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外国株式のスピンオフは配当所得になる?令和元年8月1日裁決と現行制度の注意点

概要

 米国株などの外国株式では、企業の事業の一部を切り離す「スピンオフ」に伴い、保有株式に応じて別の会社の株式が交付されることがあります。

 現金を受け取っていなくても、日本では配当所得として課税される場合があります。米国で非課税とされていることだけで、日本でも非課税になるわけではありません。

 この記事では、日本の居住者である個人株主に対する課税が争われた令和元年8月1日裁決を紹介し、現在の外国株式の税務を考える際の注意点を説明します。裁決の対象は平成27年の取引であり、その後の税制改正とは区別する必要があります。現在の制度についての説明は、日本の居住者(非永住者を除きます。)である個人株主を前提とします。

外国株式の交付が配当所得に該当するとされた裁決

事案の概要

 請求人Xは、米国の証券会社の口座で米国法人H社の株式18,992株を保有していました。

 平成27年11月、H社は企業向け事業などをM社に移転し、保有するH社株式1株につきM社株式1株を株主に交付しました。XもM社株式18,992株を取得しました。

 H社は事業分割後にN社へ商号を変更し、プリンター事業などを継続しました。M社とN社は、事業分割後、資本関係のない独立した上場会社となりました。

 XはM社株式の交付について米国では課税されず、日本の確定申告でもその株式交付に係る所得を計上していませんでした。これに対し、原処分庁は配当所得に該当するとして、所得税等の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をしました(令和元年8月1日裁決・裁事116集)。

納税者と原処分庁の主張

 Xは、事業分割前のH社株式の価値と、分割後のM社株式・N社株式の価値の合計に大きな変化がなく、実質的な利益を得ていないと主張しました。また、米国で税制適格の組織再編として非課税とされたことや、平成29年度改正で導入された適格株式分配との公平も主張しました。

 原処分庁は、株主としての地位に基づき利益剰余金を原資として株式が交付されているため、剰余金の配当に当たると主張しました。また、平成29年度改正後の株式分配に関する規定は、平成27年に行われた本件取引には適用されないとしました。

国税不服審判所はどのように判断したか

利益剰余金を原資とする株式の交付であった

 審判所は、H社から商号変更したN社の連結株主資本等変動計算書などを確認し、本件事業分割により利益剰余金が減少する一方、資本剰余金の変動はないと認定しました。

 その上で、XはH社の株主としての地位に基づき、利益剰余金を原資としてM社株式の交付を受けたとして、当時の所法24①に規定する剰余金の配当に該当すると判断しました。

 配当所得には、現金による配当だけでなく、株主としての地位に基づいて供与される経済的利益も含まれます。本件は、所法25①のみなし配当の計算をした事例ではなく、所法24①の剰余金の配当と認定した事例です(所法24①、所基通24-1、令和元年8月1日裁決)。

日本の税法上の分割型分割には当たらなかった

 当時の所法24①では、分割型分割によるものなどを通常の剰余金の配当から除外していました。そのため、本件事業分割が日本の税法上の分割型分割に該当するかも問題となりました。

 審判所は、外国法に基づく行為であっても、日本の会社法上の分割に相当する法的効果があり、それに相当すると認められる場合には、法人税法上の分割として取り扱い得るという考え方を示しています。

 しかし、本件では、日本の会社法上の分割における、対象となる権利義務が法律の効果として一括して承継される「一般承継」の要素を欠き、ほかに会社分割に相当すると認める特段の事情もないと判断しました。このため、分割型分割には該当しないとされました(当時の所法24①、法法2十二の九、令和元年8月1日裁決)。

株式全体の価値や米国での非課税扱いだけでは結論は変わらない

 審判所は、事業分割前後で保有株式全体の価値がほぼ変わらないというXの主張を採用しませんでした。株主としての地位に基づき、利益剰余金を原資として株式の分配を受けたという事実を重視したためです。

 また、米国で非課税とされたことを理由に、日本でも配当所得に当たらないとする主張も採用しませんでした。外国の税法上の取扱いだけで日本の課税関係が決まるわけではなく、日本の法令や適用される租税条約を踏まえて判断する必要があります。

