スマートフォンの耐用年数は、資産区分を確認して判断します
iPhoneなどのスマートフォンを事業用に購入した場合、通常の減価償却を行うのであれば、税務上の資産区分に応じた法定耐用年数を確認する必要があります。
「電話設備その他の通信機器」の「その他のもの」に区分する場合の耐用年数は10年です。一方、「電子計算機」の「パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)」に区分される資産の耐用年数は4年です。ただし、スマートフォンでインターネットやアプリを使うという理由だけで、当然に4年を適用できるわけではありません(耐用年数省令別表第一)。
また、取得価額や事業者の要件によっては、10万円未満の少額資産、一括償却資産、中小企業者等の少額減価償却資産の特例により処理できます。その場合、法人税・所得税の費用計算に法定耐用年数を使わなくても、償却資産税では申告が必要になることがあります。
以下は、令和8年10月10日現在の制度に基づき、新品のスマートフォンを自社・自己の業務に使用するために購入する場合を中心に説明しています。
10年と4年は、どの資産に適用されるのでしょうか
耐用年数省令の区分
耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」のうち、「2 事務機器及び通信機器」には、次の区分があります。
| 資産区分 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 電話設備その他の通信機器―その他のもの | 10年 |
| 電子計算機―パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。) | 4年 |
携帯電話として通信機器に区分するスマートフォンは、上表の10年の区分で処理します。4年を適用できるかどうかは、その端末が税務上の「パーソナルコンピュータ」に区分されるかという問題です。端末の仕様、機能、使用目的、実際の使用状況などを確認して判断する必要があります。
なお、耐用年数通達1-1-1は、同一の資産について用途により異なる耐用年数が定められている場合に、使用目的や使用状況などから用途を合理的に判定する取扱いです。スマートフォンについて、通話とアプリの使用時間を比べれば自由に10年か4年を選べる、と定めたものではありません。
買替え周期やスマホ申告の普及だけでは、4年と判断できません
実際には、スマートフォンを数年で買い替えることもあります。しかし、予定している買替え周期と、税法上適用する法定耐用年数は別の問題です。「10年は実態より長い」と感じることだけを理由に、4年で償却することはできません。
国税庁がスマートフォンによる確定申告や納税を案内していることも、スマートフォンを耐用年数省令上のパーソナルコンピュータに分類したことを意味するものではありません。
スマートフォン一般について「アプリ中心の使用なら4年」とする国税庁の公表された取扱いは、確認した一次資料の範囲では確認できませんでした。4年の適用を検討する場合は、個別の事実関係と資産区分の根拠を整理しておくことが大切です。
資産区分に疑義がある場合の確認制度
耐用年数通達1-1-9には、「構築物」又は「器具及び備品」で細目が特掲されていない資産について、一定の条件の下で、類似する資産の耐用年数を適用できる取扱いがあります。
この取扱いには、次の確認が必要です。
- 対象資産の細目が特掲されていないこと。
- 別表第一に特掲されている資産の中に、「構造又は用途」及び使用状況が類似する資産があること。
- 別に定める取扱いがないことを確認し、税務署長の確認を受けること。調査課所管法人の場合は国税局長の確認となります。
「スマートフォン」という名称が省令に見当たらないことだけで、この取扱いの対象になるとは限りません。まず既存の資産区分に該当するかを検討した上で、1-1-9による確認の対象となるかを確認します。
検討する場合は、端末の仕様書、具体的な業務内容、使用状況、比較する資産の区分、希望する耐用年数の根拠を整理し、所轄税務署等に手続と必要書類を確認してください。一般的な電話相談での回答と、この通達に基づく税務署長等の確認は区別する必要があります。
所得税についても、耐用年数通達に準じて取り扱う旨が定められています(昭和45年6月4日付直審〈所〉22・直法4-27)。
法人税では、取得価額に応じた処理も確認します
10万円未満のスマートフォン
取得価額が10万円未満であるスマートフォンは、事業の用に供した事業年度に、その取得価額の全額を損金経理することで、全額を損金に算入できます。購入しただけで未使用の場合や、事業に使用し始めた翌事業年度に全額を費用処理した場合は、この規定による即時の損金算入はできません(法令133①)。
法人では、この処理を選ばず、資産に計上して通常の減価償却を行うこともあります。その場合は、法定耐用年数の確認が必要になります。
