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法人の青色申告とは?メリット・申請期限と会社設立時の注意点

法人の青色申告とは?メリット・申請期限と会社設立時の注意点

概要

 会社を設立したら、早い段階で確認したいのが、法人税の「青色申告」です。青色申告の承認を受け、帳簿の記録・保存などの要件を満たすと、欠損金の繰越控除や、一定の少額減価償却資産の一括損金算入などを利用できます。

 ただし、青色申告は会社設立によって自動的に適用される制度ではありません。特に、設立第1期から利用するための申請期限と、第1期が3か月未満の場合の取扱いに注意が必要です。

 この記事では、一般的な株式会社・合同会社などの内国普通法人を対象に、青色申告のメリットと申請手続を説明します。グループ通算制度などの特則は対象外としています。

法人の青色申告とは

 法人の青色申告は、納税地の所轄税務署長の承認を受け、法人税の申告書を青色申告書として提出する制度です。青色申告法人は、仕訳帳・総勘定元帳などを備え付け、取引を記録し、帳簿書類を保存する必要があります(法法121①、126①、法規54)。

 承認は、原則として申請した事業年度以後の各事業年度に効力が及ぶため、毎年申請し直す必要はありません。ただし、承認の取消しや青色申告の取りやめがあった場合は別です(法法122①、127、128)。

 なお、白色申告の法人にも、帳簿の記録・保存義務があります。また、個人の所得税における「青色申告特別控除」は、法人には適用されません(法法150の2①、措法25の2)。

青色申告の主なメリット

1.税務上の欠損金を原則10年間繰り越せる

 青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、一定の要件の下で、その後の事業年度の所得から控除できます。平成30年4月1日以後に開始した事業年度に生じた欠損金については、原則10年間の繰越控除が認められます(法法57①⑩、58①)。

 ここでいう欠損金は、法人税法に基づいて計算した金額です。決算書に表示される会計上の赤字と必ずしも一致しません。例えば、会計上は費用でも税務上は損金とならない役員給与などがあると、会計上の赤字より税務上の欠損金が少なくなることがあります。

 主な要件は、次のとおりです。

  • 欠損金が生じた事業年度について、青色申告書である確定申告書を提出していること
  • その後の各事業年度について、連続して確定申告書を提出していること
  • 欠損金が生じた事業年度に係る一定の帳簿書類を保存していること

 欠損金が生じた事業年度が青色申告であれば、その後の事業年度が白色申告となっても、上記の要件を満たす限り、その欠損金は繰越控除の対象になります。毎年青色申告を続けること自体が、過年度の欠損金の繰越控除の要件になっているわけではありません。

 控除限度額にも法人区分による違いがあります。税法上の中小法人等では、原則として控除前所得の全額まで控除できます。中小法人等以外の法人は原則として控除前所得の50%が限度ですが、一定の新設法人や再建中の法人には例外があります(法法57①⑪)。

 資本金1億円以下の会社でも、一定の大法人による完全支配関係がある場合などは、中小法人等から除かれます。資本金の額だけで判定しないことが大切です。

 例えば、所得の全額を限度として控除できる中小法人等で、設立第1期に税務上の欠損金500万円が生じ、第2期・第3期にそれぞれ控除前所得300万円が生じた場合は、次のようになります。繰戻し還付などは利用しないものとします。

項目設立第1期第2期第3期
繰越控除前の所得・欠損金欠損金500万円所得300万円所得300万円
当期に控除する繰越欠損金―300万円200万円
控除後の所得・欠損金欠損金500万円所得0円所得100万円
翌期に繰り越す欠損金500万円200万円0円

 第2期は、300万円の所得から同額の欠損金を控除するため、所得に対する法人税は原則として生じません。ただし、法人住民税の均等割や、課税事業者としての消費税などは別に判定します。「繰越欠損金で所得がゼロになれば、すべての税金がゼロになる」という意味ではありません。

 申告実務では、法人税申告書の別表四で税務上の所得・欠損金を計算し、別表七(一)で欠損金の発生額、控除額、翌期繰越額を管理します。複数年度の欠損金がある場合は、古い事業年度のものから順に控除します(法基通12-1-1)。

