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法人、個人による少額減価償却資産の法人税・所得税・固定資産税(償却資産)の取扱い

概要

 パソコンや備品などの減価償却資産は、原則として、使用を始めた後、その取得価額を減価償却によって各期の費用に配分します。ただし、取得価額などに応じて、購入・使用した期に全額を損金又は必要経費にできる制度や、一定期間でまとめて償却できる制度があります。

 主な制度は「10万円未満の少額資産」「20万円未満の一括償却資産」「中小企業者等の40万円未満の特例」の3つです。法人と個人では選択できる処理や計算方法が異なり、法人税・所得税で全額を経費にしても、固定資産税の償却資産申告が必要になることがあります。

 以下では、通常の売買によって取得する事業用の減価償却資産を中心に、令和8年(2026年)10月15日現在の取扱いを整理します。個人については、国内の居住者が行う業務を前提とします。

まず確認したい金額別の取扱い

 次の表は、使用可能期間が1年以上で、貸付用資産等の除外に該当しない場合の基本的な整理です。「40万円未満の特例」は、青色申告などの要件を満たす中小企業者・中小事業者に限られます。

取得価額法人の取扱い個人の取扱い
10万円未満全額損金算入、一括償却、通常の減価償却から選択原則として供用年に全額を必要経費に算入
10万円以上20万円未満一括償却、40万円未満の特例、通常の減価償却から選択一括償却、40万円未満の特例、通常の減価償却から選択
20万円以上40万円未満40万円未満の特例又は通常の減価償却40万円未満の特例又は通常の減価償却
40万円以上原則として通常の減価償却原則として通常の減価償却

 「未満」で判定するため、ちょうど10万円の資産は「10万円未満」に、ちょうど20万円の資産は「20万円未満」に、ちょうど40万円の資産は「40万円未満」に含まれません。

 なお、10万円未満の資産は、中小企業者等の40万円未満の特例の対象から除かれています。法人が通常の少額資産の制度で全額を損金にした金額は、同特例の年300万円枠を使用しません(法令133①・133の2①、所令138①・139①、措法67の5①・28の2①)。

令和8年度改正で「30万円未満」から「40万円未満」へ

 中小企業者等の少額減価償却資産の特例について、令和8年度税制改正により次の見直しが行われました。

項目改正前改正後
対象資産の取得価額30万円未満40万円未満
常時使用する従業員数の原則的な上限500人以下400人以下
取得等・供用の適用期限令和8年3月31日令和11年3月31日

 取得価額と従業員数の新しい基準は、令和8年4月1日以後に取得又は製作・建設する資産に適用されます。事業年度がいつ始まるかで区分するものではありません。また、法人のうち一定の特定法人については、従業員数300人以下という別の要件があります。

 例えば、令和8年3月31日に取得した35万円のパソコンは、使用開始が同年4月1日以後であっても、取得価額の新基準によって特例の対象になるわけではありません。取得日と使用開始日を分けて確認する必要があります。

 年300万円の上限は変更されていません。同じ事業年度・年分に改正前と改正後の資産がある場合も、300万円枠がそれぞれ別に認められるわけではありません(措法67の5①・28の2①、措令39の28①・18の5①、所得税法等の一部を改正する法律〔令和8年法律第12号〕附則35・65)。

取得価額は、購入金額だけで判定するとは限らない

付随費用を含めて確認する

 購入した減価償却資産の取得価額には、原則として、購入代金のほか、引取運賃など購入のために要した費用や、事業に使用するために直接要した費用が含まれます。

 本体価格が10万円未満でも、取得価額に含めるべき送料や設置費用を加えると10万円以上になる場合があります。請求書の本体価格だけで判定しないようにしてください(法令54①一、所令126①一)。

消費税は税込経理・税抜経理により異なる

 金額基準は、原則として、税込経理方式なら税込金額、税抜経理方式なら税抜金額で判定します。消費税の免税事業者は、税込経理方式によって判定します。

 例えば、税抜98,000円、消費税等9,800円、支払総額107,800円のパソコンを購入した場合、他に取得価額に含める費用等がなければ、税抜経理方式では98,000円、税込経理方式では107,800円で判定します。

 消費税の課税事業者であっても、常に税抜金額で判定できるわけではありません(国税庁「消費税等の経理処理方式の違いによる少額の減価償却資産の判定」、タックスアンサーNo.2100)。

