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会社解散時の役員退職金|代表取締役が清算人になる場合の損金算入と未払計上の注意点

代表取締役がそのまま清算人になっても退職金を支給できる

 国税庁は、「解散後引き続き役員として清算事務に従事する者に支給する退職給与」という質疑応答事例を公表しています。

 そこでは、法人が解散した後も引き続き清算人として清算事務に従事する旧役員に対し、解散前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与について、法人税法上も退職給与として取り扱うことが示されています(法法34、所基通30-2(6))。

 所得税基本通達30-2(6)も、法人が解散した場合に、引き続き役員又は使用人として清算事務に従事する者に対して、その解散前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与を退職手当等として取り扱うこととしています。

 したがって、

代表取締役

会社解散

清算人に就任

という場合でも、解散前までの代表取締役としての勤務について、そこで勤続期間を区切って役員退職金を支給することができます。

 令和8年版所得税基本通達逐条解説でも、勤務関係が完全に終了していない場合であっても、それまでの勤続期間について区切って退職金を支給する取扱いが解説されています(令和8年版所得税基本通達逐条解説163頁・所基通30-2関係)。

清算人への移行と非常勤取締役・監査役への変更は同じではない

 代表取締役から清算人になる場合と、代表取締役から非常勤取締役又は監査役になる場合は、似ている部分はありますが、税務上の根拠は同じではありません。

 代表取締役が非常勤取締役となった場合や、取締役が監査役となった場合には、役員として法人に残っている以上、通常の意味での退職ではありません。

 しかし、その地位又は職務の内容が激変して「実質的に退職したと同様の事情」があると認められる場合には、法人税基本通達9-2-32、所得税基本通達30-2(3)により、それまでの勤続期間に対応する退職給与として取り扱われることがあります。

 一方、代表取締役が会社解散後に清算人となる場合については、所得税基本通達30-2(6)が「法人の解散」を独立した類型として定めています。

 したがって、清算人のケースについて、「非常勤取締役や監査役への分掌変更と同じだから退職金が認められる」と説明するのは正確ではありません。

「打切支給」という表現にも注意が必要

 代表取締役が清算人となる場合の解散前勤務分の退職金について、税務実務では「打切支給」と説明されることがあります。

 会社との関係が完全に終了していないものの、それまでの勤続期間をいったん区切って精算するという意味では、分かりやすい表現です。

 もっとも、所得税基本通達30-2(6)や国税庁の質疑応答事例自体が、この清算人のケースを「打切支給」という名称で規定しているわけではありません。

 また、法人税基本通達9-2-35には「退職給与の打切支給」という見出しがありますが、この通達は主として使用人の退職給与制度の改正等に関するものであり、代表取締役が清算人となる場合を直接規定したものではありません。

 そのため、本記事では、清算人への退職金について「解散前の勤続期間を区切って支給する退職金」と表現します。

解散前の勤続期間は後でもう一度使えない

 所得税基本通達30-2には重要な条件があります。

 引き続き勤務する者に支給した給与を退職手当等として取り扱うためには、その後に支給する退職手当等の計算において、今回の退職金の計算の基礎とした勤続期間を一切加味しないことが必要です。

 例えば、代表取締役として20年間勤務した人に、会社解散時にその20年間に対応する役員退職金を支給したとします。

 その後、清算人として1年間勤務し、清算結了時に改めて清算人としての退職金を支給するとしても、後の退職金は原則として清算人として勤務した期間を基礎として計算します。

 既に精算した20年間をもう一度計算に入れることはできません(所基通30-2)。

清算人としての報酬と解散前の退職金は区別する

 清算人は法人税法上の役員に含まれます(法法2十五)。

 したがって、「解散前の代表取締役として勤務した期間に対応する退職金」と「解散後に清算人として清算事務を行うことに対する報酬」は別のものです。

 株主総会議事録等でも、対象期間と支給理由を明確に区分しておくことが重要です。

具体例|3月決算の会社が令和9年3月31日に解散する場合

 3月決算の株式会社が令和9年3月31日に解散することになったとします。

 代表取締役Aは、会社の解散後もそのまま清算人として清算事務を行います。

 会社としては、令和8年4月1日から令和9年3月31日までの事業年度に、Aの解散前の勤務期間に対応する役員退職金を損金算入したいと考えています。

臨時株主総会はいつ開催するのか

 株主総会の決議によって株式会社を解散する場合には、その株主総会の決議が会社法上の解散事由となります(会社法471三)。

 令和9年3月31日を解散日としたいのであれば、実務上分かりやすいのは、令和9年3月31日に臨時株主総会を開催し、その日に解散を決議する方法です。

 もちろん、解散日、清算人、役員退職金額と算定根拠、株主総会の招集、議事録、銀行振込、退職所得の受給に関する申告書、解散登記などについては、それ以前から準備しておく必要があります。