 なお、平成30年4月1日前に開始した事業年度に生じた欠損金については、9年間の繰越期間となるものがあります。現在の10年間という取扱いを、過年度分へそのまま当てはめないようにしてください。

2.一定の40万円未満の減価償却資産を一括して損金にできる

 青色申告法人で一定の中小企業者等に該当する場合には、少額減価償却資産の取得価額を、事業の用に供した事業年度に一括して損金算入できる特例があります(措法67の5)。

 令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得等をする資産について、取得価額の基準が「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられました。制度の適用期限も、令和11年3月31日まで延長されています(措法67の5①、令和8年改正法附則65)。

 特例の対象は、原則として取得価額10万円以上40万円未満の資産です。10万円未満の少額減価償却資産や、20万円未満の一括償却資産には別の損金算入制度があり、これらは青色申告を要件としていません(法令133、133の2)。

 主な確認事項は、次のとおりです。

  • 青色申告書を提出する一定の中小企業者等に該当すること
  • 常時使用する従業員数が原則400人以下であること。一定の特定法人は300人以下であること
  • 取得等の時期に応じた取得価額の基準を満たし、適用期間内に事業の用に供していること
  • 事業の用に供した事業年度に、取得価額に相当する金額を損金経理していること
  • 確定申告書等に別表十六(七)を添付すること

 一括損金算入の対象となる取得価額の合計額には、1事業年度につき300万円の上限があります。事業年度が1年未満の場合は月数に応じて計算します。例えば、6か月の事業年度なら、300万円×6か月÷12か月=150万円が上限です(措法67の5①②③、措令39の28)。

 令和8年3月31日以前に取得等をした資産については、取得価額30万円未満など改正前の要件を確認します。40万円ちょうどの資産は、改正後も対象外です。貸付用資産も、主要な事業として行う貸付けに使用するものを除き、この特例の対象外となります。

 この特例の「中小企業者等」と、欠損金の控除限度額における「中小法人等」は、同じ範囲ではありません。大規模法人による株式保有や適用除外事業者への該当なども確認する必要があります。青色申告であれば、すべての会社が利用できる制度ではありません。

 会計上の処理は採用している会計ルールも踏まえて検討し、法人税上は損金経理や明細書添付などの要件を別途確認します(中小会計指針33(3)・34、措法67の5①③)。

3.欠損金の繰戻し還付や、一定の特別償却・税額控除を利用できる

 前期に所得があり法人税を納め、当期に欠損金が生じた場合には、一定の中小企業者等は、その欠損金を前1年以内に開始した事業年度の所得へ繰り戻し、法人税の還付を請求できる場合があります(法法80、措法66の12)。

 通常の繰戻し還付では、還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色の確定申告書を提出し、欠損事業年度の青色の確定申告書を期限内に提出するとともに、その申告書と同時に還付請求書を提出するなどの要件があります。将来の所得から控除する「繰越控除」と、過年度の法人税の還付を受ける「繰戻し還付」は区別してください。

 このほかにも、設備投資に関する制度など、青色申告を適用要件とする特別償却・税額控除があります。それぞれ対象法人、設備、適用期限、申告書の記載・添付書類などの要件を確認します。

青色申告の承認申請書はいつまでに提出するのか

原則は、青色申告を始める事業年度の開始日の前日

 既に事業を行っている会社が新たに青色申告を始める場合は、原則として、青色申告をしようとする事業年度開始の日の前日までに「青色申告の承認申請書」を提出します(法法122①)。

 設立第1期や、設立第1期が3か月未満の場合の第2期については、次の特例があります。

区分申請書の提出期限
原則青色申告をしようとする事業年度開始の日の前日
設立第1期「設立の日以後3か月を経過した日」と「第1期の事業年度終了の日」の、いずれか早い日の前日
設立第1期が3か月未満の場合の第2期「設立の日以後3か月を経過した日」と「第2期の事業年度終了の日」の、いずれか早い日の前日

 提出期限が土曜日、日曜日、祝日等に当たる場合は、原則としてその翌日以後の休日等でない日が期限となります(通法10②)。

設立第1期から青色申告をする場合

 設立第1期の期限は、単純に「設立から3か月以内」と覚えるだけでは不十分です。第1期の終了日が早ければ、その終了日の前日が期限になるためです(法法122②一)。

 例えば、令和8年6月1日設立の会社について、第1期の終了日が異なる場合の期限は、次のようになります。

第1期の期間第1期から青色申告をするための申請期限
令和8年6月1日~令和9年3月31日令和8年8月31日
令和8年6月1日~令和8年7月31日令和8年7月30日