20万円未満のスマートフォンを一括償却資産とする場合
取得価額が20万円未満のスマートフォンについては、一定の要件の下で、一括償却資産として処理することもできます。各事業年度の損金算入限度額は、原則として「一括償却対象額÷36×その事業年度の月数」で計算し、その限度額の範囲内で損金経理した金額を損金に算入します(法令133の2①)。
各事業年度が12か月であれば、通常は取得価額の3分の1ずつを3年間で損金に算入します。設立初年度や決算期変更などにより事業年度が12か月未満の場合は、常に3分の1ずつ、3事業年度で処理するわけではありません。この月数は、その事業年度の月数であり、購入後又は事業に使用し始めた後の月数ではありません。
適用に当たっては、事業の用に供した事業年度の申告書への一括償却対象額の記載や、計算に関する書類の保存などの要件にも注意します。いったん一括償却資産としたものは、途中で売却・廃棄しても、原則として残額をその時点で一括して損金に算入することはできません(法令133の2、法基通7-1-13)。
40万円未満の少額減価償却資産の特例
青色申告書を提出する一定の中小企業者等は、取得価額が10万円以上40万円未満のスマートフォンについて、所定の要件を満たせば、事業の用に供した事業年度に取得価額を損金に算入する特例を利用できます(措法67の5、措令39の28)。
令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得等をする資産の取得価額基準は、30万円未満から40万円未満に引き上げられました。適用期限は令和11年3月31日までに延長されています。令和8年3月31日までに取得等をした資産の取得価額基準は、従前の30万円未満です(令和8年法律第12号附則65)。
この特例は、「中小企業であれば40万円未満の資産をすべて経費にできる」という制度ではありません。主な確認事項は次のとおりです。
- 青色申告書を提出し、税法上の中小企業者等に該当すること。
- 資本金の額だけでなく、大規模法人による株式保有などの除外要件も確認すること。
- 常時使用する従業員の数が、原則として400人以下であること。一定の特定法人は300人以下という別の基準があること。
- この特例を適用する資産の取得価額の合計額が、年300万円を限度とすること。事業年度が1年に満たない場合は月数による按分があること。
- 事業の用に供した事業年度に損金経理を行い、確定申告書等に別表十六〈七〉を添付すること。
通算法人や適用除外事業者など、上記以外の除外要件もあります。取得価額が10万円未満のものはこの特例の対象外であり、一括償却資産の規定とも、同じ資産について重複して適用することはできません。
個人事業者の所得税で注意する点
法人税と似ていますが、同じ取扱いではありません
個人事業者が業務用のスマートフォンを購入した場合、取得価額が10万円未満であれば、原則として業務の用に供した年分の必要経費に算入します。法人のように、自由に資産計上して通常の減価償却を選ぶ取扱いではありません(所令138①)。
取得価額が10万円以上20万円未満であれば、一括償却資産として、業務の用に供した年以後3年間の各年に3分の1ずつを必要経費に算入する方法を選択できます(所令139①)。
また、青色申告者である一定の中小事業者は、40万円未満の少額減価償却資産の特例を利用できます。令和8年4月1日以後の取得分から40万円未満となり、同年3月31日までの取得分は30万円未満です。適用期限は令和11年3月31日で、この特例を適用する資産の取得価額の合計額は年300万円が限度です。常時使用する従業員の数などの要件や、必要経費算入・明細の添付又は所定の記載、計算書類の保存といった手続も確認します(措法28の2、措令18の5、令和8年法律第12号附則35)。
私用と兼用している場合は、取得価額の判定と家事按分を分けます
スマートフォンを業務と私用の両方に使用している場合、必要経費にできるのは、業務に使用する部分です。使用状況などに基づいて、合理的に区分できる金額を算定します(所法45①一、所令96、所基通45-1・45-2)。
ただし、10万円未満、20万円未満、40万円未満といった取得価額の判定は、業務使用割合を掛ける前の、その資産全体の取得価額で行います。
例えば、取得価額18万円のスマートフォンを業務50%・私用50%で使用していても、業務分の9万円を基準に「10万円未満の資産」と判断することはできません。資産の取得価額は18万円であるため、一括償却資産などの適用を検討し、その処理によって計算した額のうち業務分を必要経費に算入します(所令138①・139①、所基通49-39)。
金額の判定で共通して注意する点
