持分

 個人間で行う合同会社の持分の譲渡が時価相当額でない、つまり、低額譲渡、高額譲渡である場合は大きな課税問題が原則として生じます。なお、この場合における持分の時価は、原則として、買い取る個人側にとっての相続税評価額となります。
 例えば、低額譲渡の場合、既存社員が不利益を被り、新社員が利益を享受するということになり、新社員に対して贈与税が課税される場合があります。旧社員に対しては、譲渡価額と取得価額の差額について、所得税が生じます(低額譲渡なので0の場合あり)。以下で詳しく解説します。

(1)売買価額=時価

  • (売却した個人)持分の売却損益(譲渡所得等)となり、「売却収入―取得価額―売却費用」により計算します。売却益は、税率20.315%(所得税等・住民税)による申告分離課税の対象ですが、上場株式等の売却損益とは相殺できません。なお、未上場株式の売却損益とは相殺できますが、相殺後に残った売却損を翌年以後に繰越すことはできません。
  • (買い取る個人)課税はありません。

(2)売買価額<時価(低額譲渡)

  • (売却した個人)持分の売却損益(譲渡所得等)となり、「売却収入―取得価額―売却費用」により計算します。なお、取得価額よりも低い金額で売却した場合(赤字となる場合)は、原則的に税金はかかりませんが、著しく低い価額で売った(適正時価の1/2未満)場合、赤字(譲渡損失)もないものとされます(所法59)。
  • (買い取る個人)一方、著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた「買い手」には、時価と売買価額の差額に対して贈与税がかかります(相法7)。

(3)売買価額>時価(高額譲渡)

  • (売却した個人)利害関係のない第三者に対する売却であれば、交渉で決まった金額ですので、通常の持分の売却損益(譲渡所得等)となり、「売却収入―取得価額―売却費用」により計算します。ただし、利害関係のある同族関係者等に対する売却であれば、恣意性が問われますので、適正時価までの金額が「持分の譲渡所得」となり、それを超える意部分については贈与税がかかる可能性があります。
  • (買い取る個人)課税はありません。

まとめ

売却した個人買い取る個人
(1)売買価額=時価譲渡所得(所得税等・住民税)課税なし
(2)売買価額<時価譲渡所得贈与税課税の問題あり
(3)売買価額>時価譲渡所得の他、贈与税課税の問題あり課税なし

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