 後者は、設立から3か月が経過する前に決算日が到来するため、7月31日の前日である7月30日が期限になります。法人税の確定申告期限まで待つことはできません。

設立第1期が3か月未満なら、第2期の開始後でも申請できる場合がある

 設立の日から第1期の終了日までの期間が3か月未満の場合には、第2期についても申請期限の特例があります。第2期から青色申告を始める場合の期限は、「設立の日以後3か月を経過した日」と「第2期の終了日」の、いずれか早い日の前日です(法法122②四)。

 例えば、令和8年6月1日に設立し、第1期を同年7月31日までとした会社が、第2期を同年8月1日から令和9年7月31日までとする場合、第2期から青色申告をするための申請期限は、令和8年8月31日です。

 この例では、第1期の申請期限である7月30日を過ぎても、第2期については8月31日までに申請できます。第2期から青色申告をする場合も、必ず第2期の開始前に申請しなければならない、というわけではありません。

提出先と承認の取扱い

 申請書の提出先は、納税地の所轄税務署長です。e-Taxのほか、書面による提出もできます。法人設立届出書を提出しただけでは、この申請の代わりにはなりません。

 申請後、法定の時期までに承認又は却下の処分がなかった場合には、承認があったものとみなす制度があります。原則として対象事業年度の終了日が基準となりますが、中間申告に関する例外があります(法法125①)。

 なお、国税庁の案内では、令和8年10月1日以後の申請について、承認を受けようとする事業年度終了の日など一部の項目は記載不要とされています。申請時には最新の様式・記載案内を確認してください。

申請期限を過ぎてしまった場合

後から申請しても、原則として過去の事業年度にはさかのぼれない

 設立第1期について申請期限までに申請しなかった場合、災害等による期限延長などの適用がなければ、原則として第1期は白色申告になります。後から第2期以降の青色申告の承認を受けても、第1期の通常の事業上の赤字を、青色申告により生じた欠損金として扱うことはできません(法法122、58①)。

 ただし、白色申告でも一定の災害損失金額については、別途、欠損金の繰越控除の対象となる場合があります(法法58)。

裁決例:白色申告に欠損金の明細書を添付しても控除できなかった事例

 青色申告の承認を受けていない会社が、白色の確定申告書に欠損金の明細書を添付しても、それによって通常の事業上の欠損金を繰り越せることにはなりません。

 令和4年4月18日裁決では、飲食業を営む法人が、設立第1期である令和2年3月期について白色の確定申告書を期限内に提出し、別表七(一)にも翌期へ繰り越す欠損金額を記載していました。翌期の令和3年3月期も白色で期限内申告し、前期の欠損金を所得金額の計算上損金算入していました。

 しかし、この法人は、青色申告の承認申請書を提出期限までに提出しておらず、欠損金が生じた令和2年3月期について青色申告の承認を受けていませんでした。審判所は、欠損金が生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出した場合に該当しないため、翌期の所得金額からその欠損金を控除することはできないと判断しました。

 法人は、法人設立届や確定申告の際に、税務署から「青色申告でなければ欠損金の繰越控除が認められない」との説明がなかったことなどを理由として、控除を認めるべきだと主張しました。

 これに対して審判所は、本件で主張された説明義務を明らかにした法令の規定はなく、申告納税制度の下では、税額計算やその前提となる制度の利用は納税者の判断と責任において行われるべきものとしました。そして、税務署の情報提供が不足していたという主張は、更正処分の適法性に影響しないと判断しました。

 また、本件では、過少申告加算税を課さない「正当な理由」も認められず、過少申告加算税の賦課決定も適法とされました(令和4年4月18日裁決・仙裁(法)令3第12号)。

 期限内申告や別表七(一)の添付は、青色申告の承認に代わるものではありません。会社設立時には、法人設立届出書とは別に、青色申告の承認申請書の提出状況と適用開始事業年度を確認し、e-Taxの受信通知や提出控えを保存しておきましょう。