配当所得の金額はどのように計算されたか

 金銭以外の物や権利による収入も、原則として所得計算の対象となり、その取得時などの価額で評価します(所法36①②)。

 本裁決では、事業分割日が日曜日であったため、取引所の翌営業日のM社株式の価額を用いました。その1株当たりの価額に18,992株を乗じ、さらに同日の対顧客直物電信相場の仲値、いわゆるTTMを乗じて円換算しています(所法57の3①、令和元年8月1日裁決「4(2)ニ」)。

 これは本件の事実関係に即した評価です。外国スピンオフでは常に翌営業日の株価を用いるという意味ではありません。個別の取引では、配当の効力発生日、株式を取得した時期、市場価格、円換算に用いた相場を確認し、根拠資料を保存する必要があります(所法36①②、所基通36-4)。

過少申告加算税についても納税者の主張は認められなかった

 本件では、配当所得への該当性に加えて、更正処分等の理由の提示に不備があるか、過少申告加算税を課さない「正当な理由」があるかも争われました。

 審判所は、処分通知書には課税の基礎となる事実関係と適用法令が示されているとして、理由の提示に不備はないとしました。

 また、Xは、課税関係の判断が難しかったことや、他の株主に課税されていない者がいるのであれば不公平であることなどを主張しましたが、審判所は本件で正当な理由を認めず、審査請求を棄却しました。課税される所得と認識していなかったことなどから、当然に加算税が免除されるわけではありません(令和元年8月1日裁決、同裁決適用の旧通法65④)。

現在の外国スピンオフに本裁決をそのまま当てはめてよいか

平成29年度改正後は株式分配の規定も確認する

 平成29年度改正では、完全子法人の株式を株主に分配する一定の取引を「株式分配」として組織再編税制に位置付け、配当所得に関する規定も見直しました。

 この改正は平成29年4月1日以後に行われる株式分配に適用されます。審判所は、平成27年の本件取引には改正後の規定を適用できないとして、Xの主張を退けました。本裁決は、平成29年度改正後の外国スピンオフがすべて同じ結論になると判断したものではありません(平成29年法律第4号附則5、財務省「平成29年度税制改正の解説」128~130頁)。

 現在の取引では、日本の税法上、通常の剰余金の配当、分割型分割、株式分配などのいずれに該当するかを確認した上で、適格要件の充足状況や課税金額を検討します。

日本の税法上の区分株主の配当課税に関する基本的な考え方
通常の剰余金の配当に該当する場合原則として、交付された株式などの価額が配当の収入金額となる
非適格の分割型分割・株式分配に該当する場合交付資産の価額等のうち、対応する資本金等の額を超える部分についてみなし配当を計算する
適格の分割型分割・株式分配に該当する場合その適格取引によるみなし配当は生じない。株主の譲渡損益や取得価額の取扱いは別途確認する

 上表は配当課税の基本的な整理であり、外国取引の呼称だけで区分を決めることはできません。また、株主本人が保有株式を購入した金額は、みなし配当の計算で差し引く「対応する資本金等の額」とは異なります(所法24①・25①二三、法法2十二の九・十二の十五の二・十二の十五の三)。

 なお、令和8年度改正では、認定株式分配に係る特例も見直されています。これは事業再編計画の認定などの要件がある制度であり、外国でスピンオフと呼ばれる取引が自動的に対象になるということではありません(措法68の2①)。

AT&Tに関する令和7年の判決との違い

 AT&Tのスピンオフに伴う株式交付については、東京地裁令和7年7月28日判決(令和6年(ワ)第21118号)があります。

 同判決では、分割型分割によるみなし配当を前提として、対応する資本金等の額の情報を取得することが難しいという理由だけで、その額を0円とし、交付株式の評価額全額をみなし配当として源泉徴収することは認められませんでした。

 これは、所法24①の剰余金の配当を認定した本裁決とは、適用される規定と具体的な争点が異なります。両者から、外国スピンオフはすべて非課税になる、あるいは交付株式の価額全額が必ず配当になる、と結論付けることはできません。