「3月31日まで代表取締役、4月1日から清算人」とは限らない

 3月31日に解散の効力が生じると、会社はその時点から清算株式会社となります。

 清算人について別段の定めや選任がなければ、原則として取締役が清算人となります(会社法478①)。

 一方、法人税上は、解散の日である3月31日までの事業年度と、その翌日である4月1日から始まる清算中の事業年度とに区切られます。

 したがって税務上は、

令和8年4月1日~令和9年3月31日
解散の日までの事業年度

令和9年4月1日~
清算中の事業年度

と整理することになります。

3月31日の株主総会で退職金額も決めておく

 このケースであれば、3月31日の臨時株主総会等で、

・会社を解散すること
・清算人を決定すること
・Aの解散前の代表取締役としての勤続期間に対応する退職金額
・退職金の支給時期

を明確にしておくことが考えられます。

 例えば、解散前勤務分の役員退職金を1,000万円と具体的に決議し、株主総会終了後に同日付で銀行振込によって支給する方法です。

 ここで重要なのは、解散前の日に退職金を先払いするのではなく、解散日当日に必要な決議をした後で支給するという点です。

 例えば解散日が3月31日であるのに、3月30日に代表取締役への退職金として支給してしまうと、3月30日時点ではまだ代表取締役として在任しており、法人の解散も生じていません。

 本記事では、このような解散前の先払いを前提としていません。

完全に退任する役員なら未払計上が認められる場合がある

 通常、実際に法人を退任した役員については、退職給与の額が株主総会等の決議によって具体的に確定した日の属する事業年度で損金算入することが原則です(法基通9-2-28)。

 例えば、取締役Bが3月31日の会社解散と同時に完全に退任し、清算人にもならない場合です。

 3月31日の株主総会でBの退職金額が具体的に確定すれば、実際の支払いがその後であっても、解散事業年度での損金算入を検討することになります。

高知地裁昭和34年12月21日判決|支払いが後日でも解散事業年度の損金とされた

 この点について参考になるのが、高知地裁昭和34年12月21日判決(昭和33年(行)第14号)です。

 この事件では、会社が昭和32年7月9日に解散し、同日の社員総会で、同日退職した役員・従業員に対する退職金165万2,400円の支給を決議しました。

 実際に支払われたのは、解散後の8月11日と8月28日でした。

 課税庁側は、この退職金は清算中の損金にすべきだと主張しました。

 しかし裁判所は、法人税の損益計算は原則として権利確定時を基準とする発生主義によるとして、解散日に既に退職金の支払義務が確定していた以上、その退職金は解散の日の属する事業年度の損金になると判断しました。

 ただし、この判決で問題となったのは、解散日に実際に退職した役員・従業員に対する退職金です。

 解散後も清算人として法人に残る旧代表取締役について、解散前勤務分の退職金の未払計上を認めた判決ではありません。

清算人になる代表取締役の未払退職金は結論が明確ではない

 それでは、代表取締役Aが3月31日の解散後も清算人として残る場合に、

役員退職金 1,000万円 / 未払金 1,000万円

と3月31日に計上し、実際の支払いを4月以後にしたとき、1,000万円を解散事業年度の損金にできるでしょうか。

 この点について、国税庁の「解散後引き続き役員として清算事務に従事する者に支給する退職給与」は、解散前の勤続期間に対応する金額が退職給与となることまでは明らかにしています。

 しかし、その金額を解散日に未払計上し、実際には翌事業年度に支給した場合の法人税上の損金算入時期については、直接回答していません。

 また、代表取締役がそのまま清算人になったケースで、この未払計上の損金算入時期を正面から判断した裁判例も、現時点では確認できていません。

 したがって、「株主総会で金額を決めれば必ず解散事業年度の損金になる」とも、「実際に支払うまでは絶対に損金にならない」とも、確認できた一次資料だけから断定することは難しいと考えられます。