通常の取引単位ごとに判定する

 取得価額は、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。機械は1台・1基、工具・器具備品は1個・1組・1そろいなどが基本です。

 例えば、通常テーブルと椅子が1組として取引される応接セットは、1組の金額で判定します。単体では機能しない構築物等もあるため、請求書の明細を細かく分ければ、各明細を別資産にできるというものではありません。

 一方、まとめて発注した資産を、すべて1つの資産として扱うわけでもありません。工事費についても、建物と一体となる造作、建物附属設備、独立して使用する備品等を、その実態に応じて区分します。後述する平成24年2月6日裁決も、資産の独立性や機能、通常の取引実態を確認する上で参考になります(法基通7-1-11、所基通49-39)。

貸付用資産・リース資産は別に確認する

 令和4年4月1日以後に取得等をした資産について、貸付けの用に供する10万円未満の資産の即時損金・必要経費算入、一括償却、40万円未満の特例には、主要な事業・業務として行う貸付けを除く、貸付用資産の除外があります。使用可能期間1年未満の資産についての規定は、取得価額10万円未満という基準とは別に確認します。

 主要な事業・業務として行う貸付けかどうかは、収入の多寡だけで決まるものではなく、省令の要件等に従って判定します。また、一時的に他者に貸したという事実だけで、直ちに貸付用資産に該当すると判断するものでもありません。使用目的や使用状況等を総合的に確認します(法令133①・133の2①、所令138①・139①、措令39の28②・18の5②、法基通7-1-11の2・7-1-11の3、所基通49-39の2・49-39の3)。

 税務上のリース取引で賃借人が取得したものとされるリース資産は、10万円未満の即時損金・必要経費算入や、一括償却の対象から除かれます。一方、40万円未満の特例は、所有権移転外リース取引で取得したものとされる資産も、他の要件を満たせば対象となります。通常の備品購入と同じ表だけで判断しないようにしてください(法令133①・133の2①、所令138①・139①、国税庁タックスアンサーNo.5408)。

法人税の取扱い

10万円未満の資産は、供用した事業年度に全額損金算入できる

 取得価額10万円未満の減価償却資産については、その取得価額の全額を、事業に使用し始めた事業年度に損金経理した場合、その金額を損金に算入できます。青色申告法人や中小企業に限る制度ではなく、年間の合計額に300万円などの上限もありません。

 ここでいう「損金経理」とは、確定した決算において費用又は損失として経理することです。資産に計上したまま、申告書で減算するだけでは、この即時損金算入の要件を満たしません。

 また、購入・支払いを済ませただけでは足りず、事業に使用し始めている必要があります。供用年度に通常の資産として計上したものを、翌事業年度になって少額資産として全額損金にすることもできません(法法2二十五、法令133①、国税庁タックスアンサーNo.5403)。

使用可能期間が1年未満の資産も対象になる

 取得価額にかかわらず、使用可能期間が1年未満である資産についても、供用年度の全額損金経理による取扱いがあります。

 使用可能期間は、取得時に通常の管理又は修理をするものとして予測される期間です。「自社では1年以内に買い替える予定」というだけでは足りません。

 法人税基本通達では、その法人が属する業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況・補充状況等からみて使用可能期間が1年未満であるものとしています。平均的な使用状況等は、おおむね過去3年間の平均値を基準に判定します(法令132一・133①、法基通7-1-12)。

20万円未満の一括償却資産

 取得価額20万円未満の減価償却資産は、一定の除外資産を除き、一括償却を選択できます。この制度にも、中小企業・青色申告という限定や、年300万円の上限はありません。

 法人の各事業年度の損金算入限度額は、原則として次の算式で計算し、その限度額の範囲内で損金経理した金額を損金に算入します。

 損金算入限度額=一括償却対象額÷36×その事業年度の月数

 例えば、一括償却対象額18万円の場合、12か月の事業年度の限度額は6万円、6か月の事業年度なら3万円です。12か月の事業年度の期末に購入・供用した場合も、供用月数が1か月だから18万円÷36×1とするわけではありません。