取得価額は、通常一単位として取引される単位で判断します。スマートフォンは通常1台ごとに判断し、購入代価に取得・使用開始のため直接要した費用などを加えて確認します。分割払いや月々の支払額で、10万円未満などの判定をするものではありません(法令54①一、所令126①一、法基通7-1-11、所基通49-39)。
消費税については、税抜経理の場合は原則として税抜金額、税込経理の場合は税込金額で判定します。消費税の免税事業者は税込金額で判定します。
また、「未満」は、その金額と同額のものを含みません。10万円ちょうどは10万円未満の規定の対象外、20万円ちょうどは一括償却資産の対象外、40万円ちょうどは40万円未満の特例の対象外です。
購入日と業務に使用し始めた日は分けて記録します。端末の領収書や請求書のほか、使用開始日、業務使用割合、選択した税務処理の根拠も保存しておくと、申告時の確認に役立ちます。
なお、令和4年4月1日以後に取得等をした資産を貸付けの用に供する場合には、主要な事業・業務として行う貸付けを除き、10万円未満の少額資産、一括償却資産、40万円未満の特例の対象から除外される規定があります。貸付けのために取得する場合は、自己使用の端末と同じ前提で処理しないよう注意してください。
償却資産税は、法人税・所得税の経費処理と分けて判断します
経費にしても申告対象になる場合があります
事業用に所有するスマートフォンについては、取得価額と法人税・所得税で実際に適用した規定に応じて、償却資産税の申告対象となるかを確認します(地法341四、地令49)。
| 法人税・所得税での処理 | 償却資産税の申告対象 |
|---|---|
| 10万円未満で、法令133①又は所令138①により一時に損金・必要経費に算入したもの | 対象外 |
| 20万円未満で、法令133の2①又は所令139①により一括償却資産として処理したもの | 対象外 |
| 40万円未満の特例〈措法67の5又は28の2〉で損金・必要経費に算入したもの | 対象 |
| 通常の減価償却を行うもの | 原則として対象 |
上表は、自己所有の業務用端末を前提としています。10万円未満の端末であっても、法人が通常の減価償却を選択した場合には、原則として申告対象です。「購入価格が10万円未満」という理由だけで、申告対象外と判断しないようにしてください。
例えば、18万円の端末を一括償却資産として処理した場合は申告対象外ですが、40万円未満の特例を適用して即時に費用処理した場合は申告対象です。同じ価格の端末でも、適用する規定によって結果が変わります。
申告対象の端末は、耐用年数の確認も必要です
40万円未満の特例を適用した端末でも、償却資産税の申告対象であれば、申告に用いる耐用年数の確認が必要です。償却資産の評価は固定資産評価基準に基づき、原則として耐用年数省令の耐用年数によります。
資産区分に疑義がある場合は、端末の仕様、使用目的、使用状況などを整理し、申告先の市区町村に確認します。東京23区では、申告先は都税事務所です。
税務署長等による耐用年数の確認を受けた場合は、その確認内容を示す書類を保存し、償却資産税の申告でも必要な添付書類や適用時期を確認してください。個別の窓口での口頭回答を、全国共通の取扱いと考えることはできません。
(自治体への問い合わせ結果)
おそらく、多くの方が、法人税や所得税の取扱いではスマホについて資産(器具及び備品)計上せずに、経費計上しているため、耐用年数について悩んでいないと思います。
ただし、償却資産税の申告で、スマホの耐用年数が何年なのか悩んでいるだと思います。
これについて、私が問い合わせた範囲の自治体では、携帯電話としての利用がメインなのか、パソコンのように利用しているのがメインなのかで、耐用年数が10年なのか、それとも4年なのかとなるということでした。
申告義務と、実際に税額が生じるかどうかは別です
償却資産の所有者は、原則として毎年1月1日現在の資産について、1月31日までに申告します。課税標準額が免税点未満で税額が生じない場合でも、申告が不要になるわけではありません(地法383①)。
償却資産の免税点は、同一市町村内〈東京23区では同一区内〉で同一人が所有する償却資産の課税標準額の合計について、原則として令和8年度までは150万円、令和9年度以後は180万円です。端末1台の購入価格ではなく、他の償却資産も含めた課税標準額で判断します(地法351、令和8年法律第2号附則14②)。
参考資料・関連記事
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減価償却資産の耐用年数等に関する省令〈e-Gov法令検索〉
国税庁「耐用年数の適用等に関する取扱通達」第1章第1節
国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」主な中小企業税制の見直し
国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」
東京都主税局「固定資産税〈償却資産〉」
沼津市「令和8年度 固定資産税の主な改正について」