 AT&Tの事件については、AT&Tのスピンオフとみなし配当・源泉徴収に関する記事で詳しく説明しています。

申告実務で確認すること

海外口座の配当と申告不要・申告分離課税を区別する

 本件のように海外の証券会社の口座で外国株式の交付を受ける場合、日本で源泉徴収されていないことを理由に、申告不要と判断してはいけません。

 国内の支払の取扱者を通じて交付を受けない外国株式の配当等には、配当に係る確定申告不要制度を適用できません。一方、外国の取引所に上場する株式等の配当で、上場株式等の配当等に該当するものについては、海外の証券口座で受け取っていても、申告分離課税を選択することができます。申告不要制度の可否と、申告分離課税の可否は別の問題です(措法8の4①②・8の5①・9の2⑤)。

 ただし、海外の証券会社で生じた株式の売却損失まで、当然に配当との損益通算や繰越控除の対象になるわけではありません。譲渡損失については、対象となる譲渡の要件を別途確認する必要があります(措法37の12の2)。

 また、外国法人から受ける配当は、総合課税で申告しても配当控除の対象にはなりません(所法92①)。

 外国で所得税に相当する税が課された場合には、対象となる外国税額や控除限度額などを確認し、外国税額控除の適用を別途検討します(所法95)。

 なお、配当に係る確定申告不要制度とは別に、給与所得者の申告義務の特例などにより確定申告を要しない場合があります。申告義務は、その年の所得全体を踏まえて判定します(所法120・121)。

取引の仕組みと金額の根拠資料を残す

 外国スピンオフでは、次の資料や事項を確認しておくことが重要です。

  • 発行会社の組織再編に関する説明書、契約書、交付条件
  • 株式交付の原資や資本の変動が分かる財務資料
  • 株式の交付数、効力発生日、取得時期、市場価格、為替相場
  • 証券会社の税務上の取扱いと、源泉徴収額の計算根拠
  • 交付された株式を将来売却する場合の、日本の税法上の取得価額の根拠

 米国で作成された取得価額の配分資料や、証券会社の画面上の取得単価を、日本の税法上の取得価額としてそのまま使用できるとは限りません。交付時に配当課税されたのか、組織再編に関する特例が適用されたのかなどを確認し、交付時の申告資料と将来の譲渡所得の計算をつなげて管理する必要があります。

参考資料・根拠

  • 国税不服審判所「外国法人の事業分割に伴う株式の交付が配当所得に該当するとした事例」令和元年8月1日裁決(裁事116集)
  • 所法24①・25①・36①②・57の3①・92①・95・120・121、所基通24-1・36-4
  • 法法2十二の九・十二の十五の二・十二の十五の三、措法8の4・8の5・9の2・37の12の2・68の2
  • 平成29年法律第4号附則5、財務省「平成29年度税制改正の解説」租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正「六 配当所得の改正」128~130頁
  • 財務省「令和8年度税制改正の解説」租税特別措置法等(法人税関係)の改正・認定株式分配に係る課税の特例の見直し、691~694頁
  • 東京地裁令和7年7月28日判決・令和6年(ワ)第21118号(源泉所得税等の誤徴収による不当利得返還請求等事件)
  • 国税庁タックスアンサーNo.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」、No.1331「上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」、No.1250「配当所得があるとき(配当控除)」

外国法人の事業分割に伴う株式の交付が配当所得に該当するとされた事例-令和元年8月1日裁決(裁事116集)(棄却)

(1)事案の概要

 本件は、原処分庁が、審査請求人Xに交付された外国法人の株式は剰余金の配当に当たるなどとして、所得税等の更正処分等をしたのに対し、Xが、当該株式を取得したことに実質的な利益は発生していないなどとして、それらの処分の一部の取消しを求めた事案である。

○本件におけるXの申告状況等は、次のとおりである。

① XのH社株式の保有状況
 Xの平成27年10月末現在のH社の株式の保有数は18,992株であった。Xは、H社の株式を米国のJ証券口座(以下「本件証券口座」という。)において保有し、毎年、H社の配当金を収受していた。H社は、コンピュータやプリンターなどを中心とした、コンピュータ関連機器の開発、製造、販売、サポートなどを行う米国のK州に登記上の本店を置く法人であり、L証券取引所に上場していた。