 途中で売却・廃棄しても、原則として残額をその期にまとめて損金にすることはできません。清算等の特則を除き、所定の計算を続けます。

 供用事業年度の確定申告書への一括償却対象額の記載、計算書類の保存、別表十六(八)の添付等が必要です(法令133の2①・⑪・⑫、法基通7-1-13)。

中小企業者等の40万円未満の特例

 一定の中小企業者等が、適用期間内に取得等をして事業に使用した、取得価額10万円以上40万円未満の減価償却資産については、年300万円の範囲で、取得価額の全額を供用年度の損金に算入できます。

 資本金のある一般的な会社では、主に次の要件を確認します。

  • 青色申告書を提出する法人であること。
  • 原則として資本金又は出資金が1億円以下の中小企業者に該当すること。
  • 常時使用する従業員数が原則400人以下であること。一定の特定法人は300人以下であること。
  • 大規模法人による株式保有等の除外要件に該当しないこと。
  • 適用除外事業者や通算法人等に該当しないこと。

 例えば、発行済株式等の2分の1以上を同一の大規模法人が所有する会社や、3分の2以上を複数の大規模法人が所有する会社等は、資本金1億円以下でも対象になりません。また、原則として直前3年の平均所得金額が15億円を超える適用除外事業者も対象外です。

 中小企業経営強化税制の特定認定を受けた一定の法人にも除外があります。対象法人の判定は、原則として取得等の日と供用日の現況で行い、期末の従業員数等による取扱いもあるため、資本金と人数だけで判定しないようにしてください(措法67の5①、措令39の28①、国税庁タックスアンサーNo.5408・No.5432)。

 対象には、新品だけでなく中古資産や、ソフトウェア・特許権・商標権等の無形減価償却資産も含まれます。車両運搬具も、減価償却資産として各要件を満たせば対象です。ただし、他の特別償却・税額控除・一定の圧縮記帳等と重複して適用することはできません。

300万円枠は資産ごとに選び、短期事業年度は月割りする

 取得価額26万円のパソコン11台と23万円のパソコン1台、合計309万円を取得・供用した場合、例えば26万円の11台、合計286万円に特例を適用し、23万円の1台は通常の減価償却を行います。

 特例対象とする資産の組合せは選べますが、残りの枠14万円だけを23万円のパソコンに適用することはできません。

 設立等で事業年度が1年未満の場合、上限は「300万円×事業年度の月数÷12」です。例えば6か月の事業年度なら150万円です。月数は暦に従って計算し、1か月未満の端数は1か月とします(措法67の5①・②)。

全額損金経理と申告書類をそろえる

 法人が特例を適用するには、供用事業年度に取得価額の全額を損金経理するとともに、確定申告書等に別表十六(七)を添付する必要があります。

 さらに、適用額明細書も提出します。令和8年4月1日以後終了事業年度分の手引では、租税特別措置法の条項は「第67条の5第1項」、区分番号は「00277」とされています。適用額は、対象事業年度の手引と別表の記載内容を対応させて確認してください(措法67の5①・③、国税庁「適用額明細書の記載の手引」)。

裁判例・裁決にみる判断のポイント

自社の入替期間だけでは「使用可能期間1年未満」とはいえない

 東京地裁平成23年4月20日判決では、パチンコ器・スロットマシンが「使用可能期間1年未満」の減価償却資産に当たるかが争われました。

 裁判所は、使用可能期間について、物理的な消耗だけでなく、経済的にどれだけの効果を持続できるかも考慮するものとしています。その上で、店舗での使用期間は経営判断によって左右され、中古機を活用する事業者も相当数存在することなどから、業種一般の認識として、取得時に1年未満で経済的に使用できなくなると予測されていた事実までは認められないと判断しました。

 業種一般の消耗性に関する要件を満たさないとして適用が否定されており、自社の平均的な使用状況等に関する別の要件については判断されていません。

 この事件は、高裁・最高裁まで争われ、次の経過で確定しています。3件は同じ事件の第一審・控訴審・上告審です。

裁判年月日等結論・位置付け
東京地裁平成23年4月20日判決〔税資261号-82・順号11672〕使用可能期間1年未満への該当性を否定し、請求を棄却
東京高裁平成23年11月29日判決〔税資261号-230・順号11820〕地裁判決の理由を引用し、控訴を棄却
最高裁第二小法廷平成25年6月7日決定〔税資263号-107・順号12231〕上告棄却・上告不受理により確定

 最高裁決定の理由は、上告理由が民事訴訟法上の上告事由に当たらず、上告受理の対象とも認められないというものです。最高裁が使用可能期間の解釈について独自の実体判断を示したものではない点には留意が必要です。