法基通9-2-32の未払金の取扱いをそのまま当てはめることにも注意

 法人税基本通達9-2-32では、役員の分掌変更又は改選による再任等によって実質的に退職したと同様の事情がある場合について、「退職給与として支給した給与」には、原則として未払金等に計上した金額を含まないとされています。

 しかし、この通達が直接対象としているのは、常勤役員から非常勤役員への変更、取締役から監査役への変更などの分掌変更等です。

 代表取締役が法人の解散後に清算人となる場合については、所得税基本通達30-2(6)が「法人の解散」という別の類型として定めています。

 国税庁の清算人に関する質疑応答事例でも、解散前勤務分が法人税法上の退職給与になることについて所基通30-2(6)を根拠に説明しており、法基通9-2-32(注)が清算人の場合に直接適用されるとは明示していません。

 そのため、法基通9-2-32(注)だけを根拠として、「清算人への解散前勤務分の退職金は、未払計上では損金にならない」と断定するのも慎重であるべきでしょう。

税理士会・TKC税務研究所の相談事例は参考資料として考える

 この論点については、税理士会やTKC税務研究所の相談事例にもいくつかの見解があります。

 例えば、TKC税務研究所「法人の解散及び清算に係る役員退職金の損金算入時期」では、法基通9-2-32(注)を踏まえ、清算人となる旧代表取締役への解散前勤務分について、実際の支給時を損金算入時期とする見解が示されています。

 また、千葉県税理士会千葉税務研究所相談室「清算事業年度中の役員退職金の支給」では、解散決議をした株主総会で役員退職給与の額を確定した場合について、解散事業年度での損金算入に言及しています。

 ただし、この相談事例は、解散日に未払計上し、その後の清算事業年度に実際に支給した場合でも必ず解散事業年度の損金になるとまで明示したものではありません。

 東京地方税理士会税法研究所の相談事例には、代表取締役としての期間に対応する退職金を支給するのであれば、会社解散時に支給することが一つの選択肢であったとの見解もあります。

 もっとも、これらはいずれも法令、通達又は国税庁の公表見解そのものではなく、各相談事例の回答者又は研究所による実務上の見解です。

 そのため、本記事では、これらの資料から税務上の結論を導くのではなく、実務上の検討に当たって参考となる資料として位置付けています。

解散事業年度での損金算入を重視するなら解散日当日の実払いが安全

 一次資料上、清算人となる旧代表取締役の未払退職金について損金算入時期が明確ではない以上、例えば令和9年3月31日に会社を解散し、その解散事業年度で退職金を損金算入することを重視するのであれば、

3月31日に臨時株主総会を開催

会社の解散を決議

清算人を決定

解散前勤務分の退職金額を具体的に決議

株主総会終了後、3月31日中に実際に銀行振込

という流れにしておくのが実務上安全です。

 これは、「法律上、必ず解散日当日に支払わなければ退職給与にならない」という意味ではありません。

 解散後も清算人となる旧代表取締役について、未払計上時の損金算入時期を直接明らかにした一次資料や裁判例が確認できないため、税務上の不確実性を小さくするという観点からの対応です。

3月31日に支払えず4月以後になった場合

 3月31日に退職金額を決議したものの、実際の支払いが4月以後になった場合には、その損金算入時期について個別に検討する必要があります。

 少なくとも、現時点で確認できた一次資料だけから、「3月31日に未払計上したから必ず3月期の損金になる」又は「4月に支払ったから必ず4月以後の清算事業年度の損金になる」と一律に結論付けることは難しいと考えられます。

 金額が大きく、どの事業年度で損金に算入されるかによって税額への影響が大きい場合には、解散事業年度での損金算入に関する不確実性を避けるため、解散日当日に開催する株主総会等で退職金額を具体的に確定した後、その日のうちに実際の支払いまで完了させることを検討した方がよいでしょう。

 例えば、令和9年3月31日を解散日とするのであれば、3月31日の臨時株主総会で会社の解散、清算人及び解散前勤務分の退職金額を決議し、その株主総会終了後に同日付で銀行振込を行うという方法です。