② H社の事業分割
(イ) H社の取締役会は、平成27年10月1日、以下を骨子とする事業分割(以下「本件事業分割」という。)案を承認し、プレスリリースした。
A H社は、平成27年11月〇日、M社とN社の独立した2社に分割され、前者はH社の企業向け技術インフラ事業、ソフトウエア事業、サービス事業及び金融事業(以下、これらの事業を併せて「エンタープライズ事業」という。)を継承し、後者はH社のプリンター事業及び個人向けシステム事業を継承する。
B 本件事業分割は、平成27年10月21日を基準日(以下「本件基準日」という。)とし、本件基準日現在のH社の株主が保有するH社の株式に対し、M社の株式を比例的に分配する(H社の株式1株に対し、M社の株式1株を割り当てる。)方法によって行われる。
C 本件事業分割は、平成27年11月〇日に実行され、H社はN社に社名変更し、N社の株式は引き続きL証券取引所で取引される。一方、M社は新たにL証券取引所に上場されるが、事業分割後両社には資本関係はなく、独立した上場会社としてそれぞれ別個に運営される。
D 本件基準日現在のH社の株主は、M社の株式の交付を受けるため、何らかの行為をすることは要求されず、その対価の支払をすることも、H社の株式と交換することもない。

(ロ) H社の株主には、平成27年10月8日付で、本件事業分割に関連する詳細事項が記載された書面が交付されたが、同書面には、本件事業分割が、米国歳入法355条及び同368条(a)(1)(D)に適合する組織再編成であり、米国内国歳入庁(以下「IRS」という。)から、税制適格の組織再編成である旨を認定する「個別ルーリング」の交付を受けることを条件とする旨、記載されている。

(ハ) H社、M社及びその他の関係会社は、平成27年10月31日付で、契約(以下「本件契約」という。)を締結した。

(ニ) 米国における組織再編成とその課税に関する規定
A 米国の法令には、我が国の会社分割法制のような権利義務の一般承継(包括承継)を特徴とする分割法制は存在しない。
B 米国歳入法368条(a)(1)(D)は、ある法人の資産の全部又は一部の他の法人への譲渡で、当該資産の譲渡の直後に、資産取得法人が、その対価として同法人の株式その他の有価証券を資産譲渡法人に交付し、資産譲渡法人が資産取得法人を支配した上で、資産譲渡法人の株主に対し、当該株式その他の有価証券を、同法355条に規定する税制適格取引として分配するものを組織再編成の一つとして規定している。
C 米国歳入法355条は、法人(「分配法人」と定義される。)による当該法人が支配する法人(「被支配法人」と定義される。)の株式等の税制適格の現物分配について規定している。
D 本件事業分割においては、上記のとおり、N社はIRSから個別ルーリングを取得しており、米国歳入法355条所定の税制適格要件を全て満たしたものと認められる。

③ XのM社株式の取得
 平成27年11月〇日、本件事業分割は実行され、Xは、本件証券口座においてM社の株式18,992株(以下「本件株式」という。)を取得した。なお、Xは、本件株式の取得について、米国で課税されなかった。

④ Xの確定申告
 Xは、平成27年分の所得税等について、確定申告書を法定申告期限までに原処分庁に提出したが、H社から交付を受けた本件株式に係る所得をその所得計算に含めていなかった。

⑤ 原処分庁による更正処分等
 原処分庁は、平成30年2月5日付で、Xに交付された本件株式は剰余金の配当に当たるなどとして、所得税等の更正処分等をした。

(2)裁決要旨(請求棄却)

