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法人の外貨MMFの税務と仕訳|分配金・中途換金・期末評価・消費税

法人の外貨MMFの税務と仕訳|分配金・中途換金・期末評価・消費税

概要

 法人が外貨MMFを保有する場合は、収益分配金、中途換金による損益、期末評価を分けて処理します。また、法人税上の有価証券の区分と、会計上の区分が一致するとは限りません。

 この記事では、日本の内国普通法人が、国内の証券会社を通じて、契約型の公募外国公社債投資信託に該当する外貨MMFを取得・保有する場合を説明します。金融機関等の源泉徴収の特例や、会社型の外国投資信託は対象としていません。

 商品名だけで判断せず、目論見書や取引報告書から、投資信託の法的な区分、分配金の性質、換金方法を確認することが大切です。以下は2026年10月16日時点の法令・公表資料に基づき、成立済みの2027年からの源泉税の変更も記載しています。

外貨MMFの分配金と法人税

分配金は税引前の金額を収益に計上する

 外貨MMFの収益分配金は、原則として税引前の金額を法人の収益として計上します。再投資される場合も、分配金の受領と新たな受益権の取得を分けて考えます(法法22②)。

 ここで対象としている公社債投資信託の分配金は、受取配当等の益金不算入の対象ではありません。「受取配当金」という勘定科目で処理したとしても、それによって益金不算入になるわけではありません(法法23①)。

 分配金の計上時期は、原則として収益の計算期間の末日など、分配金が確定する時期を基準にします。外国法令による確定時期の定めや、継続適用を条件とする受領日基準の特例も確認し、決算をまたぐ未収分配金を確認してください(法基通2-1-27、2-1-28)。

国内の源泉徴収税率は原則15.315%

 国内の支払の取扱者を通じて交付される国外公社債等の利子等には、原則として所得税等が源泉徴収されます。ここで対象としている内国普通法人の外貨MMFの分配金については、個人に適用される住民税5%を加えません(措法3の3②・③)。

対象所得の時期所得税復興特別所得税防衛特別所得税合計
2026年中15%0.315%―15.315%
2027年1月1日以後15%0.165%0.15%15.315%

 2026年中の復興特別所得税は、所得税額の2.1%です。2027年からは復興特別所得税が所得税額の1.1%となり、防衛特別所得税が所得税額の1%加わります。合計税率15.315%は変わりません(国税庁「No.2507 復興特別所得税の源泉徴収」)。

 実際の記帳では、分配金の支払通知書等に記載された円換算額と源泉徴収税額を確認します。法人の収益計上に用いる為替相場と、証券会社が源泉徴収の計算に用いた為替相場が異なる場合には、その差額も処理します。

源泉徴収税額は所得税額控除の対象となる

 国内で徴収された所得税等は、法人税の所得税額控除の対象となります。ここで対象としている公社債投資信託の収益分配金に係る所得税については、株式配当等に適用される元本の所有期間による按分の対象ではなく、原則として全額が控除対象です(法法68、法令140の2①二、措法3の3⑤)。

 控除を受ける場合は、申告書に控除額とその計算明細を記載し、別表六(一)等で申告します。控除対象の源泉税を「法人税等」などの費用として計上している場合には、損金不算入の申告調整も必要です(法法40、68④)。

 外国でも税が徴収されている場合は、国内の源泉徴収税額と分けて管理し、外国税額控除等の適用関係を確認します。

購入・再投資・中途換金の仕訳

 以下の勘定科目は例示で、源泉税の数値例は2026年中の取引を前提としています。外貨MMFは銘柄別の補助科目で管理し、売買目的有価証券とそれ以外の有価証券を取得時から区分してください。源泉税は所得税額控除を受ける前提で「仮払法人税等」に計上しています。

購入時

 外貨MMFを円貨換算で10,000,000円購入した場合の仕訳です。購入手数料等はないものとします。

借方科目金額貸方科目金額
有価証券(外貨MMF)10,000,000円普通預金10,000,000円

 取得価額は、原則として購入代価又は払込金額に取得のための付随費用を加えた金額です。外貨建取引は原則として取引時の為替相場で円換算します(法令119①一・二、法法61の8①、法基通13の2-1-2)。

 既に保有している外貨預金等を使って購入する場合には、外貨MMFの取得価額と払い出した外貨預金等の帳簿価額との差額について、為替差損益の計上が必要になることがあります。同じ通貨で支払う場合も、円貨による帳簿価額の確認が必要です。