 解散日前に退職金を先払いすることを推奨する趣旨ではありません。解散前には代表取締役としての地位が継続しており、所基通30-2(6)が前提とする法人の解散もまだ生じていないため、本記事では解散前の支払いを前提としていません。

東京地裁平成27年2月26日判決はあくまで類似事例

 後日支給について参考になる裁判例として、東京地裁平成27年2月26日判決(平成24年(行ウ)第592号)があります。

 この事件は、代表取締役が代表取締役を辞任して非常勤取締役になった事案であり、会社解散後に清算人となった事案ではありません。

 東京地裁は、後の事業年度に実際に支給した退職慰労金についても退職給与に該当するとし、その実際の支給年度で損金算入する処理を認めました。

 もっとも、清算人への退職金について判断した判決ではありません。

 したがって、清算人となる旧代表取締役への退職金の損金算入時期について直接の根拠とすることはできず、類似事例として参考になる判決と位置付けるのが適切です。

受け取る代表者側の退職所得はいつの年分になるか

 法人側の損金算入時期と、代表者個人側の退職所得の収入時期は必ずしも一致しません。

 国税庁タックスアンサーNo.2728では、役員に支給される退職手当等で、その支給について株主総会等の決議を要するものについては、原則としてその決議があった日が収入すべき時期となります。

 決議では退職金を支給することだけを決め、金額を具体的に定めていない場合には、その金額が具体的に定められた日となります。

 したがって、法人側で実際の支給年度に損金算入する場合でも、代表者個人側の退職所得の収入時期まで必ず同じ年度になるとは限らない点に注意が必要です。

退職金の金額については別記事で詳しく解説

 会社解散時であっても、役員退職金であればいくらでも損金にできるわけではありません。

 法人が役員に支給する退職給与のうち、不相当に高額な部分は損金に算入されません(法法34②、法令70二)。

 実務では功績倍率法がよく使われ、「代表取締役なら功績倍率3.0まで大丈夫」といわれることがありますが、功績倍率3.0は法律上の安全基準ではありません。

 退職金の適正額や功績倍率については、次の記事で詳しく解説しています。

「役員退職慰労金規程の作り方|代表取締役の功績倍率3.0と具体的なひな型」

解散時の退職金支給後に納税資金が不足しないよう注意する

 会社解散時の役員退職金については、金額や損金算入時期だけでなく、退職金支給後に会社へ十分な納税資金が残るかも重要です。

 会社の現預金を退職金や残余財産として払い出した後に、法人税、消費税、源泉所得税、地方税等を納付できなくなると、清算人や財産を受け取った者に第二次納税義務が問題となる場合があります(国税徴収法34、39)。

 東京地裁平成9年8月8日判決(平成7年(行ウ)第37号、判時1629号43頁、判タ977号111頁)でも、会社解散時の多額の退職金支給と国税徴収法39条による第二次納税義務が問題となっています。

 なお、この事件で第二次納税義務を争った退職金受給者は、清算人となった旧代表取締役本人ではありません。

清算人を退任するときにもう一度退職金を支給する場合

 解散時に代表取締役としての勤続期間について退職金を支給した後、清算人として一定期間勤務し、清算結了時に清算人としての退職金を支給することも考えられます。

 この場合、解散時の退職金で既に精算した代表取締役時代の勤続期間を再び計算の基礎とすることはできません(所基通30-2)。

 東京地方税理士会税法研究所の相談事例では、解散後数年が経過して清算結了直前になって代表取締役時代だけの退職金を支給しようとしたケースについて、代表取締役としての期間だけではなく、清算人としての期間も含めた役員期間全体の退職金として処理すべきとの見解が示されています。

 これは一次資料ではなく相談事例上の見解ですが、解散前の代表取締役期間だけを区切って退職金を支給するのであれば、解散時にその意思決定と処理を明確にしておくことの重要性を示す参考資料といえます。