① 所得税法24条第1項は、法人から受ける剰余金の配当を同項所定の「配当等」として掲げ、当該配当等に係る所得を配当所得という旨規定する。本件事業分割は、米国歳入法355条及び同法368条(a)(1)(D)に適合する組織再編成であるところ、米国における組織再編成では、同法に定める税制適格要件に適合させることを前提に、ある法人が他の法人に資産を譲渡し、その対価として資産取得法人の株式等の交付を受け、両社の支配従属関係を成立させた上で、資産取得法人(被支配法人)の株式等が資産譲渡法人(分配法人)の株主に分配されるという類型の分割が一般的に行われている。そして、本件事業分割では、H社が、その有するエンタープライズ事業に係る資産及び負債をそれぞれM社に移転するとともに、その対価としてM社の株式の交付を受け、当該受領したM社の株式が、H社の株主に比例的に分配されたと認められるところ、H社によるM社の株式の交付に当たっては、本件事業分割に伴いH社から商号変更したN社の連結株主資本等変動計算書上、利益剰余金のみが減少していることが認められる。
 したがって、Xに対する本件株式の交付は、H社の株主としての地位を有する者に対し、H社の利益剰余金を原資として行われたものということができるから、所得税法24条1項に規定する剰余金の配当に該当すると認められる。

② 所得税法24条1項は、同項に規定する「法人(略)から受ける剰余金の配当」のうち資本剰余金の額の減少に伴うもの及び法人税法2条12号の9に規定する分割型分割によるものを当該剰余金の配当から除くとしている。この点、本件株式の交付がH社から商号変更したN社の資本剰余金の額の減少に伴うものと認められない。そこで、本件株式の交付が、同号の9に規定する分割型分割によるものといえるか否か、具体的には、米国の法令に準拠して行われた本件事業分割を法人税法上の分割のうちの「分割型分割」に該当するものとして取り扱えるか否かについて検討する。
 我が国の会社法上の分割では、分割の対象とされた分割会社の権利義務は、事業譲渡(会社法467条《事業譲渡等の承認等》1項参照)の場合のように個別に承継・移転されるのではなく、吸収分割契約又は新設分割計画により、承継会社又は新設会社に一括して承継されるという一般承継の法的効果が付与される(「一般承継」とは、法令上、ある者が他の者の権利義務の全てを一体として受け継ぎ、法律上その権利義務に関して他の者と同じ地位に立つことをいい、「包括承継」ともいう。)。
 他方、米国においては、権利義務の一般承継を特徴とする会社分割制度は存在しない。すなわち、我が国の会社法上の分割が、上記のとおり、法的効果としての権利義務の一般承継をその本質的要素とするのに対し、本件事業分割はかかる要素を欠いており、この点において、本件事業分割は、我が国の会社法上の分割に相当する法的効果を具備するものとはいえないというべきである。そして、本件における全証拠等によっても、他に本件事業分割を我が国の会社法上の分割に相当するものと認めるべき特段の事情も認められない。そうすると、本件事業分割を法人税法上の分割に相当するものとして取り扱うことはできない。したがって、本件事業分割は、法人税法2条12号の9に規定する分割型分割には当たらないというべきである。

③ Xは、自らが株式を保有していた米国法人が事業分割(本件事業分割)し、2社の独立した法人となったことにより、新たに事業を承継した法人の株式(本件株式)の交付を受けたことについて、当該米国法人の事業分割前の株価と事業分割後の米国法人2社の株価の合計額とがほぼ同等であり、当該分割の前後において、全体としての株式の価値の増減は見られないこと、本件事業分割について、米国の課税上、米国法人2社双方の株主が非課税扱いとされていたことからすれば、本件株式の交付によりXは所得を得ておらず、我が国の所得税法24条《配当所得》1項に規定する剰余金の配当に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件株式は、当該米国法人の株主としての地位を有する者に対し、当該米国法人の利益剰余金を原資として交付されたものと認められる。また、米国における課税上の取扱いが我が国の課税上の取扱いに影響を及ぼすことはない。加えて、本件事業分割は、我が国の会社法上の分割に相当する法的効果を具備するとはいえず、法人税法2条《定義》12号の9に規定する分割型分割には当たらないというべきであるから、本件株式の交付は所得税法24条1項に規定する剰余金の配当に該当する。

④ 以上のとおり、Xに対する本件株式の交付は、所得税24条1項に規定する法人から受ける剰余金の配当のうち、資本剰余金の額の減少に伴うもの及び法人税法上の分割型分割によるもののいずれにも該当しないものとして、同項所定の配当等に該当するものと認められる。

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