 この判決を踏まえた実務では、自社の平均使用月数や買替方針に加え、業界の使用実態、中古市場での利用状況、実際の廃棄状況等を確認し、取得時に見込まれた使用可能期間を裏付ける資料を残すことが大切です。

工事費は、建物と一体の造作と独立した備品を区別する

 平成24年2月6日裁決(裁事86集)は、印刷業を営む法人が工場移転先の賃借建物に行った工事等の費用を、雑損失として全額損金にした事案です。審判所は、工事内容ごとに資産性等を検討し、次のように判断しました。

支出の内容この裁決での判断
壁・床・窓等の、建物本体と一体不可分の内部造作その造作の全てを1つの資産として建物の取得価額に算入
給排水・衛生設備、エレベーター設備、工場内の照明設備それぞれの建物附属設備の取得価額に算入
印刷・製本設備の稼働に必要な高圧受電設備機械及び装置の取得価額に算入
換気扇1台・テレビアンテナ1台それぞれ独立した機能を持ち、通常1台で取引され、取得価額10万円未満等の要件を満たすため損金算入
既存機械の搬入の障害となる部分の撤去工事固定資産の移設に要した費用として損金算入

 したがって、新しい窓などの明細を取り出し、その金額だけで少額資産と判定することはできません。一方、独立して使用する備品まで、施工業者ごとの工事一式にまとめる必要があるわけでもありません。上表は、この裁決で認定された工事・資産についての判断です。

 取得価額の計算にも注意が必要です。裁決の別表では、値引きや共通費を各工事に配賦し、換気扇・テレビアンテナの金額にも、配賦した施工費・諸経費を加えています。本体価格だけを取り出して10万円未満かどうかを判定するのではなく、取得価額に含める付随費用を反映して判定します(法令54①・133①、法基通7-1-11、耐用年数通達1-1-3)。

少額資産の損金経理と、通常の減価償却の損金経理は区別する

 同裁決では、換気扇・テレビアンテナは、供用事業年度に「雑損失」として損金経理していたことから、法令133の損金経理要件を満たすと判断されています。科目名が「消耗品費」でないことだけで、少額資産の損金算入が否定されるわけではありません。

 一方、その他の資産計上すべき工事費については、雑損失という科目で費用処理した方法に企業会計上の合理性等が認められず、償却費として損金経理した金額にも含まれないとして、その事業年度の通常の減価償却費の損金算入も認められませんでした。「全額経費にしておけば、少なくとも通常の減価償却費は必ず認められる」という取扱いではありません(法法31①、平成24年2月6日裁決)。

 以上の判決・裁決は、当時の法人税に関する事案です。現行の40万円未満の特例や所得税の申告要件を直接判断したものではないため、各制度の適用要件や必要な申告書類は別途確認します。

個人の所得税で注意したい違い

10万円未満の資産は原則として供用年の必要経費になる

 個人では、不動産所得・事業所得・山林所得・雑所得を生ずる業務に使用した取得価額10万円未満の資産や、使用可能期間1年未満の資産は、原則として供用年の必要経費に算入します。法人と同じように、任意に資産計上して通常償却を選ぶ制度ではありません。

 一括償却を選択できるのは、原則として取得価額10万円以上20万円未満の資産です。法人の一括償却と異なり、供用年から3年間、毎年3分の1ずつ必要経費に算入し、年の途中で購入・供用しても月割りしません。売却・廃棄した場合も、原則としてその計算を続けます(所令138①・139①、所基通49-40の2)。

40万円未満の特例は、青色申告の中小事業者が対象

 個人の特例は、常時使用する従業員数が原則400人以下である青色申告者について、不動産所得・事業所得・山林所得を生ずる業務に使用する資産が対象です。雑所得の計算には適用できません。

 年間の上限は300万円ですが、年の途中で業務を開始又は廃止した場合は「300万円×その年に業務を営んでいた期間の月数÷12」によります。例えば8月1日に開業し、12月31日まで業務を営んだ場合の上限は125万円です。1か月未満の端数は1か月とします(措法28の2①・②、措令18の5①)。

家事兼用資産は、按分前の取得価額で判定する

 事業と私生活の両方で使用する資産は、家事按分前の取得価額で10万円・20万円・40万円の基準を判定します。必要経費にする金額は、その後に業務使用割合に応じて計算します。