令和9年3月31日解散なら実務上どう進めるか

1.3月31日より前に、税理士・司法書士等と解散の日程を確認する。

2.解散前の代表取締役としての勤続期間に対応する退職金額と算定根拠を事前に検討する。

3.株主総会の招集その他の会社法上の手続を済ませる。

4.3月31日に臨時株主総会を開催し、会社の解散を決議する。

5.清算人を決定する。

6.解散前の代表取締役としての勤続期間に対応する退職金額を具体的に決議する。

7.「退職所得の受給に関する申告書」を受領する。

8.解散事業年度での損金算入を重視する場合には、株主総会等で退職金額を具体的に確定した後、3月31日中に実際に銀行振込を行う。

9.退職金支給後も、法人税、消費税、源泉所得税その他の納税資金を十分に残しておく。

 特に8について、清算人となる旧代表取締役について、解散日の未払計上だけで解散事業年度の損金算入を直接認めた裁判例は確認できていません。

 したがって、解散事業年度での損金算入を特に重要視するのであれば、解散日前に先払いするのではなく、解散日当日に退職金額を具体的に確定した後、同日中に現実の支給まで完了させる方法が、税務上の不確実性を小さくする実務対応と考えられます。

まとめ

 代表取締役が会社解散後も清算人として勤務する場合であっても、所得税基本通達30-2(6)及び国税庁の質疑応答事例により、解散前の勤続期間に対応する役員退職金を支給することが認められています。

 これは、代表取締役が非常勤取締役又は監査役になる場合の「実質的退職」と似ている部分はありますが、税務上の根拠は同じではありません。

 また、「退職給与として認められる」ということと、「未払計上だけで解散事業年度の損金になる」ということも別の問題です。

 完全に退任する役員については、高知地裁昭和34年12月21日判決のように、解散日に退職金債務が確定していれば、実際の支払いが後日でも解散事業年度の損金とされた裁判例があります。

 一方、解散後も清算人として残る旧代表取締役について、解散日の未払計上だけで解散事業年度の損金算入が認められるかを直接判断した裁判例は、現時点では確認できていません。

 税理士会やTKC税務研究所の相談事例には参考となる見解がありますが、いずれも一次資料ではありません。

 そのため、本記事では、それらを税務上の結論の根拠とはせず、法令、通達、国税庁の質疑応答事例、確認できた裁判例を中心に整理しています。

 3月決算の会社が3月31日に解散し、その解散事業年度で清算人となる旧代表取締役への退職金を確実に損金算入することを重視するのであれば、「3月31日の株主総会等で退職金額を具体的に決定し、その決議後、同日のうちに実際に支給する」という方法が、税務上の不確実性を小さくする実務対応と考えられます。

主な根拠資料

 国税庁「解散後引き続き役員として清算事務に従事する者に支給する退職給与」。

 所得税基本通達30-2(3)、(6)。

 法人税基本通達9-2-28、9-2-32。

 国税庁タックスアンサーNo.2725「退職所得となるもの」。

 国税庁タックスアンサーNo.2728「退職所得の収入金額の収入すべき時期」。

 法人税法2条15号、34条。

 法人税法施行令70条。

 会社法309条2項11号、471条3号、478条1項。

 国税徴収法34条、39条。

 令和8年版所得税基本通達逐条解説163頁(所基通30-2関係)。

 高知地裁昭和34年12月21日判決(昭和33年(行)第14号)。

 東京地裁平成9年8月8日判決(平成7年(行ウ)第37号、判時1629号43頁、判タ977号111頁)。

 東京地裁平成27年2月26日判決(平成24年(行ウ)第592号)。なお、清算人の事案ではなく、代表取締役から非常勤取締役への分掌変更の事案です。

参考となる実務資料

 TKC税務研究所「役員退職金の損金算入について」(文献番号43200081)。

 TKC税務研究所「解散後も引き続き清算人となる者の役員退職給与」(文献番号43200896)。

 TKC税務研究所「法人の解散及び清算に係る役員退職金の損金算入時期」(文献番号43203238)。

 千葉県税理士会千葉税務研究所相談室「法人が解散後に支給する役員退職金の損金算入の可否について」(相談事例Q&A0085)。

 千葉県税理士会千葉税務研究所相談室「清算事業年度中の役員退職金の支給」(相談事例Q&A0208)。

 東京地方税理士会税法研究所「清算人に対する代表取締役としての退職金の支給について」(税務相談事例Q&A0092)。

 これらの相談事例等は法令、通達又は国税庁の公表見解そのものではなく、各回答者・研究所による見解であるため、本記事では参考資料として位置付けています。

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