決算月を変更し、次の事業年度から青色申告とする方法

 第1期の申請期限を過ぎた場合でも、第1期を短縮し、変更後の第2期から青色申告を始める方法を検討できる場合があります。

 例えば、令和8年6月1日に設立し、当初の第1期を令和9年3月31日までとしていた会社が、8月31日の申請期限を過ぎたとします。その後、適法に定款を変更して第1期を令和8年11月30日までに短縮し、第2期を同年12月1日から開始するなら、原則として11月30日までに第2期以後の青色申告の承認申請書を提出することになります(法法122①)。

 ただし、事業年度の変更によって、既に経過した事業年度を事後的に作り直せるわけではありません。短縮後の第1期は白色申告のままであり、その事業年度の申告・納付も必要です。消費税の納税義務の判定や、少額減価償却資産の年間上限額などへの影響も確認してください。

 定款で事業年度を定めている場合、株式会社では原則として株主総会の特別決議、合同会社では定款に別段の定めがない限り総社員の同意によって定款を変更し、議事録や同意書を保存します。事業年度だけの変更は、通常、登記の対象にはなりません(会社法309②十一、466、637)。

 事業年度を変更したら、税務署に異動届出書を速やかに提出します。国税庁の現在の案内では、税務署への異動届の添付書類は「なし」とされ、内容確認のため定款等の写しを求められる場合がある、という取扱いです。都道府県・市区町村への届出は、各自治体の期限・添付書類を別途確認してください。

帳簿書類の保存と、青色申告の承認取消しに注意

保存期間は原則7年、欠損金が生じた青色申告年度は10年

 法人税上、帳簿書類は、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。青色申告書を提出した事業年度に欠損金が生じた場合には、その事業年度に係る帳簿書類の保存期間は10年間となります。平成30年4月1日前に開始した事業年度分については、9年間となるものがあります(法規26の3、59)。

 保存対象には、仕訳帳・総勘定元帳のほか、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、契約書、請求書、領収書などがあります。電子メールやウェブサイトを通じて授受した請求書等の電子取引データは、電子帳簿保存法に従って保存する必要があります(電子帳簿保存法7)。

 また、令和8年4月1日以後に開始する事業年度には、一定の関連者間取引について、取引内容や対価の計算方法等を明らかにする書類の取得・作成、保存を求める特例が適用されます。グループ会社間の管理料や使用料等がある場合には、対象取引への該当と書類の記載内容も確認してください。白色申告法人にも同様の規定があります(法規59の2、67の2)。

承認後も、適正な記帳・保存と期限内申告が必要

 帳簿書類の備付け・記録・保存の不備、帳簿書類への隠蔽・仮装などは、青色申告の承認取消しの原因となります。申告書を期限までに提出しなかったことも、法律上の取消事由です(法法127①)。

 国税庁の事務運営指針では、無申告・期限後申告による取消しは、原則として2事業年度連続して期限内に確定申告書の提出がない場合に行い、その2事業年度目以後の承認を取り消す取扱いとされています。相当の事情がある場合の個別的な取扱いも定められています。

 青色申告のメリットを継続して利用するためには、申請書を出すだけでなく、日々の記帳、証憑・電子データの保存、毎期の申告期限の管理まで行うことが大切です。

 会社設立時のその他の届出については、会社設立後の税務届出に関する記事もご参照ください。

主な根拠資料

  • 法人税法57、58、80、121~128、150の2/法人税法施行規則26の3、52、54、59、59の2、67の2/租税特別措置法67の5など
  • 国税庁「C1-19 青色申告書の承認の申請」
  • 国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」
  • 国税庁「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」
  • 国税庁「No.5763 欠損金の繰戻しによる還付」
  • 国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
  • 国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
  • 国税庁「No.5432 措置法上の中小法人及び中小企業者」
  • 国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
  • 国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」
  • 国税庁「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」4・5
  • 財務省「令和8年度 税制改正の解説」「租税特別措置法等(法人税関係)の改正」686~688頁
  • 日本税理士会連合会「中小会計指針・中小会計要領」掲載原文。中小会計指針33(3)・34、中小会計要領 各論8
  • 令和4年4月18日裁決、仙台、裁決番号「令030012」

 法令等の確認日:令和8年10月15日。

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