 例えば、取得価額15万円のパソコンを事業に60%使用する場合、判定に使う取得価額は15万円です。15万円×60%=9万円となっても、「10万円未満の資産」には該当しません。

 この場合、一括償却を選べば年間の必要経費は「15万円÷3×60%=3万円」です。40万円未満の特例の要件を満たして選択する場合は、「15万円×60%=9万円」を供用年の必要経費にできます。通常の減価償却を行う方法もあります(所令126①・139①、措法28の2①、所法45①一)。

確定申告書への記載・添付を忘れない

 一括償却資産は、青色申告決算書又は収支内訳書の減価償却費の計算欄等に必要事項を記載し、計算書類を保存します。

 40万円未満の特例は、原則として、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付します。取得価額30万円未満の資産については、青色申告決算書の減価償却費の計算欄に、次の事項を記載し、資産の明細を別途保管することで、明細書の添付を省略する取扱いがあります。

  • 租税特別措置法第28条の2の特例を適用していること。
  • 適用した資産の取得価額の合計額。
  • 適用した資産の明細を別途保管していること。

 令和8年度改正後も、現行通達の添付省略に関する箇所には「30万円未満」という文言が残っています。30万円以上40万円未満の資産については、取得価額に関する明細書を添付して申告書類を整えてください(所令139②・③、措法28の2③、措通28の2-3)。

個人が売却したときの所得区分も異なる

 少額資産を売却したときの所得区分は、取得時に適用した制度や資産の性質によって異なります。

資産・適用制度売却による所得の基本的な取扱い
使用可能期間1年未満で所令138①に該当する資産事業所得又は雑所得。業務上重要な資産でも譲渡所得にはならない
取得価額10万円未満で所令138①に該当する資産原則として事業所得又は雑所得。少額重要資産には例外がある
一括償却を適用した資産原則として事業所得又は雑所得。少額重要資産には例外がある
40万円未満の特例を適用した資産原則として譲渡所得

 少額重要資産とは、業務を遂行する上で直接必要で、欠くことのできない資産をいいます。ただし、そのような資産でも、事業の性質上、使用後に反復継続して譲渡することが通常であるものの売却は、事業所得に該当します。

 また、40万円未満の特例で既に必要経費にした取得価額を、売却時に取得費として重ねて控除することはできません(所法33②一、所令81二・三、所基通33-1の2・33-1の3、措法28の2④)。

固定資産税の償却資産申告は別に判定する

40万円未満の特例で経費にしても、原則として申告対象

 法人税・所得税の計算と、固定資産税の償却資産の取扱いは同じではありません。パソコン・備品等、もともと償却資産に当たる資産については、次のように整理できます。

法人税・所得税で適用した処理償却資産申告の取扱い
法令133①・所令138①による少額資産等の全額損金・必要経費算入対象外
法令133の2①・所令139①による一括償却対象外
措法67の5・28の2による40万円未満の特例原則として対象
通常の減価償却原則として対象

 例えば、法人が8万円の備品について全額損金算入を選ばず、通常の減価償却を行っている場合には、少額だからという理由だけで申告対象外になるわけではありません。

 40万円未満の特例を適用して帳簿価額がゼロになった資産も、1月1日現在、事業に使用できる状態で所有していれば、原則として申告対象です。その評価は、法人税等で全額を経費にした処理にかかわらず、固定資産税の評価方法で行います(地法341四、地方税法施行令49)。

ソフトウェア等の対象範囲は、法人税等と固定資産税で異なる

 ソフトウェア・特許権・商標権等の無形減価償却資産は、要件を満たせば法人税・所得税の40万円未満の特例の対象になります。一方、固定資産税の償却資産の範囲からは除かれています。

 また、自動車税・軽自動車税の課税客体となる自動車等も、固定資産税の償却資産の対象外です。このことを理由に、法人税・所得税の少額資産制度の対象外になるわけではありません。

 したがって、「40万円未満の特例を使った資産は、すべて償却資産税の対象」とはなりません。まず固定資産税上の償却資産に当たるかを判定し、その上で少額資産等の除外を確認します(地法341四、国税庁タックスアンサーNo.5408)。

