び当該無効となった馬券の購入金額に不明なものがあるため、本件各口座において、収入・支出の個別対応関係が最も判明し得る節ごとに、その一時所得の金額の計算を行うことが合理的である。
 これによれば、本件競馬所得に係る一時所得の金額は、その総収入金額(本件各口座におけるJRAとの決済における入金の合計額)から、その収入を得るために支出した金額〔本件各口座におけるJRAとの決済において、節ごとの出金額(馬券の購入金の総額)が入金額(払戻金の総額)以下である場合には、当該出金額を、節ごとの出金額が入金額を超える場合には、当該出金額のうち当該入金額を限度とする額を、それぞれその節における「その収入を得るために支出した金額」とする。〕を控除し、その残額から一時所得の特別控除額50万円を控除したものとなる。」

 

 上記の課税庁側の主張の「出金額が入金額を超える場合には、当該出金額のうち当該入金額を限度とする額を、それぞれその節における「その収入を得るために支出した金額」とする。」というところで、一時所得の金額の計算の「収入を得るために支出した金額」について、次のことがわかります。
(1)収入が0の場合、それに対する支出は「収入を得るために支出した金額」とならないということです。例えば、1万円払ったが外れ(0円)だったというようなケースです。もし、収入が0の場合でも、それに対する支出が「収入を得るために支出した金額」となるのであれば、上記の主張で出金額が入金額を超える場合には、「当該出金額」が「収入を得るために支出した金額」となるからです。よって、収入が0の場合はダメだということです。
(2)収入が1円以上の場合、それに対する支出のほうが多くても「収入を得るために支出した金額」となるということです。例えば、1万円払ったが3000円だったというようなケースです。もし、収入が1円以上あったが、それに対する支出のほうが多かった場合「収入を得るために支出した金額」とできないのであれば、上記の主張における出金額が入金額を超える場合ということは考えなくてよいということになるからです。よって、収入が1円以上の場合はOKだということです。