収益分配金の再投資時

 税引前の分配金12,000円から所得税等1,837円が差し引かれ、残額10,163円が再投資された例です。外国税はなく、分配金の収益計上と再投資の円換算による差額もないものとします。

借方科目金額貸方科目金額
有価証券(外貨MMF)10,163円有価証券利息12,000円
仮払法人税等1,837円

 計算は、12,000円×15.315%=1,837.8円となり、源泉徴収税額の1円未満を切り捨てて1,837円、再投資額は12,000円-1,837円=10,163円です。

 再投資額10,163円は新たに取得した外貨MMFの取得価額に加えます。分配金を受け取った取引と再投資した取引が自動で処理されても、税引前の収益、国内源泉税、取得口数を記録してください。

中途換金時

 次の条件で中途換金した場合を考えます。元本部分の換金と、換金時に受け取る未計上の分配金を区分した例です。

  • 換金した元本部分の会計上・税務上の帳簿価額:4,000,000円
  • 元本部分の換金額:4,022,482円
  • 税引前の収益分配金:9,000円
  • 分配金に対する国内源泉税:1,378円
  • 外国税・換金手数料・収益計上日と入金日の円換算差額:なし
借方科目金額貸方科目金額
普通預金4,030,104円有価証券(外貨MMF)4,000,000円
仮払法人税等1,378円有価証券利息9,000円
有価証券売却益等22,482円

 元本部分の換金益は4,022,482円-4,000,000円=22,482円、分配金の手取額は9,000円-1,378円=7,622円です。したがって、入金額は4,022,482円+7,622円=4,030,104円となります。

 受益権を第三者へ譲渡する場合の譲渡損益は、円換算した譲渡対価と、その受益権の税務上の譲渡原価との差額から計算します。同一銘柄を複数回取得している場合は、選定した移動平均法又は総平均法により一単位当たりの帳簿価額を算出します。選定していない場合の法定の方法は移動平均法です(法法61の2①、法令119の2①、119の7①)。

 有価証券の取得・譲渡は原則として契約成立日を基準に処理します。受渡日による処理には継続適用等の条件があり、決算時に未受渡しとなっているものは特に注意が必要です(法基通2-1-23)。

 外貨建ての単価が一定で、換金差額が為替相場の変動によるものであることを確認できる場合には、為替差損益として表示する方法も考えられます。ただし、分配金や源泉税は区分して管理し、消費税は勘定科目名ではなく、実際の取引内容により判定します。

 また、外貨で換金代金を受け取った場合は、その外貨預金等を受取時の円換算額で計上します。後日、その外貨を円に交換するなどしたときの為替差損益は、外貨MMFの換金損益とは別に計算します。

外貨MMFの期末評価と為替換算

売買目的有価証券の区分は取得時に確認する

 法人税上の売買目的有価証券には、専担者が短期売買目的で取得した有価証券や、取得日に短期売買目的で取得した旨を帳簿書類に記載した有価証券などが該当します(法令119の12)。

 一般の法人が後者の区分を用いる場合、取得に関する帳簿書類で、売買目的有価証券に係る勘定科目を他の有価証券の勘定科目と区分していることが必要です。決算時の有価証券の内訳書に「売買目的」と記載するだけでは、この取得時の要件を満たしません(法規27の5①、法基通2-3-27)。

 中小会計指針は、会計上の売買目的有価証券とその他有価証券の区分について、法人税法の規定に従うことも認めています。ただし、採用する会計基準と税務上の要件を確認し、経理を簡単にする目的だけで決算時に区分を変更しないことが大切です(中小会計指針19⑴)。

売買目的有価証券の税務上の期末評価

 税務上の売買目的有価証券は期末に時価評価し、その評価損益を益金又は損金に算入します。外貨建ての場合には、外国通貨による期末評価額を期末の為替相場で円換算します(法法61の3①一・②、61の9①二イ・②、法令119の13)。

 期末評価額を口数から計算する場合の式は、次のとおりです。

 期末保有口数×1口当たりの外貨建て期末評価額×期末の為替相場

 例えば、期末保有口数が1,000,000口、1口当たりの期末評価額が0.01米ドル、期末の為替相場が1米ドル150円の場合、円換算した期末評価額は次の金額になります。