免税点は令和9年度分から180万円へ。申告義務とは区別する

 償却資産の課税標準額の合計が、同一市町村内で同一の所有者について免税点未満である場合には、原則として固定資産税は課されません。免税点は、令和8年度(2026年度)分までは150万円、令和9年度(2027年度)分以後は180万円です(地法351、地方税法等の一部を改正する法律〔令和8年法律第2号〕附則14②)。

 令和9年度分は、令和9年1月1日現在の資産を基に課税される固定資産税です。東京23区では、免税点は原則として同一区内で判定します。免税点の判定に使うのは課税標準額の合計であり、購入金額の合計ではありません。

 免税点未満でも、申告対象資産を所有していれば、原則として申告は必要です。申告期限は、毎年1月1日現在の資産について、原則として1月31日です(地法351・359・383①)。

会計処理と仕訳例

 中小会計指針では、取得価額が少額の減価償却資産について、取得した事業年度に費用処理できるとしています。また、中小会計要領は、固定資産の取得原価計上と相当の減価償却を基本としています。どの会計ルールを採用するか、資産の重要性などを踏まえて会計処理を決めた上で、税務上の要件を確認します。

 税法の40万円という基準を、そのまま全社共通の会計上の費用処理基準と考えるものではありません(中小会計指針33(3)・34(1)、中小会計要領Ⅱ各論8)。

 次の仕訳は、12か月決算の法人が税込経理方式を採用し、全額を事業用として使用する資産を現金預金で購入した場合の例です。各制度の適用要件を満たし、40万円未満の特例には十分な300万円枠があるものとします。

取引借方貸方
8万円の備品を購入・供用し、全額損金算入消耗品費 80,000円現金預金 80,000円
18万円の備品を購入・供用し、一括償却を選択一括償却資産 180,000円現金預金 180,000円
上記一括償却資産の決算時の償却減価償却費 60,000円一括償却資産 60,000円
35万円のパソコンを購入・供用工具器具備品 350,000円現金預金 350,000円
上記パソコンに40万円未満の特例を適用減価償却費 350,000円工具器具備品 350,000円

 一括償却の6万円は「18万円÷36×12か月」です。35万円のパソコンの例では、取得時に資産計上し、供用年度の決算で全額を費用にする方法を示しています。

 これらの例のように会計上の費用額と税務上の認容額が一致するときは、その金額について別表四の加減算は生じません。ただし、一括償却の別表十六(八)、40万円未満の特例の別表十六(七)・適用額明細書等は別途必要です。

 勘定科目の名称だけで適用の可否が決まるわけではありません。取得日、供用日、取得価額、採用した制度、売却・廃棄の状況を資産台帳等に残し、償却資産申告にもつなげて管理してください。

消費税の仕入税額控除は、償却期間に合わせて分けない

 一般課税による消費税の計算では、備品等の購入が課税仕入れに当たる場合、原則としてその課税仕入れを行った課税期間に仕入税額控除を検討します。通常は引渡し等を受けた時期が基準となり、法人税・所得税の減価償却に合わせて、消費税も3年や4年に分けるものではありません。

 実際の控除額は、課税売上げとの対応関係、インボイス等の保存要件、経過措置等に従って別途判定します。簡易課税等では計算方法が異なります(消法30①・⑦、消基通11-3-1・11-3-3)。

主な根拠資料

  • 法人税法施行令133・133の2、所得税法施行令81・138・139、租税特別措置法28の2・67の5、租税特別措置法施行令18の5・39の28。
  • 国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
  • 国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
  • 国税庁「No.5432 措置法上の中小法人及び中小企業者」
  • 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」
  • 国税庁「消費税等の経理処理方式の違いによる少額の減価償却資産の判定」
  • 国税庁・消費税基本通達「課税仕入れ等の時期」
  • 国税庁「適用額明細書の記載の手引(令和8年4月1日以後終了事業年度分)」
  • 国税庁「中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」関係通達
  • 財務省「令和8年度 税制改正の解説」 所得税関係409頁、法人税関係686~688頁。
  • 日本税理士会連合会「中小会計指針・中小会計要領」
  • 東京都主税局「固定資産税(償却資産)」
  • 東京地裁平成23年4月20日判決・税務訴訟資料第261号-82(順号11672)
  • 東京高裁平成23年11月29日判決・税務訴訟資料第261号-230(順号11820)
  • 最高裁第二小法廷平成25年6月7日決定・税務訴訟資料第263号-107(順号12231)
  • 国税不服審判所・平成24年2月6日裁決(裁事86集)

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