 1,000,000口×0.01米ドル×150円=1,500,000円

 口数に為替相場を掛けるだけでは、1口当たりの外貨価額が反映されません。証券会社の資料が「1口当たり」「1万口当たり」などのどの単位で表示されているかも確認してください。

 上記の外貨MMFの評価前の帳簿価額が1,400,000円であれば、差額100,000円を計上します。以下は、会計上も洗替え処理をする例です。

借方科目金額貸方科目金額
有価証券(外貨MMF)100,000円有価証券評価損益100,000円

 税務上、前期末に益金又は損金に算入した評価損益・為替換算差額は、翌事業年度に戻し入れます。上記の例で翌期首に洗替え仕訳を行う場合は、次のとおりです(法令119の15①・④、122の8①・④)。

借方科目金額貸方科目金額
有価証券評価損益100,000円有価証券(外貨MMF)100,000円

 会計上の処理方法が税務上の洗替えと異なる場合には、申告調整により税務上の戻入れを行います。

 外貨MMFについて、商品名だけを理由に「時価がない」「外貨建ての価格変動はない」と判断しないでください。期末の基準価額・買戻価格等を確認し、税法に定める評価方法により評価額を計算します。価格が安定していることと、元本が保証されていることは別です。

売買目的外有価証券の税務上の期末評価

 税務上の売買目的外有価証券は、原則として原価法により評価します(法法61の3①二)。

 外貨建ての売買目的外有価証券は、償還期限及び償還金額の双方が定められているものを除き、税務上の期末の為替換算は発生時換算法によります。したがって、為替相場が変わったことだけを理由に、通常の期末換算損益を益金又は損金に計上することはしません(法法61の9①二ハ)。

 償還期限及び償還金額が定められている商品には、発生時換算法又は期末時換算法の選定が関係します。外貨MMFについても、目論見書等で商品条件を確認して区分します(法法61の9①二ロ)。

 なお、税務上の評価損の損金算入や、為替相場が著しく変動した場合の特別な換算には別の要件があります。会計上の評価損をそのまま損金にできるとは限りません(法法33、法令122の3)。

会計上の評価と税務上の評価を照合する

 会計処理は、会社が採用する会計基準によって確認します。中小企業であることだけを理由に、すべて同じ会計処理になるわけではありません。

採用する会計基準等その他有価証券の評価の基本的な考え方
金融商品に関する会計基準原則として時価評価し、評価差額を純資産の部に計上する。市場価格のない株式等などには別の定めがある
中小会計指針売買目的以外の有価証券は取得原価によることができる。ただし、その他有価証券に該当する市場価格のある株式を多額に保有する場合などには別の取扱いがある
中小会計要領有価証券は原則として取得原価。売買目的の有価証券は時価。著しい下落の場合には評価損の検討が必要

 上記は会計上の有価証券評価の比較であり、外貨の円換算まで同じになるという意味ではありません。中小会計指針では、外貨建売買目的有価証券及びその他有価証券は、原則として決算時の為替相場による円換算が定められています(中小会計指針77⑷・78)。

 そのため、会計上は期末の為替相場で換算し、税務上は発生時換算法による場合などには、会計と税務の金額を照合する必要があります。会計上の損益に計上した評価・換算差額が税務上認められない場合は、別表四で加算又は減算し、別表五(一)で税務上の帳簿価額との差額を管理します。

 その他有価証券の評価差額を純資産の部に直接計上した場合は、損益に計上した場合と区別して申告書との整合を確認します。

外貨MMFの消費税

収益分配金は「非課税資産の輸出等」の適用を確認する

 ここで対象としている契約型の公社債投資信託の収益分配金は、消費税上、収益の分配金を対価とする信託に係る非課税取引として整理します(消法6①・別表第二三、消令10③二)。

 そのうち、国内において行う取引に該当し、分配金に係る債務者が非居住者であるなど、非課税資産の輸出等の要件を満たすものには、仕入税額控除の特例が適用されます。この場合、税引前の分配金額を課税売上割合の分母と分子の両方に算入します(消法31①、消令17③・51②)。

 外国から受け取る金額をすべて同じ区分にするのではなく、公社債投資信託の収益分配金、会社型投資信託の配当、元本の返還等を区別する必要があります。

 また、この分配金を課税売上割合の分母・分子に算入しても、消費税の納税義務判定に用いる基準期間の課税売上高に含めるわけではありません。「通常の輸出売上げ」と「非課税資産の輸出等」の違いに注意してください(消基通1-4-2)。

中途換金は、解約・償還と第三者への譲渡を分ける

 外貨MMFの中途換金については、証券会社の画面や会計上の科目が「売却」になっていても、実際の契約内容を確認します。

取引の内容消費税の取扱い課税売上割合への反映
解約・償還による元本の返還資産の譲渡等の対価に該当しないものは対象外元本の返還額を分母・分子に算入しない
受益権を第三者に譲渡し、国外取引に該当する場合対象外譲渡対価を分母・分子に算入しない
受益権を第三者に譲渡し、国内取引に該当する場合原則として有価証券等の譲渡として非課税原則として譲渡対価の5%を分母のみに算入
換金と同時に受け取る収益分配金元本部分と分けて分配金の取扱いを判定非課税資産の輸出等の要件を満たす場合は、税引前の分配金を分母・分子に算入

 受益権を譲渡する場合の国内・国外の判定は、有価証券の所在場所、振替機関等の所在地、券面が発行されていない権利に係る法人の所在地等、法令に定められた基準によります。外国籍の商品であることや、国内の証券会社を利用したことだけでは、判定を完結できません(消法4③一、消令6①九、消基通5-7-10)。

 国内取引として行う有価証券等の譲渡は原則非課税ですが、課税売上割合の計算には譲渡対価の5%を算入する特例があります。国外取引には、この5%算入を適用しません(消法6①・別表第二二、消令48⑤、消基通11-5-4)。

 なお、非課税となる有価証券等を国外へ輸出する場合も、有価証券等の輸出は非課税資産の輸出等の特例から除外されています。分配金に対する特例と混同しないでください(消令51①)。

為替差損益と手数料の税区分

 期末評価損益や、外貨の円換算・決済に伴う為替差損益は、それ自体が消費税の課税売上げになるものではありません。ただし、有価証券の譲渡による損益を「為替差益」という科目で計上していても、実際の有価証券譲渡の対価に係る判定と課税売上割合の計算は必要です(国税庁「No.6325 外貨建取引の取扱い」)。

 有価証券の取得・換金の対価と、証券会社等へ別途支払う仲介手数料等も分けて判定します。金融商品本体が非課税又は対象外であることだけを理由に、役務提供の手数料も同じ税区分にすることはできません。信託報酬等についても、契約の性質に応じた確認が必要です。

 課税仕入れに該当する手数料について仕入税額控除を受ける場合は、課税売上割合や個別対応方式の用途区分のほか、帳簿・適格請求書等の保存要件を確認します(消法30)。

決算・申告で確認する事項

  • 商品の法的区分と、換金が第三者への譲渡か解約・償還か
  • 取得時の売買目的等の帳簿区分
  • 再投資を含めた取得口数・取得価額と、換金した口数・譲渡原価
  • 税引前の分配金、国内源泉税、外国税、未収分配金
  • 期末の口数、外貨建て評価額、価格表示の単位、為替相場
  • 翌期に戻し入れる税務上の評価損益・為替換算差額
  • 会計と税務の差額、別表四・五(一)・六(一)等の処理
  • 分配金と換金代金それぞれの消費税区分、課税売上割合への算入額

 期末残高が正しくても、分配金や源泉税、消費税区分、申告調整まで自動的に正しくなるわけではありません。証券会社の取引報告書・支払通知書・残高報告書と、帳簿及び申告書を照合して処理します。

主な根拠資料

  • 法人税法22・23・40・61の2・61の3・61の8・61の9・68、法人税法施行令119・119の2・119の7・119の12・119の13・119の15・122の3・122の8・140の2、法人税法施行規則27の5
  • 租税特別措置法3の3
  • 消費税法4・6・30・31、消費税法施行令6・10・17・48・51
  • 国税庁「法人税基本通達・有価証券の時価評価損益」
  • 国税庁「No.5760 所得税額控除」
  • 国税庁「No.2507 復興特別所得税の源泉徴収」
  • 国税庁「外債の受取利子で輸出取引とみなされるもの」
  • 国税庁「No.6325 外貨建取引の取扱い」
  • 「中小企業の会計に関する指針」(2025年9月19日修正)19・20・77・78
  • 「中小企業の会計に関する基本要領」Ⅱ・5「有価証券」
  • 企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」15・18・19

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